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捨てられたと思ったら異世界に転生していた話  作者: ウィン
第二部 第二十一章:開拓村編
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第五百七十三話:雨の多さ

 ひとまず、対処としては魔物を食料にするという方向で決まった。

 一応、私なら、転移で町に戻って、食料を持ってくるということもできるけど、それはあまりに常識外の行動だ。

 転移魔法は、普通の人間には使うのは難しいし、どうやって持ってきたのかと聞かれても答えられない。

 であるなら、本当に困窮するまでは、対処できる範囲で対処した方がいいだろう。

 まあ、あんまり食べたいとは思わないけども。


「とりあえず、ちょっと奥まで進んできたけど」


 拠点の防衛のためにエルを残して、魔物を狩るために、少し森の奥まで進む。

 探知魔法を見て見れば、結構な反応があるので、獲物には困らなそうだ。

 適当に狩りつつ、それらを【ストレージ】に入れて、ガンガン進む。

 レポートによると、この辺りは岩場の近くだったかな。

 何者かがいた痕跡があるとは言っていたけど、一体どんなものなんだろうか。

 ちょうどいいし、ちょっと寄ってみようかな。


「ここかな」


 しばらく進むと、それらしい岩場が見えてきた。

 確かに、ここら辺だけ地面に石がむき出しになっていて、採石ができそうではある。

 なんでこんな地形になっているんだろうか、と思ったけど、どうやら地殻変動か何かで、地層がずれたようだ。

 よく見てみると、あちらこちらに小さな崖っぽいものが見えるし、その影響で土が剥がれて、岩が出てきたのかもしれない。

 でも、地形が変わるほどの地殻変動が起きるとなると、災害が多いんだろうか?

 この世界だと、地震ってほとんどないんだけど、そのせいもあって、地震が起きる時は何かの災害の前触れと言われている。

 まあ、実際にはただの迷信だとは思うけど、この世界だと、あちらの世界での常識が通用しないこともあるから、用心するに越したことはない。

 少し慎重になりながら、辺りを見回す。

 すると、近くになにやら傷のついた岩があった。


「これは……爪とぎでもしてたのかな?」


 痕跡って言うのはこれのことだろうか。

 森の魔物なら、こう言うことをする者もいるし、何らおかしくはないけど、木ならともかく、岩でやるとなると結構強力な武器を持っている可能性がある。

 言っていたBランク級の魔物かな? あるいは、それ以上の何か。

 いずれにしても、ここらを1縄張りにしている可能性は高そうだし、ここを利用するなら、どうにかして排除しないといけないね。


「あ、雨……」


 そうこうしていると、また雨が降ってきた。

 雨の原因に関しても、調べておきたいけど、今ふと思ったのは、神様が関係しているんじゃないかという話。

 天候を司る神様がいてもおかしくはないし、例のクイーン関連だったとしたら、相当面倒くさいことになる。

 流石に、まだ何の情報もないからただの妄想でしかないけど、できれば外れていてくれると信じたい。


「とりあえず、帰ろうか」


 雨に降られてしまったし、獲物はそこそこ狩ったから、帰って大丈夫だろう。

 私は、最後に岩場をちらりと一瞥した後、その場を後にした。


 それから約三日後、食料も尽きたので、当初の予定通り、魔物の肉を食べることになった。

 料理人がそこそこ優秀だったおかげもあって、思ったよりはまずくなかったけど、しばらく野菜もない生活となるので、栄養バランスが心配である。

 町からの連絡も未だにないし、この状態が長く続けば、崩壊もあり得る。

 早く解決してくれるといいんだけどね。


「今日も雨、か」


「流石に降りすぎじゃないか?」


 今日も雨が降り、作業は難航している。

 唯一の救いは、川の水がほとんど濁っていないということ。

 普通、雨が降れば、水かさが増し、泥などが混じって濁ると思うんだけど、全然そんな様子がない。

 おかげで、飲み水にはそこまで困らなくていいけど、どのみち雨が降り続けているせいで、水にはそこまで困っていないからあんまり恩恵はない。

 それよりも深刻なのは、暖の問題である。

 現在は春だけど、連日の雨のせいで、春とは思えないほど寒い。

 しかも、雨の中作業したこともあって、風邪をひく人も少しずつ出始めていて、徐々に人員が減りつつある。

 家すら建てられていない今の状況だと、満足に休める場所もないし、早いところどうにかしないと、まずいかもしれない。


「こりゃ、思った以上に過酷だなぁ……」


「テルミーさん、状況はどうですか?」


「先生のおかげで、食料はまだ余裕がある。薬も、持ち込んだ分で何とかなりそうだ」


「それは何よりです。でも、そう長くは持ちませんよね?」


「まあな。せめて雨がどうにかなればいいんだが……」


 水の少ない土地だと、雨は恵みの雨とも言われるくらい重宝されるものだけど、ありすぎるというのも問題である。

 水瓶はすでにいっぱいになって溢れているし、雨の中で作業をするのは寒さ対策も相まってかなり難しい。

 これは、本格的に雨の原因を調べた方がいいかもしれない。

 原因がわかれば、対策もできるかもしれないからね。


「一度、森の奥を調査する必要がありそうですね」


「森の奥ってぇと、学者さん方が言ってた、雨の原因って奴ですかい?」


「はい。どうやら、このあたりの森一体が雨に降られているようですので、原因があるとしたらそのあたりかと」


 これまでも、何度か学者さん達と森の調査に赴いたけど、雨の原因に関して、ある仮説を立てた。

 それが、魔物が雨を降らせているんじゃないかという説。

 私は、神様が関連しているんじゃないかと考えたけど、確かに、まだそっちの方が現実味がある。

 もちろん、雨を降らせる魔物なんて聞いたことがないけれど、私が飛んで調べた限り、雨が降っているのはこの森とその周辺一帯のみ。つまり、原因があるとしたら、この辺りにある可能性が高い。

 雨を降らせる新種の魔物がいるとしたら、その魔物をどうにかしない限り、この地に住むのは難しい。

 いや、雨を降らせてくれるというだけなら、使い方によっては役に立つ可能性もあるけど、それにも対策がいるだろうし、どちらにしても、原因は突き止める必要がある。

 そう言うわけで、本格的に調査をしようというわけだ。


「ま、このまま降られ続けてもちっとも開拓が進まねぇし、原因を突き止める必要はあるわな」


「ひとまず、私が先行して調べてみます」


「わかった。任せましたぜ」


 詳しい調査は学者さん達を連れていく必要があるかもしれないが、行くにしてもある程度魔物を排除する必要があるし、私が先行した方がいいだろう。

 さて、うまいこと原因がわかればいいんだけど。

 そんなことを思いながら、さっそく準備を整えた。

 感想、誤字報告ありがとうございます。

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何がいるかな? ……アメフラシ(違う)
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