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捨てられたと思ったら異世界に転生していた話  作者: ウィン
第二部 第十三章:夏のバカンス編
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第三百六十八話:宝探し

 次なる楔を求めて、私達は地図を頼りに進む。

 バツ印があるのは、島の外周であることもあれば、森の中であることもある。

 最初に見つけた印のことを考えると、特に罠の類はなさそうだけど、まだわからないので、ひとまず見つけたら私が取り出すという形になった。

 同じように埋まっているかはわからないけどね。


「次の印は、このあたりだと思うけど」


 次に来たのは、お兄ちゃん達が進んだ方向にある海岸沿い。

 まずは外堀から埋めて行こうということで、こちらに来たわけだ。

 さっきと同じなら、また地面が光っていると思うんだけど。


「この辺りは岩場が多いね」


「ああ。転ばないように気をつけろよ」


 もし、この場所に埋まっているんだとしたら、岩をどけなければならないから凄く面倒くさそうだけど、楔だというなら、そうやって隠れている可能性もあるんだよね。

 まあ、最悪土魔法を使えば掘るのは簡単だけど、果たしてどうなるか。


「見た感じ、それっぽい地面はないけど」


 ざっと見まわしてみた限り、光っている地面は見当たらない。

 最初がわかりやすかっただけで、常に光っているわけではないのかとも思ったけど、それだったら、最初の場所だって光らせる必要はないだろう。

 楔は結界を守るためのものっぽいし、破壊されたら困る以上、普通は隠しておくと思うし。

 恐らくだけど、他の場所も同じように光っている場所があるはず。

 見逃しているだけだろうか?


「ハク、ここ魚がいるぞ!」


「あ、うん、よかったね」


 海水が入り込んでいるせいか、岩場の隙間にはカニみたいな生き物や小魚が割といるようだ。

 まあ、食べるにはちょっと小さいけど、サリアは楽しそうにはしゃいでいる。

 人を助けようとしている自覚はあるんだろうか。いや、いつでも楽しめる心は大切だと思うけども。

 私も、試しにそこらの岩をひっくり返してみる。すると、何匹かの小魚が逃げ出していった。


「ここに来れば、釣り竿がなくても魚が取れそうだね」


 素手で捕まえるのは少し大変かもしれないが、それでも海に潜ったりするよりはましだろう。

 ちょっと感心しながらも、私はもう一度周りを見回してみる。

 大きな岩に小さな岩。様々入り乱れた場所ではあるが、やはり光る場所は見つからない。

 考えられる可能性としては、岩の下にあるから光っていることに気づいていない、あるいは、海の中にある可能性だろうか。

 岩をひっくり返した時に思ったけど、最初の場所は、目で見える場所だった。しかし、ここは岩場だらけで、地面がそのまま露出している場所は少ない。

 であるなら、岩の下に光っている地面があっても不思議はない。

 海の中も同様だろう。水面からでは、水中のことはわからない。

 まあ、よほど浅瀬なら見えるかもしれないけど、ちゃんと潜って見ないとわからないかもしれない。

 楽なのは、海の中だけど、あるだろうか。


「一応着替えるか」


 別に、服が濡れてもそこまで気にしないが、せっかく水着を持ってきたのだから、有効活用すべきだろう。

 【ストレージ】から水着を取り出し、手早く着替えて、海の中を探ってみる。

 この辺りは、割と浅瀬ではあるが、ある一定距離まで進むと急に深くなっているようだ。

 私の身長では水面に顔が出ないけど、まあ、溺れる心配はない。

 とりあえず、一通りこの辺りを泳いで回ってみるが、光っている地面は見当たらなかった。

 やはり、岩場の方だろうか。私は水面から顔を出し、岸の方を見る。

 そこでは、相変わらずサリアが岩をひっくり返していた。


「あ、ハク、泳ぎたくなったのか?」


「いや、そう言うわけじゃないけど……」


 暢気なサリアに少し呆れながらも、岸に上がる。

 風魔法で軽く水気を飛ばして、元の服に着替えた。


「そういえば、さっき光る地面を見つけたぞ」


「え、ほんと?」


「うん、あそこだ」


 そう言って、サリアが示す場所には、確かに光る地面があった。

 まさか、私が海の中を探している間に見つけてしまうとは……。

 最初の場所を見つけたのもサリアだし、何か持っているのかもしれない。


「ここを掘ったら、また出てくるのかな」


 一応、みんなに少し離れるように言った後、その場所を掘ってみる。

 すると、しばらくしてまた石が出てきた。

 表面には同じような印が刻まれており、楔であることがわかる。


「これで二つ目だね」


 光る地面が隠れているパターンもあるのかと学び、探す難易度は少し上がったように見える。

 でも、そもそも光っていること自体が異常なわけで、そう考えると、十分簡単な部類なのだろう。

 これを隠した人物は、見つけてほしいのか隠したいのかよくわからないが、まあ、見つけられる分には特に困らないので気にしないでいいだろう。


「次は……あっちだね」


 改めて地図を確認し、次なる印の場所を見定める。

 ここから近いのは、森の中にある印だろうか。

 距離的にはそこまで遠くないように見えるけど、大雑把な場所だから油断は禁物である。

 私達は、地図を頼りに森の中を進む。

 こんな森だったら、いつもだったら魔物が出てきても不思議はないんだけど、それを気にしなくていいのは楽でいいね。


「地図によればこの辺り……」


 その場所は、何の変哲もない、森の中だった。

 特に何か目印があるわけではない。木々が並び、草花が生い茂る場所である。

 私も、地図の縮尺から考えた大雑把な予想だから、本当にここかは少し自信がないけれど、多分、そう遠くはないはずである。


「地面ははっきり見えるけど、光っている場所は見当たらないね」


 また隠されているパターンだろうか。でも、隠すって言っても、先ほどのように岩がたくさんあるわけではない。

 せいぜい、草花によって多少地面が隠れている程度だけど、それはあくまで地面であって、隠せているとは言えないだろう。

 時折茂みはあるが、あるとしたらそこが無難だろうか。

 まずは、この周辺の茂みを探してみることにする。


「うーん、ないなぁ」


 みんなで手分けして探ってみたけど、光る地面は見つからない。

 場所が間違っているんだろうか? でも、どれだけ広く見積もっても、ここから大きく離れているとは思えない。

 地図を描いた人物が、うっかり間違えているでもない限りは、大きく間違っているわけではないと思う。

 となると、何かを見落としている? 一体何を。


「あ、鳥だ」


 と、そんなことを思っていると、不意に目の前を鳥が横切った。

 魔物の反応はないけど、こういった動物はそれなりにいるんだな。

 そう思いながら、鳥を目で追ってみると、木の枝に作られた巣に入っていくのが見えた。

 さっきから地面ばかり見ていたから、そこに巣があることに全然気が付かなかったね。


「……ん? 待てよ」


 先程から、私達は光る地面を探していたわけだけど、本当に地面だけにあるんだろうか?

 確かに、最初の二つは地面に埋まっていたとはいえ、必ずしも地面に埋める必要はないだろう。

 見つからなければいいのだから、それこそ、木の上とかでもいいんじゃないだろうか?

 そう思って、辺りの木々を見回してみる。すると、それらの一つに、枝の部分が光っている木を見つけることができた。


「まさか、木の上にあるとは」


 これは盲点だったかもしれない。探し物をする時は、広い視点を持つことが大事ってことだね。

 木の上に登ってみると、枝葉の中に隠れるように、同じ石があった。

 これで三つ目。この調子で、最後の印も見つけていきたいね。

 感想ありがとうございます。

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魚とか鳥の腹の中も可能性としては考えてた
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