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捨てられたと思ったら異世界に転生していた話  作者: ウィン
第二部 第十二章:転生者の仕事編
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第三百五十話:トレンド

 遅くなりました。申し訳ありません。

 その後も、いくつかの質問に返答し、いい時間になったので、配信を終わる。

 いつもRTA配信ばっかりしているけど、たまにはこうして雑談配信するのも悪くない。

 途中、投げ銭機能が実装されていることに気が付いたリスナーさんが、投げ銭をして、それを見た他のリスナーも続くように連騰してきたというハプニングはあったが、あれも割と面白かったし、いいんじゃないかな。

 ただ、投げ銭と聞くだけなら、特に意識することもないんだけど、それが自分のためにされたと考えると、ちょっと緊張するね。

 私は、その投げ銭に応えられるほどの配信をできているのだろうかと若干不安になる。

 今回は、一夜ひよなもいたから、特に慌てることはなかったけど、次からこれがあると考えると、ちょっと怖いなぁ。


「そう言えばハク兄、今回はいつまでいられるの?」


「そろそろ戻ろうとは考えてるんだけどね。あっちの状況次第かな」


 ローリスさんが楽しげなことをやっているので、ローリスさんの気分次第だとは思ってる。

 まあ、別にローリスさん自身は転生者達の力を借りれば自力で帰れるだろうし、置いて行ってもいいけど、流石に時間差がやばいだろうからそれはしない。

 状況次第では、明日にでも帰ることになるかもしれないと伝えると、一夜ひよなは少し悲しそうな顔をしたが、またすぐに会えると思ったのか、すぐにいつもの表情に戻った。


「そうだ、異世界に持っていくとしたらなにがいいかな?」


「今回は連れて行かないからね?」


「わかってるわかってる。でも、いつかは行くわけだし、用意しておきたいじゃない?」


 先程の配信のせいで、一夜ひよなはすっかり異世界に行く気満々である。

 持っていくもの、何があるだろう。

 最悪、何も持っていなくても、私が何とか出来るから、いらないと言えばいらないけど、強いて言うなら、最低限の戦闘力だろうか。

 いくら私が四六時中守るとは言っても、万が一がある。

 何も、魔物を倒せるほどの力を手に入れろとは言わない。せめて、襲われた時に、生き残れる時間を増やすための手段として、何かしらの技術は欲しいと思う。

 まあ、一番いいのは、そんなものなくても守り切ることだけど、備えはいくらあってもいいからね。

 まじで、一夜ひよなを失うようなことがあったら、私は立ち直れないから、妥協はなるべくしたくない。


「一応、剣道は習い始めてるけどね。あと、合気道も」


「うーん、まあ、ないよりはましかなぁ……」


 魔物相手では心もとなさすぎるけど、対人戦を想定するなら、役に立つ場面もあるかもしれない。

 特に合気道は、相手の攻撃を捌くことに重点を置いた武術だし、相手が武器を持っていなければ、多少の時間稼ぎはできるかも。

 ……いや、やっぱり一夜ひよなを戦わせるのを想定するのはよくない。

 もし連れていくなら、防御魔法や結界を改良して、絶対に貫けない守りを作るしかなさそうだ。


「いざとなればハク兄が守ってくれるから大丈夫だって」


「そりゃ守るけど、心配過ぎる……」


 なんかもう、いつかは絶対に連れて行かなければならないって雰囲気が出てるけど、どうしたものかねぇ。

 絶対に安全な場所があるなら、そこにだけ行かせるというのでもいいけど、そんな場所あるわけない。

 竜の谷とか、私にとってはこれ以上ない安全な場所だけど、秘境中の秘境だし、そんな場所に連れていくのは怖すぎる。

 町の中でも、なんか心配だしなぁ……。

 もういっそのこと、一瞬だけ連れて行って、速攻で戻ってくるって言うのはどうだろうか。

 一応、異世界に連れて行ったという事実は作れるし、それで満足してくれないだろうか?


「……まあ、いいや。後で考えよう」


 連れていくにしろ、今はまだその時ではない。

 私は、なにやら目をキラキラさせている一夜ひよなをしり目に、後片付けをする。

 一夜ひよなも、今回はだめだと悟ったのか、後片付けを手伝い、その後、一緒にベッドにもぐりこんで、眠りについた。


 翌日。朝食を食べながら、『雷鳥チャンネル』を覗いてみると、なにやらおかしなことになっていた。

 昨日までは、チャンネル登録者がせいぜい50人ちょっとだったのに、今見てみると、500人を超えている。

 その数、実に十倍。一体、何があってこうなったんだろうか。


「あ、トレンドに載ってる」


 気になってSNSを覗いてみると、トレンドに『雷鳥チャンネル』の文字があった。

 コメントを覗いてみると、そのあまりに精巧な被り物が興味を引いたらしく、その手の界隈で結構な騒ぎになったらしい。

 その中には、人気配信者もいたらしく、これほど気合の入ったチャンネルなのだから、今後の活躍が期待できるとSNSで呟いたことで、一気に期待が高まったようだ。

 確かに、彼らの人外頭は皆本物だし、いくら被り物臭を強くしたとしても、見る人が見ればどれだけ凄いかはわかるだろう。

 これが、企業とかのチャンネルならともかく、完全に無名の個人チャンネルとなれば、一体どんな技術を持っているのかと期待するのも無理はない。

 今も、チャンネル登録者は伸び続けているようだし、これは予想外に人気が出そうである。


「あの人も反応してるね」


 『雷鳥チャンネル』を作るきっかけとなった、記者である長瀬さんも、SNSでコメントをしている。

 確かに、取材したのは確かだが、こんなに一気に増えるとは思っていなかったようで、ぜひまた取材したいと息巻いているようだ。

 前回の捨て垢ならともかく、恐らく出版社公式のアカウントで言っているようだから、その手の界隈の人にも注目されているようだ。

 みんな、やるのは主にゲームで、時たま歌や料理なんかを投稿したいとか言っていたけど、こんなに反響があって大丈夫かなぁ。

 確かに、評価してくれるのは嬉しいけど、これで期待外れの物を作ったら、それこそ反動でアンチになってもおかしくない。

 今は、自己紹介動画という段階だから、どちらの評価も下せないけど、大きな期待は、時にプレッシャーにもある。

 みんな、趣味というか、ただの興味本位で始めただけっぽいし、変に躓いて失敗しなきゃいいけど。


「とりあえず、ちょっと確認しに行くか」


 どのみち、そろそろ帰らなければならない以上、ローリスさんの意見は聞かないといけない。

 うっきうきで配信するんだと息巻いていたローリスさんだから、もしかしたら帰りたくないとか言うかもしれないけど、その時は説得しないといけないよなぁ。

 他の転生者達はともかく、ローリスさんがやるのは本当に悪手だったと思う。

 まあ、オンとオフを切り替えられるなら文句はないけどね。実際、楽しそうなのは見てて微笑ましいし。

 朝食を食べ終え、アパートに向かう準備をする。

 さて、どうなることやら。

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