4節[マジャーの毛]
マジャーの基本
さて教わるか。
僕らはモニター室に向かった。
モニター室の前のドアに来るとドアが自動的に開いた。開いたと言うより『消えた』だ。テラーが入り、僕が入る。今日はハーリーはいない。
モニター室は名前のとおり巨大なモニターがあった。その3メートルほど後ろに2つの椅子があった。テラーがドアとは反対側に座った。
「純治、座って。」
テラーが言い、横の椅子を指した。僕はその椅子に座った。テラーの椅子に急にキーボードが現れた。テラーがそのキーボードを操作する。すると、モニターの画面がついた。テラーがキーボードを操作すると、モニターに文字が出てきた。
『マジャー』と打ってある。
テラーがEnterを押した。すると、文字がぎっしりと並べてあるページが出てきた。
「えーーっと、説明していくか。話は長くなるがちゃんと聞かねば後々困るぞ。それと喉が乾いたら左の肘掛の1番奥のボタンを押すと水が出てくるから話中に勝手に飲んでくれ。」
30分説明が続いた。簡単にまとめると次のとおりだ。
・マジャーは異世界に本拠地を置き、人間界で活動する。
・主に人間界の裏治安を守る。
・マジャーは超能力が使える。
・超能力は手で操る。
・マジャーになるには特定の毛が必要になる。
・毛はマジャーが意識すると手から出る。
・毛は食べれて毛を食べれるとマジャーになれる。
・毛は光沢のある銀色。(テラーによるともの凄く綺麗らしい)
・マジャーになると第1次症状と第2次症状がある。
他にも細々としたこともあるがざっとこんな感じだろう。テラーが伸びをして立ち上がった。
「さて、毛を食べてもらおうかな。」
「あえっ?」
(唐突すぎだろ!)
ほんとに唐突だ。思わず声を出してしまった。
「言っただろう?マジャーになってもらうって。」
「ま、まぁそうだけど、、、。ペースが速いなって。」
「ならば、明日でもいいぞ。今日でもいいがな。」
テラーは楽しんでいるように見える。僕は観念した。
「もう今日でいいよ。でも気になることがあるんだ。第1次症状と第2次症状って何?」
「ちゃんと聞いてたんだな。こうゆうのは聞いてないやつが多いから意外だな。じゃあ第1次症状から説明していくか。第1次は毛を食べた後すぐに死ぬ。それだけだ。24時間後に生き返るがな、人間としてでは無くマジャーとしてだ。で、第2次症状は、狼になる。まぁ、正確には凶暴になるだけだ。どちらもしんどいものではない。感覚がないからな。他にあるか?」
(死ぬのか?)
「死んだあとは俺の外観に違いはあるのか?」
「ない。全くない。なにもかもそのままだよ。」
「オッケー、じゃあ1時間後でお願いしたいんだけど。」
「いつでもいいとも、好きな時にこのボタンを押せばいい。」
そう言ってテラーはポケットから青い小さなボタンを出し渡した。
「じゃあ部屋に戻るでもここをうろつくでもなんでもいい。欲しいものがあったらなんでも言ってくれ。」
テラーがそう言って僕の部屋とは反対の方向に歩いていった。僕は歩いているテラーに言った。
「じゃあカメラが欲しいんだけど。」
「わかった。部屋に置いてある。」
僕は最初は不審に思ったが不思議な人達だ、ちゃんと置いているだろうと部屋に向かった。
部屋に入るとちゃんとカメラが机の上に置いてあった。
僕はそのカメラのセルフタイマーをセットし、自撮りした。人間最終日を記念に撮ったのだ。どうでもいい事だがなんかこだわりたくなる。
僕はその後、ベットに寝転んだ。まさかこんな組織があったなんて。昨日から驚きの連続だ。
30分後、予定より早い時間だ。僕はテラーに貰ったボタンを押した。
約10秒後。部屋のドアがコンコン、となった。やっぱり速い。僕は外に出た。テラーが待っていた。
「こっちだ。」
モニター室と同じ方向を指した。テラーを先頭に歩いた。モニター室の2個手前のドアに入った。
明るかった。中にはシングルベットが2つ、離れて置いてあった。もう1つ、驚きのものがあった。巨大な檻だ。僕は気になったので聞いてみた。
「あの檻って何に使うの?」
「第2次症状の時だ。暴れるから閉じ込める方が手っ取り早い。」
「へぇー、じゃあ僕も?」
「もちろんだ。マジャーの誰もが通る道だ。私も入ったことがあるぞ。じゃあ、早速。あのベットに寝転んで毛を食べてもらう。」
僕はベットに寝転んだ。そして、テラーが手から銀の毛を取り出すのを見た。
「口を開けろ。」
僕は言われたとおり口を開けた。
「唾といっしよにするっと飲み込め。噛んではいかん。食道に入ったら溶ける。心配するな。いいな?」
僕は口を開けながら、寝ながら、頷いた。唾をためる。
テラーが僕の口に銀の毛を落とす。
僕は噛まずに唾と一緒に飲み込んだ。
喉に引っかかることは無かった。
そのまま、意識が薄れていった。
僕は死んだ。
お楽しみに。
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