第三百二十五話:動画依頼と雑談配信
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とりあえず、編集について色々聞くために、一度一夜の家へと向かう。
なんだかんだ、この数日間はずっとアパートの方にいて、一夜に会いに行ってなかったからね。
こちらも配信しなくてはならないし、このタイミングで会いに行くことにしたわけだ。
「一夜、来たよー」
「あ、ハク兄、もうそんなに経ったんだ」
部屋の扉を叩くと、少しだらしない格好をした一夜が出迎えてくれる。
日にち的には、およそ二週間くらいだと思うけど、こっちでも数日滞在していたから、もしかしたらもう少し経っているかもしれない。
ひとまず、私がいない間に何があったのかを聞きつつ、こちらの用件を話すことにした。
「それで、動画配信をすることになってね」
「へぇ。リアル人外配信者とか、割と人気でそうじゃない?」
「そう?」
「今は割とそう言うの人気だと思うよ。ついこの前も、そんな感じの配信者が出てきたし」
「そうなんだ」
ヴァーチャライバーの界隈だと、純粋な人間という設定の方がむしろ少ないらしい。
いや、これに関しては、一夜が所属する『Vファンタジー』が、ファンタジー寄りな世界観を持っているからって言うのはありそうだけど、ケモミミとかは比較的多いようだ。
まあ、鳥って言うのはあんまり見ないようだけど。
「それで、自己紹介動画を作ればいいの?」
「うん。すでに動画は撮ってるから、後は字幕とかの編集を加えればいいんだけど」
「それくらいならパパっとやって上げるよ。データ頂戴」
「いいの?」
「いいのいいの。ハク兄は、それより自分の配信をした方がいいと思うよ?」
「そう言えば、そっちもやらなきゃだね」
確か、前回は宇宙運送の遭難記のRTAをやって、それで終わったんだったかな?
配信するとしたら、やっぱりRTAになりそうだけど、今度は何をしようか。
またアンケートを取るか、それとも雑談配信でもして、そこで決めるのもいいかもしれない。
とにかく、今回は結構時間が空いているので、何でもいいから配信しないと色々な人に申し訳ない。
「それじゃあ、お願いしていい?」
「任せといて。でも、今後も動画配信するんだったら、自分でも学んだ方がいいとは言っておくよ」
「それはそう」
自己紹介動画を上げた後、何本か動画を配信する予定ではあるけど、その度に一夜に編集を任せるわけにはいかないし、自分でも学んだ方がいいだろう。
まあ、今回は私が原因だから、私がやってもいいんだけどね。
今後、反応や本人の様子を見て、続けるかどうかは決めて行けばいいと思う。
「配信部屋借りてもいい?」
「いいよー。あ、配信終わってからでもいいから、みんなに連絡はしておきなよ?」
「あ、それもそうだね」
こっちに来たことを伝えないと、また何か言われそうだしね。
今は時間もあれだから、明日にでも連絡したらいいだろうか。
そんなことを思いながら、配信部屋へと入る。
今回は雑談配信でいいだろう。質問箱は常に設置しているから、特に準備もいらないし。
そう思いながら、配信の準備を進める。
準備を整えた後、配信を開始した。
「皆さんこんハクです。月夜ハクだよ」
(コメント)
・急に始まった
・ハクちゃ!?
・お風呂出たら始まってた
・告知してない?
・こんハク!
「あ、告知忘れてた。今告知したから、これで許して?」
(コメント)
・始まってからしても遅いんだよなぁ
・許す!
・可愛いから許す!
・今回は割と空いたけど、また異世界行ってたの?
「あ、うん、異世界行ってたよ。結構時間開いちゃったから、今回はまったり雑談でもしようかと思って、急遽枠を立てさせてもらったよ」
私は、質問を募りながら、近状を話す。
毎回思うけど、一年ちょっとで色々起こり過ぎだよね。
特に、神様との戦闘は気が気じゃなかった。本当に、よく生きていたものである。
まあ、流石に神様関連は行きすぎだと思うので、近状報告では言わないけども。
(コメント)
・ハクちゃんが学校の先生に?
・つまり、教師姿に
・ハクちゃんはむしろ生徒側では
・ちっちゃい先生がいてもいいと思います
・ハクちゃんに教えられてぇなぁ
「まあ、先生の方はちょっとやりすぎてすぐにやめちゃったけどね」
(コメント)
・いったい何をやらかしたんだ
・ハクちゃん妖精だから人間の加減を知らなそう
・魔法得意らしいしな
・教室の壁爆破してそう
生徒達の腕を切り落としたことは言わない方がいいかな?
あんまり過激なのは、異世界という色眼鏡があったとしても咎められそうだし。
いやまあ、今更って気がしないでもないけど、引かれるのは嫌なので、これは黙っておくことにしよう。
(コメント)
・後は魔導船?
・空飛ぶ船ってほんとにあるんだ
・魔法が発達している感じなのに、空飛ぶ船が作れるんだ
・ハクちゃんの話ファンタジー感あって好きだよ
・確かに、よく思いつくよね
魔導船とかは、それこそゲームでもなければお目にかかれないものだからね。
いやまあ、飛行船とかを考えるなら頑張れば乗れないこともないだろうけど、厳密には飛行船と魔導船は違うものだと思う。
私も乗ったけど、やっぱり感覚が違ったからね。ワクワク感が違う。
「近状報告はこんなものかな。後はまあ、ちょっと知り合いのお手伝いをしてたよ」
(コメント)
・お手伝い?
・ハクちゃん知り合い多そうだよね
・何の手伝い?
「詳しいことは言えないけど、それで今回遅れちゃったって言うのはあるんだよね。しばらくはこっちにいるつもりだけど、もしかしたらそんなに配信できないかも」
(コメント)
・そんなー
・何の手伝いなんだろ
・先生はクビになったって話だしな
・運営関係?
・グッズ販売の準備とかだと嬉しい
・もっと配信して
「あ、そうそう。もし配信するとしたら、またRTAをやろうと思っているから、何かして欲しいゲームがあったら、コメントしてくれると嬉しいな」
(コメント)
・お、RTA
・前回は宇宙運送の遭難記で結構凄いことしてたからな
・ハクちゃんなら何任せても凄い記録出してくれそう
・むしろハクちゃんにできないRTAってなんだ?
・フィットネスなアドベンチャーとか無理じゃね?
・ああ、確かに
「それは映すのが大変だから、できれば別のがいいな……」
フィットネスなアドベンチャーは、実際に体を動かして遊ぶ、トレーニングゲームである。
割と本格的な運動ができることで知られていて、下手な配信者は運動不足故に悉く挫折していくゲームでもある。
まあ、私の場合は、身体強化もあるし、大丈夫だとは思うけど、あれをRTAするとなると、不正がないかを確認するために、全身を映す必要がある。
流石に、私の全身を映すのは、色々と問題がありそうなので、流石にそれはできないかなぁ。
その後も、いくつかのゲームが候補に挙がっていく。
中には、私がやったことあるゲームもちらほらあったので、それらの中からまたアンケートで決めるのがいいかな。
そんなことを考えながら、雑談配信を続けていった。




