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捨てられたと思ったら異世界に転生していた話  作者: ウィン
第二部 第六章:人工神とエンシェントドラゴン編
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第百六十六話:ゲームで暇つぶし

 第二部第六章、開始です。

 学会発表が終わり、私達は平穏な日常を過ごしていた。

 まあ、日頃からよく来客はあるし、全く刺激がないわけではないけど、ここ最近は、やりかけていたことを片付けるために、少し引きこもり気味だったというのはある。

 と言うのも、以前ローリスさんに頼まれた、こちらの世界でもテレビゲームを遊べるようにするための、いわゆるコンセントを作るための作業がまだ未完成だったからだ。

 以前、あちらの世界に戻った際に、ちゃっかり持って帰ってきていたわけだけど、あの時試作品として作ってから、しばらく手を付けていなかったことを思い出したのだ。

 別に、試作品の段階でも、一日一時間ちょっとなら遊べるし、ただゲームをプレイするだけなら問題はないんだけど、やっぱり、一日一時間程度と言う制約が厳しいらしい。

 先日ウィーネさんが遊びに来たが、ローリスさんが不便だと嘆いていたと話していた。

 まあ、昔はゲームは一日一時間、なんて言われていたけれど、その程度で満足できるような作品はあまりないよね。

 学会発表を経て、魔法陣に関する関心が高まったということもあり、改めて調整してみようと思い立ったわけである。

 おかげで、かなり魔法陣の改良に成功し、一日数時間程度なら、問題なく遊べるようにはなった。

 まあ、これを見せたらローリスさんが働かなくなる可能性がありそうな気がしないでもないけど、そこらへんはウィーネさんがうまく制御してくれたらと思う。


「やってみると、やっぱりゲームって楽しいよね」


 見返りと言うわけではないが、ローリスさんからは私用のゲーム機とテレビも貰っていた。

 だから、我が家にも一応設置してあるんだけど、改良したということもあって、久しぶりにがっつりプレイしてみたら、やっぱり楽しかった。

 元々、配信用にRTAの練習をしなくちゃいけないというのはあったけれど、こうして何も考えずに遊んでいられるのは凄い幸せなことのような気がする。

 この世界だと、あんまりそういう考えはなさそうだけどね。

 確かに、娯楽はあるけど、基本的にはコミュニケーションの一環であることが多い。あるいは、教養を身に着けるためのものと言う意味合いもあるか。

 子供でも、普通は親の仕事を手伝ったり、家事を手伝ったり、基本的に遊んでいる暇はないし、裕福な家の子供でも、それはそれで家を継ぐための勉強をしなければならない。

 だから、こうして何も考えずにゲームを遊んでいるというのは、最高の贅沢なわけだ。

 もし、この世界にゲームが普及するようなことがあったら、何もしないダメ人間が生まれそうで怖いところ。

 まあ、そうなる前に、親が尻を叩いてくれそうではあるけどね。


「ハクの世界では、こういうのって当たり前なの?」


「まあ、そうなのかな? 私も、子供の時からよく遊んでたし」


 隣で私のプレイを見ているお姉ちゃんがそう聞いてくる。

 私が子供の頃は、携帯ゲーム機がまだ全然普及していなかったということもあって、ゲーム機を持っていること自体が珍しかったというのはある。

 でも、しばらくして時代が追い付いてきて、私もゲームを買い与えてもらったことはあった。

 今となっては、ゲームは当たり前のように日常に溶け込んでいるし、こうして遊ぶのは普通のことなのかもしれない。


「親の手伝いとかしないのか? あとは勉強とか」


「しないとゲームを取り上げられちゃうってことはあったかな。学校でいい点を取れなかったら没収、とかね」


「流石にそこらへんは注意してるのか」


「誰だって、自分の子供に怠け者になって欲しくはないだろうからね」


 まあ、私の場合は、テスト中だろうが何だろうが、ゲームしてたけどね。

 一応、成績は悪くなかった。塾にも行っていたし、学校内で一桁順位を取るくらいには学力はあったと思う。

 まあ、一夜漬けでも多少何とかなる小学校だったからと言うのはあるかもしれないが。

 でもそのおかげで、成績を維持している限りは、ゲームをしていても怒られることはなかった。


「ねぇ、私もやってみていい?」


「いいよ。操作方法教えるね」


 興味津々と言った様子のお姉ちゃんが、そうねだってくる。

 まあ、この世界においては、最新ゲームの映像なんて、リアルの映像とそう違いはない。

 一時期話題になっていたオープンワールドゲームなんて、まさにどこへでも行けるし、なんだってできる。

 お兄ちゃんもやりたそうにしていたが、お姉ちゃんがいる手前言い出せない様子だ。

 別に、私が居ない時でもやっていいとは思うけど、あんまりはまりすぎて冒険者家業に支障をきたさなきゃいいんだけど。


「そう言えば、次はいつあっちの世界に行くんだ?」


「うーん、そろそろ行ってもいいとは思うけど……」


 私は、あちらの世界では、一応配信者と言うことになっている。

 せっかく、以前行った時に復帰させてもらったのに、まだ失踪したんじゃ会社にも申し訳ない。

 一応、あちらの世界で二週間は空けないようにしたいと考えているけど、それを考えると、そろそろ行くべきだろう。

 なんだかんだ、練習自体はあまりできていないが、そもそも次にやるゲームも決まってなかったし、それを募る雑談配信でもすればいいんじゃないかな。


「お兄ちゃん達も行く?」


「おう、行く行く。まだまだ見て回りたいところあるしな」


「私も。ユーリと約束もしてるしね」


「へぇ、そうなの?」


「まあ、機会があったらまた案内するとは言ったね」


 なんだかんだ、ユーリも楽しんでいるらしい。

 まあ、そういうことなら、そのうち行くとしよう。

 今なら、行こうと思えば転移魔法で一瞬で移動できるようになったしね。

 教えてくれたルーシーさんには感謝しないといけない。


「ハクお嬢様、行くなら一度竜の谷を訪れてくれませんか?」


「いいけど、何かあったの?」


「いえ、単純に、世界を移動すると、存在を感じられなくなるとハーフニル様が心配なさっていたので」


「ああ、それはそうか」


 確かに、私が初めてあちらの世界に飛ばされた時も、私の気配がなくなって、慌てていたと聞いたことがある。

 割と気軽に行こうとしているけど、心配をかけないためにも、一度連絡をしておくのは大事か。


「なら、明日にでも聞いてこようかな」


「はい、お願いします」


 日頃から、定期的に竜の谷は訪れているつもりだけど、ちょっと夢中になることがあると、平気で長い時間空けてしまうというのもあるし、もっと機会を増やした方がいいんだろうか。

 いや、多分お父さんもお母さんも、そこまで気にしてはいないと思うけど、何となく不安になってしまう。

 転生する前は、両親と離れて暮らしていても、特に何か思うことはなかったけれど、それでも定期的に電話はしていたし、なんだかんだその心配症が抜けていないのかもしれない。

 今度あちらの世界に行ったら、あっちの世界のお父さん達にも挨拶しておかないと。


「ちょっと楽しみだね」


 私はウキウキとした気持ちになりながら、ゲームをプレイするお姉ちゃんの姿を眺めていた。

 感想ありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
[一言] どうせなら配信のアーカイブをダウンロードしてタブレットやノートパソコンでこっちの両親二人に見せてあげるのもいいかもしれない。 (恥ずかしいかもしれんが)
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