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捨てられたと思ったら異世界に転生していた話  作者: ウィン
第二部 第八章:再びの里帰り編
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第二百十九話:チート疑惑?

 目の前に広がるのは、森の木々。どうやら、うまく転移できたらしい。

 周りを見てみれば、他のみんなもきちんといて、誰かが置いてけぼりになったわけでもなさそうだ。

 私はほっと一息ついて、眼下に見える町を見やる。

 私にとっては一年ちょっと経ったけど、やっぱりそんなに変わってない街並みである。


「相変わらず、発展してる場所だな」


「まあ、そこそこ都会だからね。まずは、一夜ひよなのマンションに行こうか」


 一応、こちらの世界に来るにあたって、みんなにはこちらの世界の服を着てもらっている。

 以前買ってもらった奴だね。

 相変わらず、顔が良すぎて似合ってない気もするけど、ファンタジー全開の鎧を着ているよりはよっぽどましである。

 まあ、マンションまでは転移で行くけどね。

 転移で行くなら初めから行けばいいと今更思ったけど、まあ、こちらの時間もわからなかったし、人が多い時間だったらまずかったから、ね?

 ちなみに、今はどうやら朝のようである。ちょっぴり肌寒い。


「それじゃあ、転移」


 転移で、一夜ひよなのマンションの屋上まで移動する。

 マンションの廊下だと、この時間だと誰かと鉢合わせる可能性もあったから、一応念には念を入れてね。

 まあ、屋上にいたら、とは思うけど、一夜ひよなのマンションの屋上は、共有スペースではないから、人はいないはずである。

 転移した後、階段を降りて一夜ひよなの部屋の前に行く。

 インターホンを押すと、しばらくしてバタバタと足音が聞こえてきた。


「はーい、どちら様?」


「私だよ、一夜ひよな


「その声は、ハク兄!?」


 バッと扉が開き、一夜ひよなが姿を現す。

 ただ、その格好は、なんともだらしないものだった。

 だぼだぼのTシャツ一枚で、下は履いてないように見える。

 いや、見えないだけで、パンツは履いてるかもしれないけど、その姿で来客対応するのは流石にどうかと思うのだけど。


「あ、ちょ、ちょっと待って!」


 一夜ひよなもそれに気づいたのか、開けた扉をすぐさま閉めて、、バタバタと走り回る音が聞こえてきた。

 やれやれ、以前はしっかりしていた妹だというのに、どこでそんなにがさつになってしまったのか。

 いや、ある意味のびのびと暮らせていると言えるのかもしれない。見た感じ、寝起きっぽかったし、時間に捕らわれないという意味ではね。


「お、お待たせしました。中へどうぞ」


「はーい」


 しばらくして、遠慮がちに開けられた扉に手をかけ、中へと入る。

 急いで掃除したのか、ゴミ箱が溢れかえっていたり、押し入れの襖がたわんでいる気がしないでもないけど、いつものことなので気にしないでおく。

 一応、二回目ということもあって、お兄ちゃん達の姿を見ても、緊張している様子はなかった。ただ、だらしない姿を見られたという恥ずかしさはあるようで、若干顔が赤い。

 別に気にしないと思うけどね。私服なんて、楽な方がいいに決まってるし。


「今回は早かったね?」


「いや、これくらいの頻度で来るって言ってたでしょ?」


「そうだっけ?」


 『Vファンタジー』に復帰するにあたり、大体二週間から一か月に一回くらいの頻度で配信するとは言っていた気がする。

 ヴァーチャライバーとしてはかなり緩めな配信頻度ではある気がするけど、あちらの世界でもやることがあると考えると、これくらいが精一杯である。


「まあ、早めに帰ってきてくれる分には嬉しいからいいや。今回は、どれくらい滞在するの?」


「決めてないけど、とりあえず一週間くらいはいようかなと思ってるよ」


 今回、私はルーシーさんに教えてもらった転移魔法で来たわけだけど、その転移魔法のやり方だと、時間差の問題を、ある程度解消できるらしい。

 というのも、ダンジョンにある魔法陣での移動だと、世界間という、膨大な距離を移動する関係上、若干ラグがあり、それ故に時間差が生まれるようだ。

 しかし、ルーシーさんに教えてもらった、神様が使う転移方法だと、そのラグを解消できるらしく、それ故に、こちらの世界で長期間滞在しても、あちらの世界で数か月経過する、ってことがなくなるらしい。

 まあ、試してないので、本当にそうかはわからないけど、ルーシーさんの言うことだし、嘘ってわけではないだろう。

 もし、これが本当だとしたら、こちらの世界で一週間滞在しても、あちらの世界でも一週間ちょっとしか経たない計算である。つまり、時間差の問題を気にしなくていいのだ。

 まあ、元々こちらの世界とあちらの世界の時間はずれているようで、あちらの世界にいる間に経過した時間は、今まで通り一か月と一日の関係のようだけど、それくらいならむしろありがたい仕様である。

 うまい具合に、いいとこどりができるようになったはずなので、できれば一週間以上滞在して、検証したいところだった。


「なら、たくさん遊べそうだね」


「うん。今回は、個人的に来ただけだし、タイムリミットもない。配信も頑張ろうと思ってるよ」


「あ、配信ね……」


 こちらの世界に来るのは、一夜ひよなを始めとした友達に会いに来るのが大半の目的だが、配信活動をするという目的も含まれている。

 今となっては、私もそれなりに認知されてきたようだし、リスナーさんのためにも、頑張って配信はしないとと思っていたんだけど、どうにも反応が悪い。

 何かあったんだろうか?


「うーん、ハク兄、前回帰る前にRTA配信をしたじゃない?」


「したね」


「その配信が、ネットでちょっと物議をかもしているというか……」


「?」


 ネットで物議って、何か問題点でもあっただろうか。

 一応、あのゲームは、『Vファンタジー』からも許可を取っているし、そういう意味での問題はなさそうなんだけど……。


「とりあえず、これを見てみて」


 そう言って見せられたのは、SNSサイトだった。

 私の名前で検索されているらしく、私に関することが色々と投稿されている。

 で、その中に多く目についたのが、あの配信についてだった。


「……チート疑惑?」


 どうやら、あの配信のプレイが、ツールを使った不正なものなんじゃないかという意見が上がっているらしい。

 世の中には、外部ツールを使ってゲームのシステムに干渉し、自分に有利なように作り替えるチートと呼ばれる行為がある。

 私の配信は、RTAの記録としては、世界一位というわけではなかったが、それでも、練習二日で辿り着くにはありえない技量があったようだ。

 だから、何かしらのツールを使って、不正を働いたんじゃないかと騒ぎ立てる人が出てきて、何人かのアンチはそれに乗っかり、ネットで物議をかもしているということらしい。

 まあ、チートとというよりは、理論上は再現可能な行為だったため、ツールアシストを使ったんじゃないかと言われているようだけど、どっちにしろ、ツールを使ったのに手動と言い張ってプレイしているのだから不誠実だ、と言いたいようである。

 別にチートもツールアシストも使ってないんだけど……。

 と言っても、魔法を使っていたのは確かなので、ある意味ツールに頼っていたと言えるかもしれないけどね。

 私は色々と議論されている内容を見て、どういう反応をすればいいのかわからなかった。

 感想ありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
[一言] お手元とPCの画面全体も配信したらいいんじゃないかなぁ
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