7節[モニター室の探検]
ドアに触れるとドアが消えた。ドアが消えるのを1回だけ見たことがある。と、いうことは、来たことがある部屋のはずだ。
部屋の中に入り、部屋を見渡す。
やっぱり。1回だけ来た。そう、モニター室だ。
椅子にボタンがあるのをみつけ、椅子に座ってみる。
ボタンを押したらどうなるかを1つだけテラーに教えて貰った。肘掛の1番左前。押してみる。水が出てきた。喉が乾いていたので水を一気に飲み、コップを出てきたところに置く。はて、このコップを消すにはどうするんだろう。
もう1回同じボタンを押した。すると、空のコップが消え、水の入ったコップが出てきた。
困った。僕は出てきた水を飲み、コップを置いた。
僕はもっとよく見ようと、椅子から立ち上がった。椅子の周りを見ながら、ポケットに手を入れる。なにかボタンはあるか?の、前に、手がなにかに触れた。小さいなにかだ。僕はその『小さいなにか』をつかみ、引っ張り出した。
青いボタンだった。これは、、、テラーに貰ったボタンだ。
これを押すとテラーが来るんだっけ?
押すか、
ポチッとな。
10秒後。ドアが消え、テラーが入ってきた。
「なんだ?あぁー、ボタンのことで、教えて欲しいと?」
「そうだけど、なんでわかったの?」
「ハーリーにも心の中を覗かれてビビっているのか?」
「う、うん、まぁ。」
「それで、なんで分かるのか知りたいんだな?」
「そうだよ」
開き直るしかない。
「ならば教えてやる。前、本名を知ったら、その人を支配できると言ったな?」
「うん。」
「だが、その支配とは行動を支配するではなく、思考を支配するのだ。つまりは、相手の心の中を覗ける。これが『支配』というものだ。わかったか?」
「やっとわかったよ。1つ、質問なんだけど、本名を知っていなかったら相手の心は読めないの?」
「あぁ、そうだ。」
「ありがと。」
「まだ終わってないぞ。本題がまだだ。」
「えっ?本題って何?」
「私を呼んだ理由は?」
「うーーん、あっ、椅子のボタンか!」
「本気で忘れていたのか?」
「い、いや?」
「記憶力がないな。」
「・・・」
「まぁ、とっとと教えるぞ。」
テラーが椅子に近づいてくる。
「まず、1つ教えたな?」
「うん。」
「水のボタンは、肘掛の左前。そして、飲み終わったあとのコップは、肘掛の横だ。水のボタンの列。」
そういえば肘掛の横にもボタンがあったっけ?
僕は、言われたボタンを見た。
たしかにある。けど、これはボタンよりもスイッチと言うべきか。ちなみに肘掛のボタンは手を置いた時に間違って押さないように埋め込まれている。よく考えられている構造だ。
またそれたから本題に戻る。
僕は言われた『ボタン』を押した。
すると、見事にコップが消えた。
ボタンは1回押すとバネがあるみたいに戻った。
「さて、次のボタンだ。水のボタンの横にあるのは、料理が出てくるやつだ。」
「それなら知ってるよ。さっき間違えて押したんだ。声で欲しい料理を言うんだろ?」
「そうだ。では、この料理を消すには?」
僕は横のボタンを見た。水のボタンと同様に同じ列にスイッチがあった。
「これ?」
僕はそのスイッチを指しながら言った。
「そうだ。勘はいいんだな。
では、次。キーボードを出すボタンだ。キーボードは1番右前。」
テラーはそう言って右前のボタンを押した。
キーボードが出てきた。
「これはもう1回押すと無くなる。水や料理とは別だ。」
テラーがもう1回ボタンを押すと、キーボードが消えた。
「君に教えることはこれで十分だろう?」
「もうちょっと教えてよ。」
「いや、無理だ。これから覚えてもらうことが増えてくる。その時に教えよう。」
「わかったよ。」
諦めたくはないがテラーの言うことを聞かないと、、、
テラーが部屋を出た。
僕も部屋を出る。テラーはすでにいなかった。
僕はまた、次のドアに向かった。
See You Next Time.