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捨てられたと思ったら異世界に転生していた話  作者: ウィン
第二部 第十二章:転生者の仕事編
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第三百二十九話:オカルト雑誌

「それより、何か買ってきたの?」


「ああ、これね」


 そう言えばと思い出し、私は机の上に雑誌を広げる。

 軽くパラパラとめくってみると、都市伝説とか、オーパーツとか、色々なオカルト関連のことについて紹介されていた。

 こんな中に動画配信者の宣伝を差し込むのか? と思ったけど、なんかとりあえず人外関連なら何でもいいって感じらしい。

 これを読む人は、一体何を目当てに買っているんだろうか。


「昨日編集してもらった動画があるでしょ? その人について、紹介してるらしいんだよね」


「へぇ、雑誌で紹介されるなんて凄いじゃん。どういう繋がり?」


「それに関しては、ちょっとした罠があったというか……」


 私は、ケントさんと長瀬さんの関係性について話す。

 しかし、一応は命の恩人であろう人を、人外要素があるからと言って晒らし上げるのはどうなんだろうか。

 いくら記者と言えど、そこは少しは分別を持った方がいいと思う。

 それとも、そう言ったネタに困りすぎて、藁にもすがる思いだったんだろうか。

 それなら確かに、逃がすものかと思うのはわからないでもないけど。


「なるほどね。その話、私も聞いたことあるかも」


「やっぱり、有名なんだ?」


「まあ、一時はトレンドにも載ったみたいだしね。評価としては、賛否両論ってところだったけど」


 色々な人が解析していった結果、やらせだろって言う人と、これはもしかしたら本当に人外かもしれないという人とで二分されたらしい。

 まあ、後者に関しては結構な少数派っぽいけど、それでもそれなりの人が信じているとなると、ちょっと怖いところ。

 今回の動画で、それらが少しは払しょくされてくれるといいのだけど。


「あ、あったあった」


 話を聞きながら雑誌をめくっていると、紹介していると思われるページに辿り着く。

 枠としては結構小さく、一ページの半分にも満たないスペースだったけど、人外配信者、ここに爆誕、みたいな感じで紹介されていた。

 そこには、取材の際に話したことが色々と載せられていたけど、ほんとにこんなこと言ったっけと思えるようなことばかりである。

 なんだよ、人外の者がより暮らしやすくなるようにしていきたいです、とか、お仲間がいたらぜひ連絡してください、とか。

 まあ、あのアパートに住んでいるのは、大家さんを除いて全員人外だから、彼らが暮らしやすいようになってほしいって言うのはあながち間違いでもないけど、そんなことマジで言った覚えがない。

 抗議してやろうかとも思ったけど、幸いにして、核心に迫るようなことは何一つ書いてなかったので、これはこれで大丈夫だろう。

 元々、こんな雑誌買ってる人そんなにいないだろうしね。


「それにしても、わざわざ紹介するなんて、よっぽど気にいられたのかな?」


「相手は、こっちのことを完全に人外だと決めつけてたね」


「まあ、私はハク兄のこともあるし、人外の存在がいても不思議には思わないけど、普通そう言うのって、少しくらい疑うものじゃないの?」


「それはそうだけど……」


 確かに、いくらオカルト雑誌の記者と言っても、普通は人外を目の当たりにしたとしても、それが本物だとすぐに決めつけることはないだろう。

 仮に決めつけたとしても、それを面と向かって、あなた人外ですよね? なんて聞かないはずだ。

 そう考えると、あの人は実際に人外を見たことがあるんだろうか?

 思い返せば、最初の発言も、妖怪の類かと聞いていたし、妖怪関連で何か会ったことがあるのかもしれない。


「妖怪もいるのかなぁ」


「いてもおかしくはないと思うけど、どうだろうね」


 今でも語り継がれている妖怪は結構いるけど、現代において、それが現実に存在すると信じている人は少ないだろう。

 何か不可思議なことが起きた時に、昔はそれを妖怪の仕業と決めつけていたこともあっただろうけど、今じゃほとんどが科学的に証明されていることばかりだろうしね。

 そう考えると、妖怪なんていないんじゃないかと思うけど、ローリスさん達のように、ひょっこり現代社会に溶け込もうとしている人がいるかもしれないし、絶対とは言い切れない。

 もし、妖怪がいるのなら、ぜひとも会ってみたいね。

 あちらの世界で言う魔物と同じような存在なのか、それともちゃんと思考し、言葉を話す理性を持っているのか。

 それ関連で言うなら、昔に存在した陰陽師みたいな役職の人もいるのかどうかも気になるね。

 積極的に調べるつもりはないけど、もし会ったらちょっと面白そうだ。


「まあ、それはともかく、変なこと書いてないようで安心したよ」


 この雑誌によって、ある程度あの動画に流れていくことになるかもしれないけど、それはそれで問題はない。

 あんまり変な輩が増えすぎて、お前人外だろと決めつけてくる人がたくさん出てきたら問題だけど、いざとなればやめればいいだけの話だしね。

 もちろん、私としては続けて行って欲しいけど、それで生活に支障をきたすようなら、続けなくてもいいとは思う。

 最低限の仕事は果たしたつもりだし、文句を言われる筋合いもないしね。

 できることなら、みんな寛容でいてくれたらいいんだけど。


「それじゃあ、今日も編集しておくから、ハク兄は配信する?」


一夜ひよなは配信しなくていいの?」


「ハク兄が来た時はそっちを優先させてあげるって決めたの」


 私が来るのが、こちらの世界でおよそ二週間おきということもあって、私がこっちにいる間は、私の配信を優先するって言うことにしたらしい。

 まあ、確かにいつも一週間くらいで帰っちゃってるし、その期間を配信しない日があるのはもったいないと言えばそうだけど、私には、『Vファンタジー』に用意してもらったマンションの一室がある。

 そこにはきちんと配信部屋もあるし、やろうと思えばそっちで配信することも可能なのだ。

 それを、わざわざ一夜ひよなの部屋まで来て、配信部屋を使わせてもらっていると思うと、ちょっと申し訳ない気持ちになる。

 なんなら、配信中にアシスタントのようなことをさせることもあるしね。

 一夜ひよなはそれでいいんだろうか?


「まあ、私はいつも配信してるしね。プライベートで触れ合うのもいいけど、やっぱり配信を見たいからさ」


一夜ひよながそれでいいならいいけど、邪魔だったらすぐに言ってね?」


「はいはい。ほら、次はRTAの練習配信するつもりなんでしょ? ゲームは全部用意しておいたから、やってきなよ」


「用意がいいなぁ……」


 確かに、昨日いくつかの候補を貰ったので、SNSの方でアンケートを実施している最中ではあるけど、なんでそんな準備がいいんだろうか。

 まあ、ここまでお膳立てされているなら、むしろやらない方が失礼に当たるだろう。

 私は、一夜ひよなに記録媒体を渡し、さっそく配信部屋に入る。

 さて、アンケートの結果はどうなっただろうか?

 スマホでSNSを開き、内容を確認するのだった。

 感想ありがとうございます。

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