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捨てられたと思ったら異世界に転生していた話  作者: ウィン
第二部 第二十二章:対談企画編
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第五百九十三話:企画のお誘い

 ひとまず、帰ってきたことを伝えるためにも、有野さんに連絡を取ることにした。

 【ストレージ】に入れていたスマホを取り出し、電話をかけると、数コールした後に繋がる。


『ハクちゃん、お帰りなさい。元気にしてた?』


「お疲れ様です、有野さん。元気ですよ」


 有野さんも、私のいなくなる期間は何となく把握してきたのか、そろそろ連絡があるんじゃないかと思っていたらしい。

 流石だなと思いつつ、アケミさん達はどうしているのかと聞いてみる。

 一夜ひよなの話だと、何度かコラボ突撃しているようだけど。


『みんな元気よ。最近は積極的にコラボするようになって、一期生達も嬉しそうね』


「何か問題は起きてないですか?」


『特にはないわね。むしろ、チャンネル登録者も順調に伸びていて、うまく行っているわ』


「それならよかった。前回は大変でしたからね」


『あの時はハクちゃんもお疲れ様』


 後でアケミさん達にも帰ってきたことは伝えておくとしようか。

 コラボするかどうかはわからないけど、普通にプライベートでも会いたいしね。


『あ、そうそう、ちょっと頼まれていることがあるんだけど』


「なんですか?」


『ハクちゃんの都合のいい日でいいんだけど、ヒカリの企画に協力して上げてくれない?』


 そう言って、内容を話す有野さん。

 一夜ひよなも言っていたけど、ヒカリ先輩は、私のことをよく知るために、対談企画を企画しているらしい。

 企画では、リスナーさんから集めた質問を答えてもらう他、委員長こと、ルイン先輩と対決してもらう、みたいなコンテンツを用意しているようだ。

 対決って何するんだろうと思ったけど、それは当日までのお楽しみらしい。

 まあ、なんだか面白そうだし、参加するのは問題ないかな。

 ヒカリ先輩とは、コラボを手伝った際に少しだけ話したことがあるけど、まだまだ全然知れていないしね。


「わかりました。大丈夫ですよ」


『ありがとう。いつ頃がいいかしら?』


「私としては、明日でも問題はないですが、流石に忙しいですかね?」


『うーん、多分大丈夫だと思うけど、伝えておくわ。大丈夫なら後で連絡があると思うから、お願いね』


「了解です」


 さて、さっそくコラボの約束を取り付けることになったけど、まあ、問題はないだろう。

 その後、いくつかの確認事項を聞いた後、通話を終わる。

 仮に明日やるとしたら、今日は暇になりそうだな。今のうちに、確認すべきことはしておいた方がいいかな。


「どうだった?」


「さっそくヒカリ先輩が何か企画をやるから出てほしいってさ」


「ああ、やっぱり? 私もちょろっと聞いただけだからよくわからないけど、面白い企画になりそうだね」


「ヒカリ先輩って、そう言う対談企画ってよくやるの?」


「うん、割とよくやるよ。でも、大抵はもう少し時間が経ってからだったけどね。あんまり序盤に絡んでも、緊張であんまり喋れないだろうし」


「まあ、それは確かに」


 一夜ひよな自身も、以前に対談企画に呼ばれたことがあるらしい。

 この対談企画は、基本的には、リスナーさんや先輩自身が、その人物のことをよく知るために行われる企画らしいんだけど、流石に、新人いじめのようなことはしたくないらしい。

 特に、アケミさん達の場合、初コラボで私に頼るくらい緊張していたようだし、いきなり対談企画に呼んでも、ちょっと可哀そうだということで、まだその予定はないようだった。

 だったらなんで私はすぐに呼んだのかって話だけど、私はアケミさん達と比べたら相当落ち着いているように見えたし、何より、個人的に私のことが気になってしょうがなかったらしい。

 要は、私なら多少のことは何とか出来るだろうから呼んでも問題ないよねって判断したってことだ。

 まあ、間違ってはいないけど、なんか複雑である。


「それだけ信頼されてるってことだよ」


「だといいけどね」


 そんな話をしつつ、とりあえずこのままでは手狭ということで、お兄ちゃん達を私が借りている部屋へと連れて行くことにする。

 いつも連れて来ておいてほったらかしなのは申し訳ないけど、お兄ちゃん達もゲームに夢中なようなので、多分大丈夫だろう。

 でも、そのうち旅行にでも行きたいね。

 以前のように、何かやらかす可能性もあるけど、今ならだいぶ慣れてきただろうし、そう言った可能性も低くなっているはずだし。


「そういえば、何か質問が来ているんだっけ?」


 お兄ちゃん達を送り届けた後、私はSNSのメッセージを確認する。

 そこには、かなりの数のメッセージが寄せられていた。

 元々、私がいなくなったタイミングでコメントをされることはよくあって、こちらの世界に来るたびに、軽く見ているのだけど、今回はその量がかなり多い。

 一夜ひよなの言う通り、前回のRTAの反響が大きいようだ。アドバイスを求めるものから、難癖をつけてくるものまで、様々である。

 普段は、あんまり返信はしないんだけど、少しくらいは返した方がいいだろうか?

 そんなことを思いながら、再び一夜ひよなのマンションへと戻る。

 帰ってくると、一夜ひよながカップラーメンをすすっていた。

 すでにお昼は過ぎているけど、食べてなかったのか。

 そういえば、ずっと検証とやらをしていたらしいからね。忘れていたのかもしれない。


「メッセージの返信? 別にしなくていいんじゃないかな」


「そう? 少しくらいはやった方がいいかなって思ったんだけど」


「そういうのは配信でやればいいと思うよ」


「ああ、なるほど」


 確かに、一つ一つに返信するには質問の数が多すぎる。であるなら、配信で似たような質問にまとめて答える方が楽だろう。

 アーカイブを残しておけば、後から見返すこともできるだろうしね。

 だったら、今日の夜にでも配信しようか。質問をまとめておくとしよう。


「ああ、そういえば、あの後何か問題はあった?」


「あの後って?」


「ほら、異世界から帰った後」


「ああ、そう言うことね。まあ、色々あったよ」


 気になっていたので、少し聞いてみる。

 一夜ひよなは、異世界から帰った後、いつも通り配信をして、撮ってきた写真をいくつか見せたらしい。

 一応、私も厳選したから、変なものは映ってないと思っていたけど、結構リアルな異世界要素に、リスナーさん達も興奮していた様子で、かなり反応が良かったようだ。

 中には、今後も定期的に異世界に行って、こういう写真を撮ってきてほしいという人もいて、一夜ひよなとしては、あちらの世界に行く理由ができて少し嬉しそうである。


「ただ、あまりに早く帰ってきたから、実は連れて行ってもらえなかったんじゃないかとか、さんざん言われたけどね」


「ああ、あちらの世界とこちらの世界じゃ時間の流れが違うからね」


 確か、あの時は10日くらい滞在していた気がするが、それをこちらの世界で換算すると、せいぜい半日もないくらいである。

 リスナーさん達は、異世界のことを海外と思っているだろうし、それにしては滞在時間が短すぎるから、置いて行かれたと思ったってことね。

 まあ、それに関しては仕方ない。というか、その方が異世界のリアルさを薄れさせることができそうで好都合まである。

 定期的に連れて行くことに関しては、ルディからも頼まれているからどうせやることになっているし、特に問題はないしね。

 まあ、あんまり連れて行きたくはないんだけど。

 ちょっと不服そうな一夜ひよなを見ながら、質問の選別をするのだった。

 感想ありがとうございます。

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