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捨てられたと思ったら異世界に転生していた話  作者: ウィン
第二部 第十三章:夏のバカンス編
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第三百六十話:更なる準備

 翌日。私は早速、あの小島までのルートを考えることにした。

 海岸線沿いをまんべんなく見て回って見つけた場所だけど、そのせいか、近くに町の類が見当たらない。

 主要な街道もないようなので、馬車でそこまで辿り着くのは少し難しそうだった。

 まあ、荷物はすべて【ストレージ】にしまっておけるし、最悪歩いて行ってもいいんだけど、それだと十中八九途中で魔物と遭遇すると思う。

 別に、魔物の相手くらいはできるけど、バカンス中にそう言った戦闘を挟むのは、できれば避けたいところ。

 となると、どうにかしてそれを避ける必要があるんだけど、何かいい手はないだろうか。


「一番近くの町から船で行くにしても、それはそれで危険だしねぇ」


 そもそも、私達は船を所有しているわけではない。

 小さな小舟程度なら、もしかしたら手に入れられるかもしれないが、アリア達精霊組を除いたとしても六人もいる。

 流石に乗り切らない気がするし、乗り切ったとしても、その方法だとやはり途中で襲われる可能性が高い。それも、少ない足場で戦わなければならないから、陸を行くよりよっぽど面倒だ。

 まあ、そんなこと言ったら、すでに整備されている場所じゃないと戦闘を回避するのは不可能なんじゃないかと思うけど、少なくとも、あの小島には魔物がいないことは把握している。

 だから、どうにか小島まで辿り着ければいいんだけど……。


「飛んで行ったらいいんじゃないですか?」


 と、腕を組んで悩んでいると、エルがそんな提案をしてきた。

 確かに、空を飛んでいけば、魔物と戦闘する可能性は限りなく低い。

 一応、空にも魔物がいないことはないが、空を飛んでいくとなったら、竜の姿になるだろうし、竜にわざわざ近寄ってくるような魔物は少ないだろう。

 旅の道中を楽しむという点においても、ゆっくり飛んでいけば景色も楽しめるだろうし、転移で行くよりはいい気がする。

 わざわざ馬車や船を用意する手間も省けるしね。


「じゃあ、飛んでいくことにしようか。ユーリもそれでいい?」


「構わないよ。ハクの背中に乗れるのは楽しみだね」


「あ、私が飛ぶんだ」


 てっきり、エルの背中に乗っていくことになると思っていたけど……まあ、別にいいか。

 私はエルより少し小さいから、全員が乗るとちょっと狭く感じるかもしれないけど、そこまで気にするようなことではないはず。

 さて、これで行く手段は決まった。

 空を飛んでいくとなれば、特別準備するものはない。後は、サリアに水着を選んでもらって、決まったらいつでも出発できる。


「サリアに聞いてみようか」


 ひとまず、私は出発の目途が立ったということで、サリアに連絡をすることにした。

 通信魔道具で呼びかけると、しばらくした後に通話が繋がる。

 声でしかわからないが、サリアはかなり楽しみにしていたのか、相当興奮した様子だった。


『出発する日が決まったのか!?』


「あ、うん。大体準備は終わったからね。後は、サリアにちょっと選んでもらいたいものがあるんだけど」


『選んでもらいたいもの?』


「うん。前にも話したと思うけど、水着のことだね」


『ああ、あれか』


 こちらから行こうかとも考えたが、サリアはすぐにそっちに行くと言って、通話を切った。

 よっぽど楽しみにしてたんだろうね。

 やっぱり、もうちょっと旅行の頻度を増やした方がいいんだろうか?

 いや、行くのはいいけど、新しい場所となるともう行く場所がないんだよなぁ……。

 今度旅行に行くってことになったら、そのあたりも考えておかないといけないかもしれない。


「ハク、来たぞー」


 それからしばらくして、サリアがやってきた。

 私は早速、水着を並べて見せてみる。

 サリアは、初めて見る水着に目をぱちくりさせていたが、これを着て泳ぐんだと言ったら、面白い服だなと笑っていた。

 やっぱり、普通の水着はこの世界にはあまり合わないのかもしれない。


「どれ選んでもいいのか?」


「うん、この中から選んで」


「それなら、これにするぞ」


 そう言って、サリアは一つの水着を選び取った。

 やはり、露出は気になるのか、ワンピースタイプのものである。

 ユーリもなんだかんだでワンピースタイプのものを選んだし、わざわざ普通の水着を買ってくる必要はなかったかもしれないね。

 まあ、それはともかく、これで全員分の水着が決まった。

 後は、目的地に向かうだけだね。


「いつ行くんだ? 今か!?」


「そう慌てない。みんなにも聞いてみるから、それでよかったら今日でもいいけど、サリアにだって準備があるでしょう?」


「何か用意するものがあるのか?」


「……あ、これ私が用意しないとダメか」


 なんか、海で遊ぶからには、みんな思い思いに遊び道具を持ってくるもんだと思っていたけど、よくよく考えたら、この中で海水浴について知ってるのは私とユーリくらいなものである。

 海での遊び道具なんて知らないだろうし、知っていたとしても、持っていることは稀だろう。

 となると、その準備をもしないといけないね。

 ビーチチェアにパラソル、ビーチボールにフロート、バーベキューとかするならそのセットや食材なんかも必要だ。

 駄菓子屋で懐かしがってる場合じゃなかったかもしれない。全然揃ってないじゃないか。


「ごめんサリア。準備し忘れたものがあるから、明日まで待ってくれない?」


「うーん、わかった。待つぞ」


「ごめんね?」


 そうと決まれば、さっさと用意してこなくては。

 私は早速、転移魔法であちらの世界へと渡る。

 ただ、水着も手に入れるのが大変だったのに、今の時期で海用品を売っているんだろうか?

 バーベキューセットくらいは調達できそうだけど、ちょっと心配である。


「最悪、それっぽいので誤魔化すしかないかな……」


 多分、一夜ひよなに頼んで、通販とかで取り寄せるかすれば手に入りそうだけど、流石に一日じゃ届かないだろう。

 いや、最近の通販は早いから、もしかしたら行けるかもしれないけど、万が一できなかった時が怖すぎる。

 あるいは、実家に行って借りてくるとか? 昔はよく海に行っていたし、その時の道具が残っている可能性はある。

 ひとまず、店を回ってみて、なかったらその方面で考えてみよう。


「ちゃんとあるといいんだけど」


 アウトドア用品店なんて、ほとんど寄ったことないんだけど、一応、それらしき店がどこにあるのかは知っている。

 さて、ちゃんと売っているといいんだけど。

 私は、わずかに不安を感じながら、店に入るのだった。

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― 新着の感想 ―
一夜さんに頼んだらそのまま一緒に連れて行くことになりそう
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