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だが、いざそれを突きつけられると何も考えられなくなった
今の私を支配しているのは絶望・・・
底なしの闇に落ちていく・・・
目の前の影が、その手に持っている光る物――ナイフ、を振り上げる
その標的はもちろん私だ
これから私は死ぬんだ
それも良いかな、と思う
死ねば刑事さんとも殺された家族とも会える
また一緒に楽しく過ごせる
ナイフを見つめながらそんな考えが頭をよぎる
その刃が降り下ろされる瞬間―――
―――生き・・残・れ・・・!
さっきの言葉がよみがえる
そうだ、私は生き残るんだ
生きて家族を殺した犯人を見つけ・・・復讐するんだ
あの日、生き残って一人で絶望していた私
それ以来、私の生きる目標になっていた思い
もう一度固くこの胸に決意して
その手に持っていた警棒で力いっぱいナイフをたたく
ナイフは壁に跳ね返って玄関のほうへと飛んでいく
意表を疲れた男に隙ができる
それを見逃さず、すぐさま警棒を頭にたたきつける
悲鳴を上げる隙もなく崩れ落ちる男
そして後ろを振り返り死神のような冷酷な瞳で隠れて様子を伺っていたもう一人の男を睨みつける