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捨てられたと思ったら異世界に転生していた話  作者: ウィン
第二部 第十三章:夏のバカンス編
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第三百七十三話:帰る手段

 石自体は、岩場のあたりですぐに見つかった。

 まあ、ないならないで水の刃とかで表面を削ってやればいいだけの話なので、問題はないんだけどね。

 印に関してだけど、五芒星の中心に楕円を二重に描いたような図形。

 バランスが重要らしく、円が小さすぎたり、五芒星が揃いすぎていたりしてもだめらしい。

 恐らく、この形が、魔法で言うところの魔法陣って感じなんだろう。

 見た限り、魔法陣のように模様や文字が描かれている様子はないんだけど、この形にすることで、特別な力を発揮するというものなのかもしれない。

 言われるがままに描いていると、ほどなくして完成した。

 一応、神力を込めて描いたので、多少なりとも神力の気配は感じるけど、本当にこれで何とかなるんだろうか。


『安心しろ。印は正常に稼働している』


「ならいいんですけど……」


 ノームさんが言うなら、多分大丈夫だろうけど、普通の魔法陣と違って、私の探知魔法で探知しにくいのが少し怖いところ。

 できれば、お守りみたいな形にしておきたいね。表面だけでなく、裏面も平らにして、板型のアクセサリーみたいにしたらいいんじゃないだろうか。

 あるいは、袋に入れて、大事に保管しておくのもいいかもしれない。

 とりあえず、今作ったものは、サリアに渡しておくとしよう。


「これって、個数制限とかあるんですか?」


『ない。ただ、外宇宙の神を退ける力があるとは言っても、絶対ではない。寄生されることはないだろうが、本体が現れた時に、掲げただけで追い返す程の力はない。それは努々忘れないようにな』


「わかりました。気を付けておきます」


 本当に、あくまでお守り的なものであり、絶対的な結界というわけではないということはわかった。

 そう言う意味では、私が作った、防衛機能が施されたアクセサリーの方が優秀と言えなくもないけど、クイーンの能力が正確にわからない以上は、万全の備えをしておくべきである。

 心配だし、早いところ知り合いにみんな配っておきたいところだ。


『こちらもこの世界について色々と聞いてもいいだろうか?』


「はい、何が聞きたいんですか?」


『まず聞きたいのは、この世界に住まう神についてだ』


 そう言って、ノームさんは色々と話を聞きたがった。

 世界にも色々ある。神様が直接統治している世界もあれば、ノームさんの世界のように、神様は人々に忘れられ、裏で静かに支えているというパターンもある。

 神様が直接統治しているのなら、外宇宙から外敵が来ても即座に対処できるが、もしそうでないのなら、対応は後手に回ることになるだろう。

 この世界では、神様が地上の統治から手を引いて久しい。地上に降りることも禁止されており、今のように、別世界の神様が入り込んできても、対処できない状態だ。

 クイーンが、ただのいたずら目的でやってきたというなら、まだ何とかなるが、これがもし、世界を牛耳ってやろうと画策しているのであれば、由々しき事態である。

 ただでさえ、クイーンが連れてきた様々な神様のおかげで、世界の均衡は崩れ始めているかもしれないのだ。

 このまま眺めていたら、絶対によくないことが起きる。

 ノームさんも、それを警戒していたのか、私の話を聞くと、うーむと唸っていた。


『奴らの信仰は、恐怖で人々をねじ伏せて無理矢理崇めさせるものだ。早急に心を壊し、狂信的に崇めるようになった者が生き残り、適応できなかった者は発狂して死に至る。もし、それが世界単位で行われたとしたら、まさしく世界の終わりだ』


「ある意味で、カオスシュラームの時よりやばいかもしれませんね……」


『幸いなのは、クイーンが気まぐれだということと、他の神々も、乗り気ではないということだ。よほど気に入った人間がいたというならともかく、そうでないなら、帰ることを望んでいるはず。今までに、そう言った神はいなかっただろうか?』


「……いましたね」


 雪山で出会ったタクワは、クイーンを倒すために力がいるから言う理由で、近場の村から人を集めさせて信仰させていた。

 別に、あの土地を出て、多くの領地を確保しようだなんて考えていなかったし、帰るつもりはなかったみたいだけど、環境が整っているなら、どこでもいいというような雰囲気だった。

 多くの神様が、タクワと同じような状況なのだとしたら、確かにクイーンさえ下してしまえば、大人しく帰ってくれる可能性はある。


『どのみち、帰るためには多くの信仰が必要になる。この世界を乱さないように、信仰を抑えるのであれば、クイーンの協力が必要になるだろう。それが難しいところだ』


「帰るために、多くの人々の協力が必要って言うのがネックですね……」


 これらの神様は、一応、特定の住処というものを持っているらしいのだけど、召喚によって、唐突に別の場所に呼び出されることが多々あるらしい。

 大抵は、その神様を信仰する信者であり、供物と引き換えに、知恵を授けたり、呪文を授けたりするらしいのだけど、場合によっては、無理な召喚によって、呼ばれたのに人がいないというパターンもあるらしい。

 人がいれば、その人らに頼んで、元の場所に帰す呪文を唱えてもらえばいいのだけど、そうでない場合は、帰る術がない。

 神様なのに、転移魔法の一つも使えないのかとも思うけど、そこはその世界の神様の特性みたいなものらしかった。

 だから、単独で複数の神様を連れ出したクイーンはかなりのイレギュラーで、それだけでどれほどの力を持っているのかが伺える。

 元の世界に帰すためには、クイーンの助けが必要。しかし、クイーン自体が敵である以上、その方法は使えないに等しい。

 残る方法は、多くの人々にそれらの神様を信仰してもらい、帰すための呪文を唱えることだけど、この世界の人々が、無理矢理以外で彼らを信仰するとは思えない。

 ふりだけでいいならワンチャンあるけど、そのあたりはどうなんだろうか。

 眷属化というよくわからない状態もある以上、あんまり下手に信仰させるわけにもいかないんだけど。


『現状は、帰る手段はクイーンに頼る以外ない。が、この世界についての理解が進めば、あるいは別の方法も思い浮かぶかもしれない』


「まあ、そうですね。神様に力を貸してもらうって言うのも一つの手ですし、もしかしたら強引に帰す方法もあるかも」


 あくまで、正規の方法ではそうしなければならないというだけで、もしかしたら別の方法がある可能性もある。

 例えば、私が使っている転移魔法だけど、もし仮に、ノームさん達が住む世界に私が行くことができれば、転移魔法で一緒に帰ることはできるかもしれない。

 そうでなくても、帰るための呪文を改良するだとか、色々取れる手段はあるだろうし、今ダメだからと言って、絶対にクイーンの手を借りなければならないというわけではないだろう。

 どのみち、神様もまだそんなに見つかっていない状態だ。すべて見つかった時にその手段があれば問題ないわけだし、焦る必要はない。

 今はとにかく、すべての神様を見つけることが先決だね。と言っても、どこにいるかは全く見当がつかないが。

 一応、天使達が探してくれているとは思うけど、どうなることやら。

 感想ありがとうございます。

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