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捨てられたと思ったら異世界に転生していた話  作者: ウィン
第二部 第十一章:空飛ぶ船編
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第三百二話:提供素材の話し合い

 その後、せっかくだからとカイルさんの魔道具を見せてもらった。

 以前は、エルバートさんからの依頼で魔導銃っぽいものを作っていたようだけど、基本的には一般的に使われている、家庭用の魔道具を作っているらしい。

 ゴーフェンでも結構名の知れた魔道具職人のためか、オーダーメイドで依頼してくる人も多いらしく、店に置いてあるのはあくまで見本らしいけどね。

 カイルさんは、魔石の変換のための適性属性が少ないのが難点だけど、魔道具を作ることにおいては、右に出る者は少ないんじゃないだろうか。

 私も、カイルさんに教わったからこそ、魔道具作りができるようになったしね。


「何か買ってくかい?」


「じゃあ、せっかくなのでこれを」


 何も買わずに行くというのもあれなので、超小型の火をつける魔道具を買うことにした。

 主に、旅の道中で、焚火を作る際に使用することを想定されているらしい。

 確かに、料理用の魔道具はあっても、単純に火をつける魔道具って少ないからね。

 まあ、火をつけるだけだったら、火の魔石をそのまま使うでもいいんだけど、やっぱり危ないから、魔道具として使えるようにしてくれた方が誰にでも使えて楽である。

 と言っても、私は普通に火魔法が使える上に、焚火の火種にも使えるほど操作にも慣れているから、使うかどうかは微妙だけどね。

 後で護衛に来ている冒険者の二人にでも上げるとしよう。あの二人なら、役立たせてくれるでしょ。


「さて、そろそろ戻ろうか」


 話している間に、だいぶ暗くなってきてしまったので、城に帰ることにする。

 転移魔法で自宅に帰ってもいいけど、フェンスさんが心配するだろうしね。

 一応、一か月は家を空けるとみんなには伝えてあるし、特に緊急の予定がなければ多分大丈夫だと思う。

 城に戻ると、食事を用意してあるということで、向かうことにした。

 毎回のようにやるわけではないようだけど、今日は各国の人々が集まっているということもあって、懇親会みたいなことをしたいらしい。

 食堂に集まって、料理に舌鼓を打ちながら、会話を楽しむ。

 皇帝もその輪の中に入り、色々と話をしているようだった。

 料理はとても美味しかったし、いろんな国の話を聞けて、大変満足である。


「ふぅ……」


 食事を終え、お風呂も用意されていたので入り、さっぱりした気持ちで部屋へと戻る。

 しかし、全員分の部屋を用意するとなると、結構な数が必要になると思うんだけど、よく足りるね。

 ワンチャン、宿屋にでも分散して泊るのかと思っていたけど、そういうわけでもなさそうだし、流石広いだけはある。


「みんな元気そうだったし、よかったかな」


 なんだかんだ、ゴーフェンで出会った人々は、みんな元気そうだった。

 カイルさんの息子である、ザック君に会えなかったのがちょっと残念だけど、まあ、あの様子ならきっと元気にやっていることだろう。

 明日は、打ち合わせをして、提供する品を決める予定である。

 なるべく軽く、耐久力がある素材ということで、一番適性がありそうなのはミスリルなんだけど、ミスリルは結構貴重な素材。鉱山でも持ってないと、多くを提供することはできない。

 そもそも、すべてミスリルじゃコストがかかりすぎるしね。なるべく、代用が利く安い素材でなければならないというのもポイントかもしれない。

 オルフェスの名産が何かはよく知らないけど、都合がいいものがあるといいね。


「さて、寝ようか」


 特にやることもないので、エルと共にベッドに潜りこむ。

 うまくいくといいなと思いながら、眠りについた。


 翌日。起床して、朝食を食べた後、さっそく打ち合わせが始まった。

 一応、すべての国に聞く必要があるため、今回で必ずしも決まるわけではないんだけど、オルフェスで提供できる素材は明示しておかなければならない。

 フェンスさんと共に、相手の外交官と向き合う。


「それではまず、必要な素材から参りましょう」


 まず、魔導船に使われる素材だが、浮力を少しでも確保するために、基本的には軽い素材が重要視されるようだ。

 普通の船と同じように、木材でもいいが、浮力を確保するための設備の関係上、木材だけだと耐久力に難がある。

 ミスリルを使うことは決定しているが、それ以外にも、何か軽くて耐久力がある素材が欲しいとのこと。


「オルフェス王国では、何を提供できるでしょうか?」


「あらかじめ、それらしい素材をリストにまとめておきました。こちらです」


 フェンスさんは、慌てることなく資料を広げていく。

 リストには、いくつかの候補が並べられており、、相手方も、興味深そうにそれを眺めていた。

 ただ、やはり行きつく先はミスリルというのはある。

 ミスリルは、主に武器や防具の素材として優秀だが、それ以上に、軽くて丈夫であり、さらに魔力を良く通すという特性が便利すぎて、今回の魔導船の素材にうってつけなのである。

 設計図でも、浮力を生み出すための設備、例えばプロペラや羽などの素材には、ミスリルが使われることがすでに決まっている。

 コストを気にしないのであれば、基本を木材にして、補強にミスリルを使う形が一番いいと思うんだけど。


「これは魔物の素材だと思うのですが、用意できるのですか?」


「多少時間はかかるでしょうが、やってやれないことはないかと」


 リストの中には、魔物の素材も含まれているようだ。

 確かに、魔物の素材は、割と使いやすいものも多い。

 ワイバーンの鱗とかは、硬さに優れ、空の魔物に対する防御手段ともなりうるし、数さえ用意できれば、悪くない素材でもあると思う。

 まあ、誰が集めるんだって話にはなると思うけど。

 護衛の二人が苦笑しているし、冒険者の仕事が増えそうだ。


「なるほど、わかりました。他の国の意見も参考に、後ほど決めさせていただきますね」


「よろしくお願いします」


 今回は、それぞれの国がどんな素材を用意できるのかを聞くだけなので、話し合いはすぐに終わった。

 さて、オルフェスが何を提供することになるかは知らないけど、どこかの国はミスリルを提供することになりそうだよね。

 別に、ミスリルを提供するだけだったらできる。

 私は、ホムラに教えてもらったダンジョンで、ミスリルが採れることを知っている。

 ダンジョンの素材は、時間によって復活するため、ダンジョンにミスリルが生成されるということは、無限にミスリルを取れるということでもあるのだ。

 私は、定期的にそこに行って、ミスリルや宝石ゴーレムを狩っているので、【ストレージ】の中には大量のミスリルが眠っている。

 これを出せば、オルフェスはゴーフェンをもしのぐミスリルを提供することができるだろう。

 だけど、一応これは国のことである。確かに、私がミスリルを提供することによって、オルフェスの評価は上がるかもしれないが、それでミスリルをいくらでも取れる国と思われるのは困る。

 ゴーフェンはともかく、他の国に知れたら、狙ってくる人もいるだろうし、それで戦争に発展されても問題だからね。

 王様に頼まれたのなら出しても構わないけど、そうでないなら、オルフェス王国自身が用意できるものでないといけないよね。

 他にも言いたいことはあるけど、とりあえず成り行きを見守っていくとしよう。

 そう考えて、部屋に戻るのだった。

 感想ありがとうございます。

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