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捨てられたと思ったら異世界に転生していた話  作者: ウィン
第二部 第二十一章:開拓村編
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第五百七十九話:魔物探し

 あれから詳しく調べてみたけど、みんなかなり筋力が上がっているように感じた。

 お兄ちゃん……と比べたらあんまり参考にならないから、一般的な冒険者と比べてみると、Cランク冒険者並みの力はついているんじゃないだろうか?

 もちろん、力だけであって、剣術に関してはまだまだだ。一応、今までの教えを守って、基本的な剣術は理解はしているようだけど、それでも素人の振り方というイメージが先に立つ。

 これを完璧にものにするためには、さらに研鑽を積む必要がありそうだけど、それは追々でいいだろう。

 思わぬ誤算だけど、もしかしたら一年以上かかるんじゃないかと思われていた作業が短縮されるのは悪くない。

 もしこれが、エウリラさんが降らせる雨の影響なんだとしたら、これをうまく使って、強化していくのもいいかもしれないね。


「冒険者関連は何とかなりそうだし、後は魔物をどうにかできればって話だね」


 冒険者の育成も大事だけど、今の目標は、件の魔物を倒すこと。

 考えてみたんだけど、推定Aランク、あるいはSランク級の魔物だと思うんだよね。

 元々、ここに住んでいたのはエルフで、そのエルフ達が手も足も出なかったんだから。

 エルフは、人間よりも魔力を豊富に持っており、魔法の扱いに関しては人族の中では右に出る者はいないほどである。

 弓の扱いもうまく、ごり押しはしないだろうけど、連携して敵を追い詰めることは得意で、戦闘力的にはかなり高い部類に入るだろう。

 そんなエルフ達が手も足も出なかったということは、それだけ相手が化け物じみた強さを持っているということ。

 耐性が優秀だったという話もあるけど、それだけでエルフが負けるとも思えないしね。

 下手をしたら、私の魔法すら通じない可能性もある。そう考えると、私一人で討伐できるかどうかも怪しい。

 エルやアリアと協力すれば行けるかもしれないけど、どう転ぶかね。


「とりあえず、探してみようか」


 拠点を移したことで、生活に支障が出ないかどうかを確認したけど、食料さえなんとかできれば大丈夫そうだというのはわかった。

 食料は、定期的に旧拠点に取りに行く必要があるけど、それ以外は何とかなりそうだし、しばらくは籠城戦のように閉じこもっていれば、魔物に襲われる心配もないだろう。

 私は、エウリラさんに頼んで、雨を止めてもらう。

 雨の守りが失われれば、件の魔物も姿を現すはずだ。


『本当にやる気なのね』


「はい。ここまで来て、退けませんよ」


『そう……気を付けてね』


 エウリラさんも、町に人々が集まってきたことによって、多少なりとも気分が晴れたようだった。

 以前は、エルフ達を守るため、その後は町を守るために結界を維持したり、雨を降らせたりしていたわけだけど、今度は人間達を守るためにその力を振るうことになる。

 うまく溶け込めるといいけど、それは今後の対応次第だね。

 エウリラさんに心配されながら、町の外に出る。

 とりあえず、今回は偵察目的だ。相手の姿を確認し、どのような特性があるのかを確認する。

 初めから勝負を挑んでもいいけど、耐性がどれほどかわからないからね。軽く戦うくらいならいいけど、もし討伐が難しそうだと判断したら、撤退も視野に入れておくとしよう。


「どの辺にいるかな……」


 雨が止んだばかりなので、まだこの近くにはいないだろうが、ひとまず探知魔法で捜索をしてみる。

 通常の魔物はちらほらと見かけるけど、少なくともCランク相当の魔物がいると考えると、ここもだいぶ魔境だよね。

 辺りは、森の匂いで溢れかえっている。地面は思ったよりぬかるんではいないけど、少し冷たい。

 時折、翼を出して空から捜索して見たりもしたけど、特にそれらしい魔物は見つからなかった。

 やっぱり、雨が降っている間は別エリアに行っているってことなんだろうか?

 あるいは、もうこのあたり一帯は雨が降りまくっているから住めないということで、別の場所に移動している可能性もあるか。

 後者だったらとってもありがたいけど、それはそれで、いつどこで襲われるかわかったもんじゃないから怖い。

 少なくとも、隣国までは街道を通す予定ではあるのだし、その範囲は、雨が降る範囲から外れている場所もある。

 その魔物が人を積極的に襲うかどうかはわからないけど、もしそうならやばい。

 せめて、存在だけでも確認できないと、安心できないよね。


「……見つからないね」


「もう少し捜索範囲を広げてみる?」


「うーん、それも視野に入れた方がいいかもね」


 結局、今日一日探してみても、それらしい魔物は見つからなかった。

 まあ、森は広いし、こう言うこともあるだろう。

 ひとまず、町へと戻ることにする。


「お、先生、お帰りなさい。どうでしたか?」


「残念ながら見つけられませんでした。まだこのエリアには戻ってきてないのかもしれませんね」


「そうですかい。いっそのこと、どこかでくたばっててくれたら楽なんですがね」


 出迎えを受け、軽く報告をする。

 件の魔物がどこかで息絶えている可能性は、あまりないだろう。

 魔物は基本的に寿命が結構長い。例外もいるにはいるけど、寿命によって亡くなるのはかなり稀なケースだろう。

 その魔物は、かなり強いみたいだし、戦いを挑まれたとしても、そうそう負けるとは思えないし、致命傷となりえる傷を負うとも考えにくい。

 確かにそうなっていたら楽だけど、期待するだけ無駄だろうな。

 とにかく、明日はもう少し捜索範囲を広げてみよう。

 そう考えながら、眠りにつくのだった。


 翌日。朝食を食べた後、さっそく捜索に向かう。

 昨日は、時間もちょっと遅かったし、あまり遠くまで探索はできなかったけど、今日はもう少し遠くまで行くつもりだ。

 結界があるので、この町が襲撃される恐れはないとは思うけど、やっぱり心配なので、エルを護衛に残しておく。

 ついでに、冒険者候補達の監督もしておいてくれると嬉しいけど、まあ、それはどっちでもいい。

 みんな、急激に強くなっているからね。少しくらい遅れても問題はないだろう。

 昨日と同じように、探知魔法を確認しながら、森の中を進む。


「探知魔法に反応してくれたら楽でいいんだけど」


 それほど強力な魔物なら、魔力も多いだろうし、探知魔法で見分けられる可能性は高い。

 そんなことを考えながら、しばらく進むと、雨が降っていないエリアまで辿り着いた。

 雨が降っていたのは結構広いエリアだったけど、直線距離ならそこまででもない。

 明らかに、先ほどまでいた森とは雰囲気が異なり、植生も少し違っているように見える。

 やっぱり、あの雨の影響なんだろうか。単に、水分が豊富だから異常に育った、というわけでもない気がするんだけど。

 まあ、それは後で考えよう。このあたりなら、件の魔物がいてもおかしくはない。

 私は、より慎重に探知魔法を確認しながら、先に進むのだった。

 感想、誤字報告ありがとうございます。

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