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捨てられたと思ったら異世界に転生していた話  作者: ウィン
第二部 第八章:再びの里帰り編
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第二百三十六話:RTA配信第二弾

 その後、しっかりと楽しんで、お昼も食べた後、帰宅することになった。

 子供の姿の方が有利に働く場面も多いけど、やはり大人の姿の方が色々と融通は利く気がする。

 あんまりやりすぎるのはよくないかもしれないけど、今後もいざとなったら【擬人化】で大人の姿になるとしよう。


「さて、結局これになったわけだけど」


 私は、一度拠点のマンションに行って、ゲームを引っ張り出してくる。

 アンケートの結果、選ばれたのは、やはり宇宙運送の遭難記だった。

 シリーズはいくつかあるけど、一番人気はやはり初代。

 中には、全シリーズやってくれと言っている人もいたけど、まあ、まずやるなら初代だろう。

 パッケージを見て、懐かしさを感じる。今考えると、このゲームも割と鬼畜だよね。

 油断すると、すぐに大量の犠牲が出るから、それがトラウマでやめてしまったって人も多いんじゃないだろうか。

 世の中には、無犠牲クリアをする人もいるようだけど、あれは本当に凄いと思う。


《ハク、今日も配信するのか?》


《お兄ちゃん、うん、そのつもりだよ》


 ゲームを漁っていると、お兄ちゃん達がやってくる。

 あれから、ゲーム三昧かと思っていたけど、私に窘められたのが効いているのか、外に出ることを選択したようだ。

 元々、ユーリに案内してもらうという約束をしていたというのもあるし、せっかくだから、この町についてもっと知りたいと思ったらしい。

 ゲームのし過ぎで目を悪くしてもらっても困るし、楽しめているならよかったかな。


《できれば、コメント? をしてやりたいが、いまいちやり方がわからなくてな》


《普通の読み書きじゃなく、きーぼーど? でやるからよくわからないのよね》


《そ、そんなに気にしなくていいよ?》


 お兄ちゃん達は、それなりにこちらの言葉も覚えてきたと思う。

 以前こちらの世界に来た時から、時たま私に教えを乞うていたからね。

 今なら、簡単な挨拶や、単語くらいだったら聞き取れると思う。

 ただ、もちろん書きに関してはまだ全然なので、紙に文字を書くどころか、タイピングするなんて夢のまた夢だけどね。

 でも、二人とも記憶力はいいから、そのうちちゃっかり覚えてしまうかも。

 その結果、私の配信にコメントされたら、それはそれで困るけど……。


《また一夜ひよなのところに行くけど、何か困ってることはある?》


《いや、特にはない。こっちは心配しなくても大丈夫だぞ》


《ほんとに? 実は何か問題を起こしてるとかないよね?》


《俺を信用しろって。大丈夫、もし何かあったら、真っ先に連絡するから》


《それならいいんだけど……》


 外に出るようになったのはいいけど、それはそれで問題が起こる可能性があるのがちょっと怖いんだよね。

 先の、ボウリング場での悲劇のように、この世界の常識があまりないのもそうだし、そうでなくてもその容姿はかなり目立つ。

 ユーリの話では、スカウトが来るほどらしいし、自分から問題を起こさなくても、問題の方が寄ってくる可能性も十分ある。

 まあ、ユーリと一緒だろうし、最悪ユーリが何とかしてくれそうではあるけど、ちょっと心配。


「こっちはこっちで何とかするから、ハクはハクで楽しんだらいいと思うよ」


「ユーリ……まあ、そういうことなら任せるけど、何かあったら連絡してね?」


「わかってるって」


 まあ、子供でもないんだし、多分大丈夫だろう。

 私はユーリに後のことを任せると、ゲームを持って一夜ひよなのマンションへと向かう。


「お帰り。ゲームあった?」


「ただいま。うん、これだね」


 帰り際に別れたが、一夜ひよなも無事に帰れたようだ。

 私は早速、配信部屋に入り、ゲームの動作確認をする。

 結構古いと思うんだけど、問題なく、普通に起動してくれた。


「操作も問題なさそう。後は、配信の時でいいかな」


 今回は、キューブ型のハードでやることにする。

 一応、このゲームは、後にリモコンで操作するハードなんかにも移植されているけど、今回はこちらだ。

 確認は終わったし、後は動画とかでルートの確認でもしておこうかな。

 配信は、夕食を食べた後にやろうと思っている。

 あ、告知もしておかないとね。忘れないうちにやっておこう。


「……さて、そろそろかな」


 その後、色々と準備を済ませ、配信の時間になった。

 後ろには、いつものように一夜ひよなとエルが観戦している。

 私は、念のため二人に確認を取った後、配信開始のボタンを押した。


「皆さんこんハクです。月夜ハクだよ」


(コメント)

・今日も来たぜー!

・毎日配信嬉しい

・今日は何やるんですか?


「今日は、RTA配信第二弾、その練習風景を見せて行こうと思うよ」


 そう言って、ゲームのタイトル画面を映す。

 アンケートによって、すでに結果はわかっていたが、いざタイトルが表示されると、コメントも大盛り上がりとなった。


「アンケートの結果、やるのはこのゲームとなりました。一応、少しならやったことがあるんだけど、果たしてどうなるか」


(コメント)

・このゲームの世界記録はマジで化け物レベル

・二日目がきつすぎる

・俺は岩飛ばしてくる奴がトラウマでやめた

・最低日数って6日だよね? できるのかな

・ハクちゃんならやってくれる


「まずはルートの確認がてら、軽くやってみようと思うよ。と言っても、一日目はそんなに言うことがないけど」


 一日目は、数を増やして、エンジンパーツを回収して終わりだから、特に言うことはない。

 ただ、そんな単純な作業でも、素人とプロでは明確な違いがあるようで、一日を終えた時点でも、世界記録からはそれなりの差がついてしまった。

 まあ、別に世界記録を狙っているわけではないから、最低限6日クリアができればいいかなと思っているんだけど、何が違うんだろうね?


(コメント)

・ここで待って花にしてた

・かなり時間かければ行けるよな

・ここのパーツを一日目に回収できれば、夢の5日クリアもできるんだけどな

・場外抜けできればいいんだけど

・場外抜けれてもどのみち赤だけじゃ無理だろ


「一日目は特に問題はないかな。まあ、細かいところは後で詰めていくとして、問題は二日目だよね」


 動画などを見る限り、このRTAに置いて、最も難しいのはこの二日目らしい。

 というのも、最初は隊列の数が少なく、育成もできていない状態なので、増やして育てるという作業が必要であること。そして、本来なら別の色が必要なところを、無理矢理突破しなければならないことなどがあって、難易度がかなり高い。

 当然、犠牲を出していては間に合わないので、必然的に無犠牲を要求される。

 それ故に、絶望の森なんて呼ばれ方もしているらしいね。


「今回もなるべくグリッチは使わないで行くけど、そもそもグリッチがそこまでないかな?」


(コメント)

・回収バグくらい?

・水泳とかは仕様だしな

・場外抜けはだめか?

・ああ、一個やるところあったね

・あれできないとなると相当タイムロスになるが


「ああ、確か、5日目だっけ? まあ、それに関しては普通に攻略するしかないかな」


 皆が言っているのは、本来高く飛べる黄色でしか回収できないものを、場外に抜けることで無理矢理青で回収しようって話だ。

 そのパーツは、水辺に囲まれているくせに、泳げない黄色を要求されることもあって、色替えの作業が必要になってくる。

 その作業がかなり時間を使うので、じゃあ最初から泳げる青で回収すればいいということになり、場外抜けの技が出来上がったんだと思う。

 本来、場外は侵入することを想定されている場所ではないので、それはグリッチと呼べるかもしれない。

 ルート取りがちょっと変わりそうだね。

 まあ、そのあたりは、試行錯誤しながら考えるとしよう。

 そんなことを考えながら、練習を続けるのだった。

 感想ありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
[一言] ゲーム製を著しく崩壊させなければグリッチもいいと思うんだけどねぇ
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