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捨てられたと思ったら異世界に転生していた話  作者: ウィン
第二部 第八章:再びの里帰り編
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第二百二十五話:観光へ

 拠点であるマンションの部屋に赴くと、なにやら騒がしい音が聞こえてきた。

 何事かと思って部屋に入ってみると、そこでは、お兄ちゃん達がテレビを囲んでパーティゲームに興じている姿があった。

 この拠点には、以前私がRTA配信をするにあたって、リスナーの皆さんから送られてきた多種多様なゲームが置いてある。

 『Vファンタジー』の本社に置いておいてもよかったけど、所有権的には私のものだし、せっかく部屋もあるということで、こちらに移しておいたのだ。

 恐らく、それらが入っている箱を見つけたのだろう。ユーリあたりが使い方を教えて、一緒にプレイを始めたってところではないだろうか。

 一応、あちらの世界でも、ゲーム自体はできたのだけど、電源の関係上、そんな長時間はプレイできない。

 お兄ちゃん達も、それにはやきもきしていたようだし、この世界ならいくらでもできるとなって、テンションが上がってしまったのかもしれないね。


「あ、ハク、お帰りなさい」


「ただいま。楽しそうだけど、いつからやってるの?」


「えっと、昨日の夜から?」


「徹夜してるじゃん」


 まあ、お兄ちゃんもお姉ちゃんも、徹夜には慣れてるだろうし、ユーリだってその気になれば寝ずに行動することは可能だ。

 だから、一徹くらいはしてもおかしくないけど、そこまではまるものかね。

 いや、楽しいのはわかるけどね?


「思いの外楽しくて、つい」


「まあ、体調を崩さずに、周りに迷惑をかけないならしてもいいけど、ほどほどにね?」


 こちら世界では魔物は存在しないし、戦う場面もないだろうから、多少羽目を外しても問題はないけど、その感覚をあちらの世界に持ち帰られても困る。

 ゲームは一日一時間、とは言わないけど、少なくとも夜はちゃんと寝てほしいね。


「お、ハク、帰ったか」


「お帰りなさい。ハクも一緒にやる?」


「ただいま。やってもいいけど、今はそういう気分じゃないからいいかな」


「そうか。楽しいんだがな」


「あんまりやりすぎると目を悪くするよ?」


「そうなのか? それならやめておくか」


 私の意見を素直に聞き、お兄ちゃん達はプレイをやめた。

 この様子だと、ご飯も食べていなさそうなので、適当に冷蔵庫から食材を引っ張り出して、簡単な食事を作る。

 本当に、このままゲームにどっぷりはまっていかないか心配になってきたんだけど。


「お兄ちゃん、今日は何か予定はあるの?」


「予定か? またゲームをしようと思っていたんだが」


「流石にやりすぎだから、今日はゲーム禁止ね」


「む、それなら、また観光に行きたいな。ユーリに色々案内してもらったが、まだまだ行ってない場所は多いからな」


 ユーリにどこを案内したのか聞いたけど、適当にお昼を食べて、途中でテレビの番組撮影みたいな場面に遭遇したらしい。

 ついでに、スカウトっぽいこともされて、結構大変だったのだとか。

 まあ、この見た目だし、スカウトが来てもおかしくはないのかな?

 とにかく、まだ行ってない場所は多そうなので、どうせなら連れて行ってあげようか。


「なら、私が案内するよ。ずっとユーリに任せっぱなしなのも悪いしね」


「僕は気にしないけど?」


「それでも。ユーリだって、行きたいところあるでしょ?」


「まあ、それなりには」


 ユーリは元々こちらの世界の住人だから、行きたい場所は無数にあるだろう。

 中には一人で行きたい場所もあるだろうし、これを気に行ってきてもらっても構わない。


「なら、任せようかな」


「うん、任せて」


 そういうわけで、今回は私がお兄ちゃん達を案内することになった。

 さて、どこに案内してあげようかな。


「お兄ちゃん達は、行きたい場所とかあるの?」


「ハクのお勧めでいいぞ。何があるかわからんしな」


「できれば、体を動かせるところがいいけれど」


「体を動かせるところね」


 そうなってくると、あそこがいいだろうか。

 私自身、高校生までは、よく行っていた場所なんだけど、会社に入社した後はあまり行く機会がなかった場所。

 今も変わらずあるといいんだけど。


「それじゃあ、ついてきて」


 身支度を整えた後、私達は町へと繰り出す。

 相変わらず、人目が凄いけど、もう視線にはだいぶ慣れた。

 それに、今回は私じゃなく、お兄ちゃんやお姉ちゃんに多くの視線が集中しているというのもある。

 私も、銀髪という意味では珍しいけれど、ここにはカラフルな髪色の人が他に三人もいる。そして、それらがみんなイケメン&美女となれば、自然とそちらに視線が向くだろう。

 だから、私としては、割と気軽に歩くことができた。


「ここだよ」


 電車に乗り、やってきたのは、屋根に大きなピンの飾りがある場所。すなわち、ボウリング場である。

 私の場合、体を動かすと言ったらここだった。

 まあ、人数が多くなると、必然的に座ってる時間の方が長くなってしまうけど、それでもゲーム数を重ねればかなりの運動となる。

 爽快感もあるし、私はこの場所が好きだった。


《ここはどんな場所なんだ?》


《ボウリングっていう遊びができる場所だね。設置された10本のピンを、ボールを転がして倒すっていうゲームだよ》


《ふーん? なんだかよくわからんが、面白そうだな》


《とりあえず、受付を済ませちゃおうか》


 ボウリングは、説明を聞くより、実際にやってみた方がわかりやすいと思う。

 受付に行くと、私達の姿に驚いたのか、目を白黒させながら、片言の英語で日本語ができるか聞いてきた。

 まあ、外国人が来ることはあっても、こんなあからさまに髪色がおかしい人は来ないよね。

 私は日本語ができることを伝え、必要事項を記入する。

 しばらくすると、一つのレーンへと通された。


《ここでは、この靴を履いてね。床が傷んじゃうから》


《ねぇ、ボールってこれのこと?》


《あ、うん、そうだよ。靴を履いたら、持ちやすい重さのものを選んでね》


 軽く説明をしつつ、みんなでボールを選ぶ。

 結果的に、お兄ちゃんが16ポンド、お姉ちゃんとエルが10ポンド、私が8ポンドのものを選ぶことになった。

 いや、重さ的には、みんな16ポンドでも足りないくらいだったんだけど、穴の大きさ的に、それ以上大きくなると、届かないということがわかった。

 私なんて、かなり手がちっちゃいからね。もしこれ以上のものを持つとしたら、親指は外して投げなければならないだろう。

 そういう投げ方もあるっちゃあるけど、私はあんまり得意じゃないので、普通に投げたい。


《まず、私がやって見せるね》


 みんなルールをわかっていないだろうから、まずは私がお手本を見せる。

 ボールを構え、助走をつけて、静かにボールを投げる。

 ボールは思いのほかスピードが出たが、中心から外れてしまい、端の方の3本を倒すだけにとどまった。


《こんな風に、ボールであのピンを倒した数を競うの》


《なるほどな》


《とりあえず、全部倒すのを目標にしたらいいと思うよ》


 私はもう一度投げて、5本のピンを倒す。

 合計8本なので、これは8点ってわけだね。

 一応、ストライクとかスペアを出せば、ボーナスがつくけど、最初だし、特に気にしなくても問題はないだろう。


《次は私ね》


 二番手はお姉ちゃんである。

 さて、お手並みのほどはどうだろうか?


《それっ!》


 お姉ちゃんが投げたボールは、指から離れるのが遅かったからか、大きく弧を書いてレーンに大きな音を響かせた。

 たまにあるよね。指がうまく抜けなくて床に沿って投げられない時。

 あんまりやると床が傷つくからやらない方がいいけど、今回は初めてだし、仕方ないだろう。


《2本かぁ》


《もう一回投げられるから、まだチャンスはあるよ》


 思ったように倒れなくて、がっかりした様子のお姉ちゃん。

 まあ、コツを掴むまでは、思うように倒れないのはよくあることだ。

 私はお姉ちゃんを励ましつつ、その様子を見守っていた。

 感想ありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
[一言] 海外だったかで天井にぶつけて崩壊した人とかいたなぁ
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