相棒との出会い
こう、思ったことはないだろうか?
もしかしたらこれまで起こったいい事は全て夢なのではないか…と。
俺はまさにそんな感覚だった。だけど確信した。これが夢なんかじゃなくて現実なんだってことを
目を覚ました俺は目の前に広がる青空に自分は寝転がっているのだと理解した。
起き上がって周りを見渡すが、あるのは道と少し奥に森があった。
『やっと起きましたか主様』
(ん?今なにか聞こえたような…気のせいか?)
『気のせいではありませんよ。私はここにいます!ほら!』
確かに気のせいではないようだがどこだ?背後から聞こえるその声は『後ろです!』と訴えているが、どこにいるかわからない。
『だ〜か〜ら〜!背中です!貴方の背中にある剣ですよ!』
(そう言えば確かにさっきから背中にあたる物があるが…。)
そうっと右手を背中にまわして確かめる。あ、確かに剣の鞘がある。そこから剣の柄までたどり剣を抜く。
真っ黒な刀身の中世ヨーロッパを思わせる剣はとても軽く、本当に気が付かなかったのだ。
『やっとですか!私がどれだけ話しかけても起きないわ、気付いてすらもらえないとか、私泣いちゃいますよ!?』
「…うん、それはごめん。謝るんだけど…なんで剣から声が聞こえるの…?」
『それは私が自我を持っているからです!私の名前はルナイティ・フォーカス。主様を転生させた神様が作った主様の要望を100%答える剣ですよ!この世界では…えーと、神器と呼ばれるものです!』
「俺の要望に答えるのか?たしか俺はあのときこの世界を知れて、戦えて、魔法が使えるって頼んだんだけど?」
『そうですね、だから私が作られたんじゃないですか!こう見えても私はこの世界の月の神なのですから!後、魔法は大丈夫です。主様はちゃんと魔法が使えます。まぁ、異世界人は大概そんなもんなんですけどね!』
「嘘か誠かわからない以上、君の話は本当なんだろうね、神様が変なことするわけないし…。とりあえず、えーとルナでいいのかな?俺は赤月明人だ。宜しくな」
『はい!これからも末永くよろしくお願いします!』
「おい!変な言い方はよせ!」
これが、これから先、異世界で生きる俺とそのパートナーの初めての出会いだった。