退廃
言葉、その、剥ぎ取られた意味を、返し、再び、言葉に、宿らせる。全き、自然の内の、隠された言葉、ここでも、また、我々は対峙する。何度も、言葉、言葉の、その、内奥の、響きと。
りんごは、あの、退廃の前日まで、りんご、そう、りんごであった。赤い皮の、白い果汁の、酸味、甘味、それは、偉大な、知恵の味、悪の味、見出す、二元の、ハルモニア。
今、りんごは、りんごをやめた。意味の腐敗、そして、取り出す、わずかな蜜。では、蜜は、いかに使われるのか。全く、人は、蜜を舐めただけで、りんごに辿りつけない。全く、りんごは、もはや、りんごではない、のだから。勤勉なミツバチ、おお、自らの針に刺され、二重の死に陥る者、不協の和音で始まる、退廃の時。
さあ、詩人達、墓掘りを見習いたまえ。冬の雪の下、この白は、清浄な死の色、黒い棺は、汚れた生の色。スコップを突き立て、土をえぐる。なんだ、この根は? あの見事なイチイの木、お前の、化け物じみた枯れ具合、立派な墓守として、邪魔をするのか。邪魔を? とんでもない。この、骨ばった手を見よ。今しがた、ゲートを開けてきた、この、業績を、むしろ、お前(イチイの木よ!)、褒め称えてくれ。この墓地を、寂しい風景と言うのか。お前が慣れ親しんだ世界が、お前をだまそうとする。この手が持つものが見えるか。これは、かつて、りんごだった。だがここにはもう、それは、ない。りんご、ああ、かつての思い出、死者の行進のように、再び、戻ってくるとしても!
音楽をやろう。光をやろう。そして、形象をやろう。その内から、おお、偉大なるハルモニア。りんごは復活する。りんごを越えて、なお、りんごを提示する、この、始原のハルモニアのもとに。
足音、なんだろう、さく、さくと、雪を汚す音、黒服の者達、退廃のゲートをくぐり、悲嘆のため息で、死者を、冒涜する者、歩み寄れ、近くに、そして、顔を、その、しわがれた顔を、見せよ(見せよ、御身の姿)。いや、お前、不吉な黒服よ、去れ、そして、沈黙せよ。
退廃の、死の、それらの真実を、この墓地に、求めるな。抱け、おお抱け、たわいないもの、繊細なもの、未熟なもの、それらの、影の、生の、言葉を。お前のざわめく血のなかで。




