復活するオルフェウス
竪琴を鳴らせ、始原の、旅人よ、偉大なる神、にして、人間の、あらゆる可能性、その、頂点よ。御身の腕に、抱かれた、言葉、こんなにも甘く、柔らかい、自由、そのもとに、完全な流動を続け、世界の、全て、宇宙の、隅々、にまで、意味、確固たる意味を、付与する。おお、響け、楽師の旋律、神々の、律動よ。ここにおいて、言葉は、あの、奪い、さられた、自らの、意味を、再度、見出す。そしてオルフェウス、狂気の爪に、引き裂かれた、あなたの肢体、美を宿す、風の竪琴、星辰の彼方より、この大地に降りたて。伝えよ、我らの忘れた歌、完全なる調律の、あらゆる必然、存在、形象、意義を。
これら咲き誇る自然に、御身を感じ、御身を捉える、そのような、詩人が、かつて、存在した。花の内に、花である、それ、以上の、目的を創造し、若き踊り子の、天と地を描く、無限の円舞に、添えた。花は、オルフェウス、そう、御身そのもの。宿りし者、そして世界そのもの、ひとつの、風、ひとつの、呼吸に、あなたの調べが、震えている。聴かなければ、ならない。だが、何ということか。公園の大木、海辺の岩、大空の雲、それらの、どこにも、今、あなたは不在。ただ、声のみが、遥かな天蓋に――
ああ、詩人達! オルフェウス、あの、詩神の、始原の声を、どのような、感覚器官で聴いているという? 頭の、固い頭骨を浸透し、オルフェウス、その声、その、意味を、かつての、あの、詩人のように、提示してみるがよい! 彼は耐えてみせた。大いなる息衝きを受け取り、それを、新たな響きにして、返した。オルフェウス、その、調べのもとに。
退廃が、押し寄せてくる。それは、今? それとも、昔? あの時、詩神の腕を見つめ、言葉に響きを与え、だが、自らは、成れなかった、者達、象徴の子ら、魔術の、最後の、子孫達、人間の、単純な感覚には、詩神の熱い抱擁は、耐えられない。飽和する神経、一体どれだけの、詩人の、神経を、オルフェウス、あなたは、焼き切って、きたことか。
不在のあなたは、しかし、いたるところに、降り立つ。我らが望むところ、望む時、捉えきれないほどの、大きさで。無限を、手に、いれよ。自らの内に、その、萌芽を見つめよ。こんなにも――そう、我らは、伸展する。オルフェウス、あなたと、今度こそ、完全に、一致するため。