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第十三話

支度を終えて食堂に向かうと、確かに王妃と王子がいた。

王妃は事前に聞いていたのか、いつもの鉄面皮だが、

王子は何も知らなかったのか目を真ん丸にしてこちらを見ていた。


「陛下、おはようございます」

「っ!おっおはようございます」


「…うむ。っつ!……おはよう」


陰険執事にしれっと足を踏まれて渋々ながらあいさつを返す。

執事の視線が「嘆かわしい」と言っている気がする。



席について朝食を食べながら、王子に問う。


「今日は…何をするんだ」

「は、はい!お勉強です」

「…そうか。」


なんともあっけなく会話が終わる。

するとまたもや助け舟は王妃から出た。



「今日は、王宮図書館に行くのではなくて?」

「そうなんです!先生におねがいして、海の生物ずかんを見せてもらうのです!」

「生き物図鑑?」

「はい!海には牛や馬よりもおおきい生物がいるとききました!」

「ほう。夕食の際にでもどんな生物か聞かせてくれ」

「わかりました!!!」



会話が続いた!しかも夜の話題に続いた!

その場の空気となっていた執事とメイド長がそんなアイコンタクトを取る中、

グランは王妃がちゃんと王子の勉強内容を把握していることに驚いていた。



(そういえば昨夜もそうだったな…)



全く自慢にもならないが、グランは全く王子の教育内容について把握していない。

何なら昨日までは興味も持っていなかったくらいだ。



「そなたは…」

「?」

「いや、そなたは今日は何をするんだ?」



グランは王妃に問いかけた。

本当は違うことを聞きたかった気もするが、漠然としていて言葉にできなかったのである。



「わたくしですか…?」



王妃は、単に今日の予定を告げるには長い時間考えた後、

ふと顔をあげ、しっかりとグランを見据えてこう言った。



「オーグ伯のお嬢様をお招きしてお茶会をしますの」

「オーグ伯…?」

「ええ、ちょうど領地から王都にいらしているとか。」



そういって王妃はグランの反応を見極めるかのようにグランを見つめた。


(オーグ伯…)


オーグ伯と言えば昨日横領の疑いを持ったばかりのジューノ地方、

そのすぐ隣を治める伯爵である。



そのオーグ伯令嬢とお茶会…?

しかもこのタイミングで。何かあるのか…もしや王妃が黒幕か?

いや、それならこの王妃の視線の意味はいったい…?



グランは混乱しながらも腹をくくった。





「私も参加しよう」


---------------------------



お茶会は午後からとのことだったので、

午前中に執務を片付けるべく、執務室に向かった。



何か物言いたげな執事に向かって、

「昨日の騎士、ミックを呼べるか?」

と告げると、間もなく執務室にミックがやってきた。



「頼みたいことがある」


グランはミックに午後からオーグ伯令嬢とのお茶会があることを告げ、


「ジューノ地方の水害が『表向き』片付いてから3ヶ月がたつ。

このタイミングでオーグ伯が令嬢を伴って王都に来ているのには何かある。

ジューノ地方の領主達ととオーグ伯の関係を中心に、

オーグ伯に関する資料を至急できる限り集めてほしい。

できるだけな色々な観点で頼む」


と言った。



できるだけ色々な観点で、と告げたのは、

貴族の視点からだけでは真実は分からないと学んだからである。


その点、ミックは平民として育ったと言っていた。

これもまた鵜呑みにするわけではないが、

少なくとも昨日の物言いから貴族への肩入れは少ないとグランは判断した。



そしてあえてこの頼み事をミックにしたのは、

今後ミックがどこまで信頼できるか見極めるための、テストの意味もある。


長年側近に裏切られていたグランとしては

簡単に人を信じられなくなっていた。

しかし、自分一人ですべてを行うには限度がある。

だからこそグランはここで信頼できる部下を得たいと思っていた。



「時間はお茶会が始まる一時間前まで。頼めるか?」

「御意に。」



ミックは一つ頷くと踵を返して部屋を出ようとした。



「待て。…これはできればでいいが、

集めた資料の閲覧履歴があればそれも頼む」



了承の意を示して、ミックは部屋から出て行った。




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