依頼と魔法
あれからギルドに着いた俺は掲示板で依頼を探していた。
お金はまだ残っているので、本気でやる必要がないし、かと言って薬草採取とかの依頼は受ける気になれない。めんどくさいから
『主様、適当に討伐でもしましょう。その後は魔法の訓練です!』
(なるほど、それはいい考えだな。よし…)
「すみません、何かの依頼ってありますか?」
「え、あ、はい。もしかして、受け方わからないんですか?」
「いいや、わかる。掲示板から依頼を持ってきてここで申請するんだろ?だが、一つ問題があってな…」
「問題…ですか?」
「俺、字が読めないんだ」
少々呆れ顔だった受付嬢に一角ウサギ討伐の依頼を持ってきてもらい、依頼を受けた。
依頼内容は一角うさぎ10体の討伐、討伐証明部位として、角を持って変えれば依頼完了だ。
この街に入ってきた門とは真逆にある門から外に出て、そのまま真っ直ぐ進んでいく。
一角うさぎはゲームで言うところのスライムで、かなりの数が森にいるらしい
進んでいく途中でもう3匹の討伐に成功しているほどだからな
「それにしても、俺はなんで剣が使えるんだろ?」
剣なんて平和な日本では触れることもなかった品だ。それに、剣道だってやったことすらないのに
『それは剣士だからです。剣士である貴方には〈剣術〉というスキルがあって、それが発動しているのです。ちなみに魔法使いには〈魔術〉というスキルがあるのではなくて、魔法適正があれば誰でも魔法使いになれるのです。その代わり、スキルを覚えるのが難しいです。』
「なるほど、じゃあ、魔法はどうやって使うんだ?」
『身体に流れる魔力を魔石と呼ばれる魔法媒体に流すことで様々な現象を作り出します。ちなみに、主様の着ているその服には全属性の魔石が埋め込まれているので直接魔法が使えますよ。』
「なるほど…なっ!」
飛んでくる一角うさぎを避けて真上から剣を振り下ろしながら返事をする。これで7匹目だ。
「って、言ってもどうやればいいんだよ。俺に魔法適性があるかもわからないじゃないか」
『それについては大丈夫です。私が知ってます!』
(なんでお前が知ってんだよ…まぁ、いいか)
「…それで、俺の魔法適正はなんなんだ?」
『雷です。正確にはこの世界にない考えの魔法で主様のオリジナルです!』
「へぇ、オリジナルかぁ!……え、魔石は?魔法媒体は?この服は?」
『意味はありますよ!ただ、この世界の人達が雷について知らないから魔法にできないんです』
「…なるほど、とりあえずは理解出来た。ちょっと使って見たいんだけど詠唱とかってあるの?」
『詠唱はありませんし、主様の魔法です。自分が描く想像をそのまま出すんですよ!』
「えーと、それなら…」
周りを見回して数メートル先にいる一角うさぎに右の手の平を向ける
「えーと、稲妻」
そう唱えると、右手から青白い光が屈折しながら進んでいき一角うさぎの身体を捉えた
少し痺れたように痙攣した後、一角うさぎはパタリと倒れた
「す、すごいな…」
『お見事ですよ!主様!』
それから、新しく覚えた魔法を使って一角うさぎを討伐してギルドに戻った。
報酬は銀貨五枚だったが、初めて自分で稼いだお金に感動を隠せなかった