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プロローグ
大陸で大きな力を持つエノルヴ王国。
その国は、大きな悲しみを乗り越えたばかりだった。
10年前、恐ろしい流行病が王国を襲った。
幸いなことに国民への被害は多くなかった。
王族たちが被害を食い止めようと各地を巡り、
他国と交渉を繰り返した結果、医師や研究者達の努力の甲斐もあってか、
特効薬が安価で出回ったのである。
ただ、それを見届けるかのように、力尽きるかのように、
特効薬の開発に尽力した王、王妃、
跡継ぎであった第一王子、さらには第二王子までも命を奪われたのだ。
残されたのは、王位継承権からも縁遠く、
悠々自適に他国へ留学させていた第三王子グラン、当時10才。
国民は彼の偉大な王の遺児として、新王の誕生を大いに祝った。
この物語の始まりはそれから10年後のことである。




