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鈍い音が部屋に響く
それから何かが床に崩れ落ちる音
恐る恐るそばに近寄る
目だし帽をかぶって手にはスタンガンを持ったいかにも強盗のなりをした男が倒れていた
「行こうっ!」
刑事さんが私の腕をつかんで部屋を出る
目に飛び込んだのは荒らされたひどい有様の台所だった
この家に来てまだそんなに日がたってないが少しに気に入っていた部屋が見る形もない
それらを目の端で捕らえつつ玄関へと急ぐーーーと
「きゃっ!!」
何かにすべり足をもつらせ転ぶ
「大丈夫か!?」
刑事さんはすぐに抱き起こしてくれた
そしてまたすぐに走り出そうとした
しかし、彼の後ろに黒い影が動いた
手には光る何かを持って振り上げている
「だめっ!!」
私は叫ぶことしかできなかった
その光るものが振り返った刑事さんの右肩を深々とえぐった
返り血を浴びる黒い影
私はその場に立ち竦んだままだった
「逃げ・・ろ、生き・・残・れ・・・」
苦悶の表情を浮かべながらこちらを見て・・・力尽きた
そんな彼を見ていることしかできなかった
私の中で何かが崩れた
どこかで、この日常がいつまでも続くはずがなくいつかは終わってしまうと分かっていた