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捨てられたと思ったら異世界に転生していた話  作者: ウィン
第二部 第二十二章:対談企画編
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第五百九十八話:ゲームショップ

 一通り寿司を堪能し、一息つく。

 ずっとお兄ちゃん達を見ていたけど、いろんなネタを見るたびに、どんな味がするのかと興味津々な様子で、見ていて飽きなかった。

 特に気に入ったのは何かと聞いてみたけど、お兄ちゃんはマグロで、お姉ちゃんはサーモンだと言っていた。

 やっぱり、そこらへんは定番だけあって、無難に美味しいのかもしれない。

 テーブルの端には、二人が食べた皿が積み上がっている。

 私はそこまで食べなかったけど、やっぱり、美味しいとわかれば、ついつい食べたくなってしまうよね。

 一応、お腹の調子は大丈夫かと聞いてみたけど、今のところは大丈夫らしい。

 もしかしたら、食べ過ぎでそのうち痛くなってくるかもしれないけど、まあ、二人なら大丈夫だろう。

 他のみんなも食べ終わった様子なので、お会計をして店を出る。

 こんな大人数で来たのは初めてだったので、見たこともない金額になっていたけど、ちょっと多めに持って来ておいてよかった。

 最悪、【ストレージ】に多少は入っているけど、出すのが面倒だからね。


「ふぅ、やっぱり寿司はいいね」


 久しぶりに食べたけど、やっぱり美味しかった。

 あちらの世界でも、再現しようと思えばできるのかな?

 まあ、新鮮な魚を用意するって言うのがなかなか難しそうではあるけど、場所を限定すれば、できそうではある。

 と言っても、お兄ちゃん達みたいに、好奇心で食べようとか考えない限り、魚は焼いて食べるものって言うのが一般的だから、あんまり受け入れられないかもしれないけど。

 その辺は、私ではなく、聖教勇者連盟辺りが何とかしてくれるだろう。

 道具だけでなく、食に関しても色々と知識は持ってそうだし。


「この後どうするー?」


「うーん、時間はまだあるけど、どうしようかな」


 今日は夜からヒカリ先輩の対談企画に呼ばれているけど、現在時刻はお昼過ぎ。今から帰っても、まだ十分余裕がある。

 せっかく、お兄ちゃん達を連れ出してきたわけだし、できればどこか寄っていきたいところだけど、この辺りに何かお店はあっただろうか?


《なあ、あそこは何の店だ?》


《うん? ああ、あれはね……》


 辺りを見回していると、お兄ちゃんがあるお店を指さす。

 そこは、いわゆるゲームショップだ。ゲームやトレカを中心に取り扱っているお店である。

 それを教えると、興味をひかれたようにじっとそのお店を見ている。

 そう言えば、お兄ちゃんもお姉ちゃんも、ゲームには目がなかったね。

 私が注意しなければ、徹夜でずっとゲームしているくらいはまっているようだし、ゲームと言われたら反応してしまうのも無理はない。

 どうせ寄る場所もないし、そこに行ってみるのもいいかと思い、向かってみることにする。


《おお、これ全部ゲームなのか?》


《すごい……》


 店内は、小さなスペースにゲームやトレカがひしめき合っていた。

 元々、そんなに大きな店舗ではないようだけど、通路も結構狭く、六人もいるとかなり手狭である。

 でも、その分品揃えは結構なようで、最新のものから昔懐かしのゲームまで、様々だった。

 私も、つい手に取りたくなるようなゲームもあるので、なかなかいいお店だと思う。


《これは見たことがないな。そふとの形も全然違う》


《お兄ちゃんが使っているのは、最新機種だからね。これは結構前に出たものだから、使うハードが違うんだよ》


《なるほどな。これがそのはーど? とやらか?》


 ショーケースの中には、中古と思われるゲーム機本体がいくつか並べられている。

 でも、結構な値段がするね。中古ではあるけど、やっぱりハードは高いんだろうか。

 それか、逆に希少性が上がって高くなってる感じかな? マニアとか好きそうだもんね。


《こんな小さいのでゲームができるのか?》


《うん。携帯ゲーム機って呼ばれてて、家じゃなく、外でも気軽にできるのが売りだね》


《こんな小さいんじゃ魔石が入らなそうだが……いや、こちらの世界だと魔石ではないんだったか》


《そうそう。魔道具とは少し違うね》


 お兄ちゃんは魔道具と比べているようだけど、魔道具の場合、小型化は結構難しいんだよね。

 魔道具の中核となるのはもちろん魔石なんだけど、魔石は基本的に、大きければ大きいほど保有する魔力が多いから、強力な魔道具を作ろうとなると、どうしても大型になってしまう。

 普段使いされているような魔道具は、そこまでの出力を必要としないから、そんなに大きくはないけど、それでも両手で抱えるくらいはあるからね。

 一応、魔導銃のように、かなり小型化に成功しているものもあるけど、あれはセレフィーネさんが優秀過ぎるだけだと思う。


《こうもたくさんあると買いたくなってくるが……》


《買わなくても、大抵は今あるものだけで遊べると思うよ?》


《それはそうだが……いや、持て余すのはよくないか。さっきたらふく食ったばかりだし、あまりハクに負担をかけるもんじゃない》


 どうやら、お兄ちゃんは私が支払いをしたことに少し罪悪感があるらしい。

 いや、お兄ちゃん達はこちらの世界のお金を持ってないんだから仕方ないとは思うんだけど、あちらの世界のように、自分の食い扶持くらいは自分で稼ぎたいという想いがあるようだ。

 まあ、こちらの世界だと、ギルドで依頼を受けてパパっと稼ぐ、なんてこともできないしね。そこらへんは仕方ないと思うけど。

 お兄ちゃん達に紹介できる仕事もないし、ここらへんは我慢してもらうしかない。

 私個人の想いとしては、別にいくら使ってくれてもいいんだけどね。

 お兄ちゃん達にも、こちらの世界のことを好きになって欲しいし。


《あれ? これって、ハクが作ったカードゲームじゃない?》


《え? ……ああ、それね》


 ふと、お姉ちゃんがカードが陳列されている棚を見てそんなことを言う。

 私は、あちらの世界で、カードゲームを作り出したことがあったけど、その基となるのが、このカードだ。

 ちょっと懐かしいなと思いながら見てみると、なんだか特殊能力の欄がめちゃくちゃ長い文章で埋められている。

 こんなに長かったっけ?

 内容を見てみても、一枚に盛り込みすぎだろというようなものがずらりと並んでいる。

 これが今のカードゲームなのか……時の流れは恐ろしいね。


《私が作ったのは、このカードゲームを基にしているんだよ》


《へぇ、ハクのオリジナルってわけじゃないのね》


《そうだったらよかったんだけどね。流石にそこまで思いつけないよ》


 本来なら盗作もいいところだけど、こちらの世界のものをあちらの世界に持ち込んだところで、咎める人はいない。

 まあ、聖教勇者連盟辺りは何か言う可能性もなくはないけど、あっちも色々と技術を持ち込んでるんだし、人のことは言えないだろう。

 あれから、あんまり新作を出せていないけど、そろそろ次を出すべきだろうか?

 なんか、特殊能力もインフレしてきているみたいだし、あちらの世界でもその波に乗るべきかもしれない。

 私としては、当時のスピード感が良かったりするけどね。

 そんなことを考えながら、ゲームを見て回るのだった。

 感想ありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
最近ゲームショップって見かけなくなったなぁ
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