先生ズルイよ
中学三年の最期の春。先生は病気で入院した。先生はズルイ。泣いちゃうかも。なんて言ってたくせに…卒業式に出てくれなかった…
先生には私が1番支えられた。
今から約一年前。
私たちはいつものように部活動を行なっていた。
「もうエースの杏菜と、柑奈のダブルスもついに見納めか。」
「では、団体戦ダブルスの選手を発表します。1人目は、紺野杏菜。」
「はい。」
「2人目は、渡瀬美月。」
「はっはい。」
「えっ。柑奈先輩じゃないの?」
私はこの時絶望に満ちていた。
「予選突破は2人にかかってるからね。」
「「はい。」」
先生に何度も聞いたけど、私じゃなかった。
「じゃぁ、また明日。じゃあね。」
「バイバイ。」
「柑奈ごめんね。私柑奈の分も頑張るから。きっと何か理由があったんだよ。私が柑奈に叶うわけないし。先生もわかってると思うよ。」
「あのさ。私美月にだけは励まされたくないんだけど。美月にだけは同情されたくない。」
「どういうこと?」
「自分より下の人間に見下されたくないって事。」
「ちょっと待ってよ。本気で言ってんの?」
美月が私の腕をつかんだ。
「触んないでよ。」
ドンッ
私はその場に立ち尽くしていた。
そう。私は美月を突き落とした。
私は取り返しのつかない事をしてしまった。
私が許される日はいつまでも来ないだろう。
でも、先生はそんな落ち込んでる私を全力で支えてくれた。
「こんなんだと卒業式泣いちゃうかも。」
こんな事言ってた。なのに…次の日。
「鷹取先生が病気で入院しました。卒業式には出られないそうです。」
ズルイ。先生はズルイ。絶対卒業式出るって約束したのに…
私の心には月がない。真っ暗なままだ。
私の心に月が昇る日は決して来ないだろう。