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捨てられたと思ったら異世界に転生していた話  作者: ウィン
第二部 第十一章:空飛ぶ船編
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第二百九十八話:同行するのは

 今回の一大プロジェクトだが、他の国にも支援をしてくれるように呼び掛けているらしい。

 元々、ゴーフェンはその類稀なる技術力の高さ故に、多くの国から狙われていた歴史がある。

 今のゴーフェンが帝国と呼ばれるほどの規模なのは、そうした国々を吸収していった結果だ。

 だから、今残っている国々は、わざわざゴーフェンに喧嘩を売ろうなんて国はほぼなく、むしろ協力的な国が多い。

 ただ、近隣国すべてに協力を要請しているかと言われたら、そうでもないようだ。


「ゴーフェンは、武力でも、技術でも、金銭面でも、他に追随を許さない大きな国だ。元々、支援など貰わなくても、大抵のことはできるだけの力がある。だから、今回支援を要請しているのは、国として友好的に接するべきと考えた、特に仲がいい国だけらしいな」


 今回のプロジェクトが成功すれば、歴史的な大偉業である。

 元々、支援など必要はないが、あえて支援させることによって、その功績に、一枚噛ませてやると言っているわけだね。

 大した自信だと思うが、ゴーフェンなら確かにやりかねない。

 もし仮に、このプロジェクトが失敗するとしても、ゴーフェンができないならどこができるんだって話だし、馬鹿にする国もいないだろうから、恩を売るチャンスではあるのかな。


「ということは、オルフェス王国はその友好国の一つに選ばれたんですね」


「そういうことだ。もっとも、恐らくは国というよりは、そなたを巻き込みたかったというのがあるんだろうがな」


「私ですか?」


 はて、私が何の関係があるんだろうか?

 そりゃ確かに、ゴーフェンの皇帝には、ギガントゴーレムを譲ったりしたこともあったけど、あの時はただのアルトの護衛という立場だったし、そこまで印象に残っていないんじゃないかと思ったんだけどな。

 思った以上に感謝してくれていたってことなんだろうか。もしそうだとしたら、譲って正解だったかもね。


「先方からは、ぜひハクにお越しいただきたいと言われている。鬼気迫る勢いで言ってきたから、断るに断れなかった」


「そこまでですか」


「忙しいのは重々承知しているが、どうかこのプロジェクトに手を貸してやってくれないか?」


「普通に興味ありますし、ぜひともお受けしますよ。


 別に、空を飛ぶだけだったら、竜の翼もあるし、何なら飛行魔法だって使えるが、そうやって飛ぶのとはまた違うだろう。

 この世界で空飛ぶ船なんて、とても夢がある話だし、それに関われるのなら、断る理由はない。


「助かる。後日、説明会があるらしい。次の満月の日に、ゴーフェンまで来て欲しいとのことだ」


「現地集合ですか?」


「転移魔法陣で来ることを想定しているようだから、集合場所は転移魔法陣ということになるだろうな」


 ああ、なるほどね。

 ゴーフェンは普通に馬車で行ったら結構な時間がかかるし、普通は転移魔法陣で移動することを考えるよね。

 私だったら、一度行ったことがあるし、転移魔法でちょちょいと行くこともできるけど、そういうことなら、転移魔法陣で行こうかな。

 あ、でも、早めに行って、町を見て回るのもいいかな?

 あそこは、最先端の魔道具が揃う場所でもあるし、何か面白いものが見つかるかも。


「他に一緒に行く人はいるんですか?」


「相手方との橋渡し役として、外交官を一名、護衛を二名送る予定だ。一応、使節団として、ハクやエルも一緒にと考えているが、別行動するか?」


「まあ、そういうことなら一緒に行きましょう。別れたら大変そうですしね」


 護衛に誰が来るか知らないが、恐らくはBランクかAランクの冒険者の誰かだろう。

 Aランクであれば、お兄ちゃん達も候補に挙がるけど、それだったら、家に来た時に一緒に伝えていそうだし、今回は別で用意したってことなのかな。

 なんなら、私が護衛役をしてもいいけど、まあ、すでに用意したというなら特に指摘する必要もない。


「詳しいことは、あちらに着いてから説明することになっているようだ。何か質問はあるか?」


「いえ、大丈夫です。あ、その外交官さんとは、今会っても?」


「ああ、そうだな。顔合わせくらいはしておくべきだろう。今呼ぶから少し待ってくれ」


 そう言って、王様はベルを鳴らして、呼びに行かせる。

 しばらく待っていると、応接室に三人の男性がやってきた。


「彼らが、今回のプロジェクトに参加する三名だ。自己紹介を頼む」


「はっ。お初にお目にかかります。私は、フェンスと申します」


 そう言って、頭を下げたのは、真面目そうな壮年の男性だった。

 若干目つきが鋭い気もするが、仕草はとても洗練されていて、一部の隙もないというイメージ。

 なんか、あんまり気を張りすぎるとすぐに疲れてしまいそうな印象があるけど、大丈夫なんだろうか?

 他の護衛二人も、続けて自己紹介をしてくれる。

 やはり冒険者なようで、私も何度か会ったことがある二人だった。

 イメージ的には、いつもギルドで飲んだくれているって印象しかないんだけど、これでも最近Bランクに上がったようだし、最低限の仕事はしてくれるだろう。

 知り合いが相手なら、私も緊張せずに済むしね。


「初めまして。私はハク、そしてこっちがエルです。よろしくお願いしますね」


「ハク殿の噂は聞いております。巷では、王都の英雄とも呼ばれているとか」


「まあ、そんな風に呼ばれていた時もありましたね……」


 なんか、かなり昔なような気がするけどね。

 私のあだ名って、色々あるからあれだけど、みんなそんなに的を射てないような気がする。

 確かに、ちょっとやりすぎてしまったこともあったけど、私は別に、そんな風にもてはやされたかったわけではないんだけどな。


「今回、同行できることになって、光栄です。至らないこともあるかと思いますが、どうぞよろしくお願いします」


「いえいえ、こちらこそ」


 フェンスさんは、そう言ってその場を去っていった。

 なんか、真面目過ぎて少し心配になるけど、今回のプロジェクトは、ゴーフェンが主導で行うとても大きなものである。

 支援と言っても、どちらかというと、名誉を享受する側なのだし、下手な人材を送って、ゴーフェンとの関係が悪化しても困るから、そういう意味では信頼できるかもしれない。


「護衛はあちらに任せているが、もしよかったら、少し気にかけてやって欲しい」


「それくらいはしますよ。と言っても、多分何もないでしょうけどね」


 今回は、別に討伐とかに行くわけでなく、主に外交をするだけである。

 支援として、いくらかの物資を提供する必要はあるだろうが、基本的には転移魔法で送ることになるだろうし、襲われる危険性はほぼない。

 仮に、何かが攻めてきたとしても、護衛がいなくても、ゴーフェンの兵士達が何とかしてくれるだろう。

 攻め込まれないという意味では、ゴーフェンは相当硬い場所だと思う。


「さて、楽しみになって来たね」


 話も終わったので、城を後にし、家に帰還する。

 次の満月までおよそ一週間くらいだろうか。一体どんなプロジェクトになるのか、今から楽しみである。

 実際に完成するのは何十年後とかになるかもしれないが、もし完成したなら、ぜひとも乗ってみたいね。

 感想ありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
[一言] 魔法関係で何か手が必要だったりするのかな
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