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Second Moon 短編完結版  作者: 愛祈蝶
3/3

三日月

そして次の日、





目が覚めた香澄は、身動きできない事を悟って、司の寝顔を、ぼんやり見つめていた。



―――――パチ――――



片目を開けた司と目が合った……




『起きてたの?』



『んーおはようのチュウしてくれんの、待ってたんだけど?』



…………ボッ…………



『昨日はあんなに『キャーやめて……』クククッ』



『……キャッ……んんっ……っん………』



『はよ。』



『おはよ……』



司の深いキスで真っ赤になった香澄は、恥ずかしくて顔を背けた。



『起きれるか?』



司に抱きかかえてもらって、起き上がったけれど、



………イタイ…………



顔をしかめた香澄。



『キャッ………ゎ……降ろして……恥ずかしい…………怖い………………ねぇ…』



司は、ニコニコ笑いながら、全裸の香澄をお姫様抱っこをして、バスルームに連れて行った。



そして………





『かすみちゃん?………か~すみちゃん……ごめんって……ね?…』




『もう知らない!今日学校あるのに………司のバカ……』




お怒りモードの香澄に、くっ付いて回る司。

バスルームで体を洗いっこしたまでは良かったが、



調子に乗って司はヤっちゃったわけで、




『ごめんって…』




―――――チュッ―――



……こうなったらなし崩しだ……



司は香澄の顎を持ち上げた。



『知らない……んん…っん………』



唇をキツく吸われて、ぼーっとした香澄に、



『いったん帰ろ、まだ時間あるだろ?』



司は優しく囁いた。




『ん、二限目からだから、間に合う……』




ムスッとしながらも、司から離れようとしない香澄に、司は幸せを感じていた。




………かわいい…………



『可愛い……香澄…………お前可愛いからつい……』




『いいよ……司だから許す……』




――――チュッ―――





昨日、香澄は実家での事を司に話した。




誰にも言えなかった胸の内を、さらけ出して泣いた。




司は優しく抱きしめてくれた。泣き止むまでずっと。




司の家の事も聞いた。




でも、司は怖くない。むしろ安心出来て、ずっとこの人の温もりに包まれていたいと思った。




『俺、いつか"下條"に頼らず会社を維持させてみせるから。』



『うん』



『お前がいれば、がんばれる』



『……司、耳赤いよ?』


『うっせー』



いろいろ聞いていると、1ヶ月前から香澄を知っていたと司が言い出して、香澄は驚いた。





『司を信じる。』



『ありがとうな。これ、お前に』



『司…………』



左手の薬指にはめられたダイヤモンドが、キラリと光った。



『月の光みたいに欠けることのない愛を、お前にやる。』




一生結婚なんて出来ないかと思っていた、司。



目の前にいる香澄が、何処にも行かないように、月に願った。



『司……嬉しい……』



抱き付いた香澄を受け止めながら、司は呟いた………



『愛してる』



……俺にこんな言葉吐かせた女、たいした女だぜ……





『今日は三日月だね』



窓から見える月の光に、香澄が言った。



『月、好きなのか?』



『うん、新月から三日月までは、肉眼では見えないの……でも、昨日、うっすら見たんだ……二番目の月……』



嬉しそうに微笑む香澄に、司は頬ずりしていた。



司も、幼い頃に両親と見た月を、思い出していた。



『月は光っていなくても、そこにあるのよ?』


と母が言うと、


『愛と同じだな』


父はそう言ったんだ。

見えないけれどそこにある光を、二人は信じていた。



『出会って2日で籍を入れてしまったけど、後悔してないよ?私、司について行く。』



司の腕の中で、香澄は呟いた。



『結婚って"Second Moon"みたいじゃない?目には見えないけれど、そこに光はある……。』





これから墓場までの長い道のりを、二人で歩いていく約束をした。



"Second Moon"に誓って……。





――カランカラン―カランカラン―――



11月になり、二人だけでこっそり、結婚式を挙げた。




きっとこれから、悩むことも、苦しむこともあるだろうけど…



『お前、俺から逃げようなんて考えんなよ!絶対逃がさねーからな。』




……ハイ…逃げられそうにないです……




『………キャッ……っ…………何?……ゃん…………』




『早く帰って続きヤるぞ。』




『………な………っ………』




『明日休みだろ?…寝かせねーからな。


最近エロくなったもんな~失神するまで感じさせてやるよ』




…………ボッ……………




『司のせいだからね!もぅ!私、こんなんじゃなかったのに………』




むくれる香澄を愛おしそうに見つめる司。




『責任とってやる』




――――チュッ――――






Second Moon――――完





読んで下さりありがとうございます。

端折った部分は“Second Moon Ⅰ”からのシリーズ版に加筆致しました。まだまだ続く司と香澄のその後も、お付き合い戴けると幸いです。

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