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捨てられたと思ったら異世界に転生していた話  作者: ウィン
第二部 第六章:人工神とエンシェントドラゴン編
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第百八十四話:接触を待つ

 また数日が経過した。

 この間、各地に存在する竜達が、次女、どうやらメーガスさんというらしい、の姿を何度か目撃することになった。

 メーガスさんは、各地で魔物を狩りまくっているらしい。特に、異世界からやってきた魔物を中心に狩っているようだった。

 本来なら、カオスシュラームの危険もあるので、できれば倒してほしくはないが、その辺はメーガスさんも心得があるのか、一度たりともカオスシュラームが溢れ出たことはない。

 むしろ、こちらの世界に送り込んでしまった魔物を退治し、後始末をしているようにも見える。

 メリッサちゃんを連れ戻すついでなんだろうか。確かに、リスクなく倒してくれるなら、それに越したことはないのだが。


「見境がなさすぎるのが困ったところだよね……」


 確かに、メーガスさんは異世界の魔物を中心に狩っているが、普通にこちらの世界の魔物も狩っている。

 まあ、別にその一帯の魔物を狩りつくす、とまではいかないので、それだけだったら問題はないのだけど、問題は、止めようとした竜達にまで襲い掛かってくることである。

 竜達は異世界の魔物からカオスシュラームが溢れ出ないように、保護する役割を負っていた。

 なので、いきなりそれらの魔物を倒しまくるメーガスさんはかなり危険であり、止めようとする竜もいたのだ。

 そうしたら、メーガスさんは容赦なく竜に襲い掛かってきた。

 本来なら、竜が負けることなんてそうそうないのだけど、メーガスさんは複合神であるが故か、かなりの強さを誇っていた。

 幸いにも、殺されてしまった竜はいないようだが、それでも大怪我を負わされた竜はたくさんいるらしく、地味に悩みの種になっている。

 現在は、メーガスさんには近づくな、という命令が出されているので、被害は減ったけど、もはやメーガスさん自身が厄介な魔物のようである。

 まあ、悪意はないんだろうけどさ。ないからこそ、厄介って感じ。


「早いところ見つけて、説得したいところではあるんだけど」


 目撃情報自体は結構あるから、それを通じて会いに行く、というのも考えたが、メーガスさん自身が、撤収が早すぎる。

 竜はもちろん、精霊による連絡網を用いても、転移する頃にはいなくなっているのだ。

 それだけ仕事が早いってことなんだろうけど、あっちもわざわざこんな巻物を残していったってことは、こちらと対話する意思があるはずである。

 なのに、全然一か所に留まらないものだから、話し合いもあったもんじゃない。

 恐らく、次元の歪みが出てくる場所で張っているんだろうけど、少しくらいこっちに会いに来てくれたっていいんじゃないだろうか?

 発信機があるなら、こちらの位置はわかっているだろうに。


「場所が悪いのかな……」


 今、私達が待機しているのは、竜の谷である。

 言わずと知れた、竜の住処であり、現在の地上に置いては、聖教勇者連盟と並んで最高戦力が揃っている場所と言えるだろう。

 メーガスさんは、竜をも軽く倒せるほどの実力を持っているようだけど、流石に竜が大量にいる場所には近づきたくないってことなのだろうか。

 もしそうなら、少し離れておけば来てくれる可能性もあるのかな?

 どのみち、そろそろ竜の谷に滞在してから一週間くらい経つ。

 あまり大きな変化はないが、ヴィオの影響で、平原の草が変色してきているし、そのうちヴィオだけでも移動させる必要はあった。

 これを機に、一度別の場所で待機するのも手かもしれない。

 次元の歪みを探すのも、結構骨が折れるしね。


「とりあえず、適当な場所で待ち構えるとしようか。もしかしたら、来てくれるかも」


 やって見ないことには何とも言えないので、行動に移そう。それでだめだったら、その時考えればいい。

 一応、お父さんに報告し、場所を移動する準備をする。

 場所はどこがいいだろうか。もしかしたら、戦闘になるかもしれないということを考えると、あまり入り組んだ場所は嫌だな。

 となると、平原とかがいいか。海の上でもいいけど、メーガスさんも飛べるわけではなさそうだし、そこだと来れない可能性の方が高そう。


「さて、これが吉と出るか凶と出るか……」


 できれば、戦闘などなく、穏便に事が運んでくれたらいいのだけど。

 そう考えながら、場所の選定を始めた。


 ひとまず、適当な平原を見繕って、そこに移動することにした。

 この世界には、まだまだ未開拓の場所も多く、ここは大きな山脈を超えた先にある場所である。

 人里からは相当離れているし、ここなら万が一戦闘があっても、被害が及ぶことはないだろう。

 と言っても、あんまり戦いたいとは思わないが。


〈メリッサちゃん、メーガスさんはどんな能力を持っているんですか?〉


〈とりあえず、魔眼は持っているわ。石化の魔眼ね〉


 石化の魔眼とは、またメジャーなものが来たな。

 一応、この世界にも石化という状態異常は存在する。

 コカトリスなどの一部の魔物や、ダンジョンのトラップなどで時たま見られるものだ。

 その名の通り、体が石となり、身動きが取れなくなるため、下手をすればそれだけで人生終了の相当厄介な状態異常である。

 私も、実際に見たことはないので、どういったものかはわからないが、解除の手段は、叩き壊すしかないらしい。

 体が石になるとは言っても、中身から全部石になるわけではなく、体の表面だけが石になるようで、表面を覆っている石を砕きさえすれば、一応は助かるようだ。

 まあ、その際に、石になった部分は修復不可能なので、装備が石にされたらもう使えないし、素肌が石にされたならその分小さくなってしまうとかなんとか。

 あんまり石化しすぎると、やばいってことだね。


〈後は、武器は爪。瞬時に爪を伸び縮みさせて、攻撃してくるわ〉


〈それはちょっと珍しいですね〉


 複合神となっている影響か、メーガスさんは爪が異常に柔軟で、且つ硬いらしい。

 自在に伸び縮みさせることができるもんだから、見た目には不可視の攻撃をしてきたようにも見えるのだとか。

 あの時地面を抉ったのは、爪による攻撃だったってわけだね。


〈武器は一応槍を持ってるけど、使ってるところはあんまり見たことないわね〉


〈それって、メリッサちゃんと同じように、宝石の形をしているんですか?〉


〈そうよ。私達の武器はみんなそんな感じね〉


 聞いた限りだと、近距離から中距離まで、まんべんなく戦えるって感じに聞こえる。

 石化の魔眼の射程がどの程度かわからないけど、話し合いから入るのなら、避けきるのは難しそう。

 ちょっと対策しておいた方がいいだろうか。

 一応、魔法を作れば、石化も解除できると思う。見たことがないから、ちょっとイメージは難しいけど、前世の知識を使うのなら、そう難しいことではないだろうし。

 最悪、ごり押しもできる気がしないでもないけど、対策を立てておくに越したことはない。

 ま、食らわないのが一番いいんだけどね。

 私は石化対策の魔法を考えつつ、メーガスさんが現れるのを待った。

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