↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

113/161

第113話 北西へ

 《高密度強化》を脚部と腰へ限定して走り始めた直後、エイルは通常の《身体強化》とは根本的に感覚が違うことを改めて理解した。


 単純に筋力が増すだけなら、地面を強く蹴った分だけ前へ進む力が増える。しかし《高密度強化》は、必要な部位へ圧縮した魔力を集中させることで筋肉の収縮速度や関節を支える力まで引き上げるため、踏み込みから次の一歩へ移るまでの時間そのものが短くなり、同じ距離を走っているはずなのに一歩ごとの空白が削られていくような感覚があった。


 その反面、身体へ返ってくる負担も明らかに大きい。


 数十メートルを一気に駆け抜けただけで膝の奥には鈍い圧力が残り、足首にも普段より強い張りが生まれている。以前の装備で同じ出力を使えば、強化された筋力と速度へ靴や軽装側が追いつかず、踏み込みのたびに生じる小さなずれが関節へ蓄積していた可能性が高かった。


 しかし今は、マルナが前日に組み込んだ循環繊維が足首から膝、腰へかけて動きに合わせて締まり、高出力を使う瞬間だけ外側から関節を支えてくれるため、身体の内側から押し広げられるような負荷がかなり抑えられている。


「これなら、もう少し上げても……」


 そう呟きながら出力を上げかけたエイルは、すぐに思い直して魔力密度を維持した。


 今の目的は最高速度を試すことではなく、北西拠点へ間に合うことだ。必要以上に出力を上げて到着前に脚へ負担を残すより、開けた場所だけ加速し、曲がる場所や足場の悪い場所では強化を落とした方が、結果的には速く長く動ける。


 《近域感知》で木々や岩、地面の起伏を先に拾いながら、《高密度強化》を脚へ集中させ、《衝界》では踏み込むたびに返ってくる反力を進行方向へ揃える。直線では一気に速度を上げ、木立へ入れば身体を低くし、方向転換の直前には腰へ集中させていた高密度魔力を少し抜くことで、無理に身体を捻らず最短距離を繋いでいく。


 全力を維持するのではなく、必要な瞬間だけ強くする方が、今の自分には合っている。


【《高密度強化 Lv.38 → Lv.39》】


 表示が浮かんだものの、エイルは速度を緩めなかった。


     ◇


 北西拠点までの距離が半分を切った頃、《振動感知》へ争奪戦の全体像が少しずつ入ってきた。


 青は28人前後、白は31人ほどで人数差は大きくないが、白側は拠点内部を守る立場にあるため、単純な人数以上に有利だった。


 北西拠点は中央の石造砦とは違い、緩やかな丘の上へ木柵と土塁を組み合わせた野営陣地に近く、入口は南と東の2ヶ所しかない。旗は中央の監視櫓近くに置かれているため、外から正面突破しようとすれば、どうしても狭い入口へ戦力を集中させる必要がある。


 さらに遠方からは、空気を裂く細い音が何度も届いていた。


 ハルド。


 第7席本人は中央から北西へ移動している途中のはずだが、すでに射撃支援だけは始めているらしい。


「まだあそこから届くんだ」


 エイルは感心しながら速度を維持する。


 《弓術》67という数字だけを見ても、今の射撃の異常さは分からない。数百メートル先で入り乱れる味方と敵を見分け、風と高低差を読み、移動中の標的へ矢を通すには、《遠見》や《軌道演算》に加えて、何年も積み上げてきた射撃経験が必要になる。


 エイルも遠隔干渉を覚え始めたばかりだからこそ、その技量が以前よりよく分かった。


 自分は地面が繋がっていれば遠方へ手を出せるが、距離が伸びるほど細かな精度は落ちる。一方のハルドは、視界と射線が通る限り、距離が伸びても精度を極端には落とさない。


 同じ「遠くへ手を出す」戦い方でも、得意な形はかなり違う。


 その時、北西拠点付近を走る青兵1人へ矢が向かっていることを《警戒圏》が拾った。


 まだエイル自身が剣で届く距離ではないため、狙われた兵士の足元へ《震圧》を細く送り、右足側の地面だけを低く鳴らす。


 突然足元が揺れた青兵は反射的に左へ身体をずらし、その直後、矢が肩の横を抜けた。


「《地鳴り》!?」


 兵士が驚いて振り返る。


「そのまま前を見てください!」


「どこから来た!?」


「東からです!」


「そうじゃねえ!」


 返事を最後まで聞く前に、エイルはその横を一気に抜けていった。


     ◇


 北西拠点の南入口では、青の盾兵6人が白の槍隊に完全に止められていた。


 狭い入口の正面を大盾が塞ぎ、その後ろから長槍が伸び、さらに土塁の上から弓兵が射線を重ねているため、攻める側が不利なのは遠目にも明らかだった。


「押し込め!」


「無理だ、上からも来る!」


「盾を下げるな!」


 怒号が飛び交う中、エイルは青兵たちの横を抜け、そのまま盾列の前へ出た。


「エイル!?」


「ここ、通したいんですよね?」


「見れば分かるだろ!」


「じゃあ開けます!」


 白の槍兵がすぐに反応し、狭い入口を埋めるように3本の穂先を同時に突き出した。


 エイルは最初の槍へ長剣の腹を触れさせ、力を正面から受けず横へ流しながら一歩前へ入り、2本目の内側へ身体を滑り込ませる。3本目は肩を僅かに引くだけで軌道を外し、そのまま槍が最も力を出しにくい距離へ潜り込んだ。


「中に入られた!」


「下がれ!」


 白側が距離を取り直そうとするが、エイルは追い掛けて人間を斬るのではなく、槍の柄へ剣を当て、1本目を上へ跳ねさせた勢いから2本目を横へ流し、身体を回しながら3本目の石突きを剣の峰で叩いた。


 3本の槍が同時に入口の正面から消える。


 その奥には大盾2枚が並んでいた。


「止めろ!」


 白兵2人が身体強化を使いながら盾を前へ出したため、エイルは剣を使わず左肩から真正面へぶつかった。


 大きな衝突音が響き、盾越しに伝わった重量で白兵の足が地面へ沈む。


 エイルは《身体強化》へ脚部と腰の《高密度強化》を重ね、足元へ返る力を《衝界》で後方へ逃がしながら、前へ出す力だけを残して押し込んだ。


 盾兵2人も踏ん張っている。


 それでも、少しずつ後ろへ動く。


「押されてるぞ!」


「2人いるんだぞ!」


「後ろから支えろ!」


 3人目が盾兵の背中へ手を当て、さらに4人目まで加わったところで、ようやくエイルの前進速度が鈍った。


 そこでエイルは無理に1人で押し切ろうとせず、後ろにいる青の盾兵たちへ声を飛ばした。


「今です!」


「押せぇ!」


 待っていた青兵6人が一斉に盾へ加わる。


 エイル1人を止めるために白側が4人分の力を集中させた直後だったため、そこへ青側の人数が加われば均衡は簡単に崩れた。


 白の盾列が後方へ押し込まれ、南入口が開く。


     ◇


「……今、1人で4人まで押してなかったか?」


 後ろにいた青魔術師が呟く。


「見間違いじゃなければな」


「あいつ剣士だよな?」


「最近、何を専門にしてるのか分からなくなってきた」


 そんな会話が聞こえていたが、エイルは入口を開けた時点で盾兵たちへの興味を切り、すでに次の危険へ意識を移していた。


 土塁の上には白の弓兵5人が並び、南入口から入ろうとする青兵へ狙いを付けている。


 剣では届かないため、《衝界》を土塁そのものへ送る。ただし、足元を大きく崩せば転落させる危険があるので、射手が立っている場所ではなく、その少し手前の土だけを浅く隆起させた。


 視界の前へ土が跳ねたことで射撃が一瞬遅れ、その間に青兵たちが入口を抜ける。


 さらに遠方からハルドの矢が2本入ってきた。


 1本はエイル自身を狙っていたため、飛来位置へ剣を合わせて横へ弾き落とし、もう1本は青側の指揮役へ向かっていたため、そちらは声で知らせる。


「後ろから来ます!」


 指揮役が即座に振り返り、近くにいた盾兵が射線へ入ったことで、矢は大盾へ突き刺さった。


 何でも自分の剣で処理する必要はない。


 その判断を挟みながら、エイルも拠点内部へ入っていった。


     ◇


「《地鳴り》が入ったぞ!」


 白側から声が上がる。


「第7席が言ってた奴か!」


「中央から東へ行ったんじゃなかったのか!?」


「今ここにいるだろ!」


 どうやら自分の移動が妙な速度で共有され始めているらしい。


 エイルは少しだけ顔をしかめながら、隣を走る青兵へ訊いた。


「そんなに僕、あちこち行ってます?」


「行ってるよ!」


「そうですか」


「そうですかじゃねえ!」


 会話をしている間にも、前方では白兵7人が旗へ続く道を塞いでいた。


 こちらはエイルを含めて青5人。


 人数では不利だが、止まっている時間も惜しい。


「僕が右の3人を見ます。残り4人をお願いします」


「分かった!」


 もう誰も「1人で3人相手にするのか」とは聞かなかった。


 エイルが3人を引き受けるなら、残った4人を4対4で処理できるという前提で、青兵たちがすぐに動く。


 エイル自身だけでなく、周囲も自分の使い方を理解し始めていた。


 右側から白の剣士、槍兵、短槍使いが同時に来る。


 エイルは中央の剣士を最優先に置き、右から伸びる長槍は軌道だけを意識し、左の短槍については距離が短い分、接近してから危険になると判断した。


 最初の剣を受けると、そこで刀身を止めずに流し、その戻り道へ伸びてきた長槍へ剣を繋げて穂先を外す。左から短槍が近づいた時には、長剣を無理に戻すより自分から一歩踏み込み、相手が槍へ十分な速度を乗せられない距離へ入った。


 そのまま肩を胸当てへ軽く当てる。


 純粋な膂力差によって白兵が後ろへよろめき、その間に最初の剣士がもう一度踏み込もうとする。


 エイルは相手の剣が動き始める前に切っ先を手元へ置き、攻撃の起点そのものを塞いだ。


 横から長槍が伸びてくるが、その位置は《近域感知》ですでに拾っているため、身体を僅かに開きながら剣を下へ滑らせ、槍の柄を地面側へ叩く。


 そこで《警戒圏》が別方向の危険を知らせた。


 ハルドの矢。


 狙われているのはエイル自身ではなく、少し離れて4人を相手にしている青兵だった。


 今いる位置からそのまま剣を振っても届かない。


 そこでエイルは《高密度強化》を脚へ一瞬だけ集中させ、矢が通る予定の場所へ先回りするように横へ移動した。


 飛来した矢へ剣を合わせて弾き落とし、その勢いを殺さず元の位置へ戻る。


 白剣士が追ってきていたため、戻った直後にはその剣を受けて戦闘へ繋げた。


 目の前にいた白兵3人のうち1人が、とうとう堪えきれないように声を上げる。


「お前、今あっちまで行ったよな?」


「はい」


「俺らと戦ってたよな?」


「今も戦ってます」


「意味が分からん!」


     ◇


 本部監視所でも、似たような反応が出ていた。


「対象エイル・アーネット、北西拠点へ到達しました」


「東から何分だ?」


「移動開始から4分弱です」


「4分?」


「《高密度強化》を脚部へ限定して断続使用しています。途中で白弓兵への地形干渉が1回、青兵への遠隔回避支援が1回」


「走りながらか?」


「はい」


 評価官は返事を聞きながら、もう驚くこと自体に慣れ始めている自分に気づいて少し嫌な顔をした。


「北西ではどうなってる」


「南入口を突破し、白の盾兵4名を青本隊が加わるまで単独で押し込んでいます。その後は拠点内部へ侵入し、現在は白兵3名と交戦中です」


「4人を押した?」


「はい。ただし直接の戦闘不能判定は取っていません」


「またそれか」


 別の担当が記録を確認しながら口を挟む。


「今、第7席シェインの射撃を1本迎撃しました。自分の交戦を切らずにです」


 軍評価官が顔を上げる。


「東では第15席カーツを止めていたな」


「はい」


「その前は中央でクライゼン副長」


「はい」


「さらに前が第11席とレオン」


「その通りです」


 部屋に短い沈黙が落ちた。


「……演習終了後、誰か本人へ今日やったことを全部説明した方がいいんじゃないか」


「本人、覚えてない可能性ありますね」


「それが一番ありそうだから嫌なんだ」


     ◇


 エイルが北西へ到着したことで、争奪戦は少しずつ青側へ傾き始めていた。


 ただし、白もここを失えば得点差が大きくなることを理解しているため、簡単には引かない。


 北側から増援の反応が入り、その中に1つ、明らかに速く整った足音が混じっていた。


「強い人が来ます」


「誰だ?」


 近くの青兵が訊く。


「分かりません。でも速いです」


 直後、北門から白銀の軽鎧を着た男が入ってきた。


 細身。


 長剣。


 見覚えがある。


「アルベルトさん」


「何で副長まで来るんだ!?」


「中央にいたんじゃなかったのか!」


 エイルも少し驚きながら声を掛ける。


「追わないって言ってませんでした?」


 遠くからでも聞こえたらしく、アルベルトは呆れたように返した。


「君を追ったんじゃない。白の拠点を守りに来たんだ」


「そうですよね」


「少しは自意識を抑えろ」


 アルベルトの後ろから白兵10人ほどが続いて入ってきた。


 これで人数差は再び縮まり、ハルドの遠距離支援も残っているため、青がそのまま押し切れる状況ではなくなった。


 青側の指揮官がすぐに声を張る。


「第9席は中央から動けない! ここは俺たちで取る! 南入口を維持して押し切れ!」


 エイルはアルベルトを見る。


 また戦える。


 一瞬だけそう思った。


 しかし、その直後には中央の旗へ意識を戻した。


 今の目的は剣術を伸ばすことではなく、北西拠点を取ることだ。


「アルベルトさん、今日はあまり付き合えないかもしれません」


 騎士が少し笑う。


「成長したな」


「旗を取りたいので」


「なら、私を倒さずに取ってみろ」


 アルベルトが長剣を構える。


 エイルも剣を握り直した。


     ◇


 正面からアルベルトへ行けば、また長く止められる可能性が高い。


 《剣術》は75まで伸び、基礎能力では上回る部分も多く、《高密度強化》まで使えば身体能力差はさらに広げられる。


 それでも、それだけで勝てるとは考えない。


 アルベルトは自分より遥かに長く剣を振り、人間を相手にしてきた。


 純粋な1対1へ入れば、その技量と経験によって時間を使わされる。


 ならば、1対1をしなければいい。


「右側の4人、僕についてきてもらえますか」


 近くの青兵がすぐに反応する。


「何する?」


「僕が副長を旗の正面から外すので、空いたところを抜けてください」


「動かせるのか?」


「やってみます」


 エイルが踏み込み、《高密度強化》を脚へ集中させる。


 今までより一段速い接近に、アルベルトの目が僅かに開いた。


「それが残していた方か」


「脚だけです」


「聞きたくなかったな」


 距離が一気に縮まる。


 エイルの剣をアルベルトが受けると、身体ごと斜めへ逃がすことで正面から力を受けない。


 やはり、身体能力差だけでは崩れない。


 エイルも押し込むことには拘らず、相手が斜めへ逃げる動きそのものを利用する。


 もう一度同じ側へ剣を入れ、アルベルトが受け流す方向へ半歩動いたところへ3撃目を重ねる。騎士は再び位置をずらし、その結果、少しずつ旗への直線から外れていく。


 最後にエイルが剣ではなく肩から身体を入れると、アルベルトは正面衝突を避けるためさらに半歩横へ動いた。


「今です!」


 後ろにいた青兵4人が一気に走る。


 アルベルトが振り返って追おうとしたため、エイルはその前へ剣を置いて進路を塞いだ。


「なるほど」


 アルベルトの口元に笑みが浮かぶ。


「私を倒すのをやめたか」


「その方が早いので」


「正解だ」


 騎士の長剣が来る。


 エイルは受けながらも、旗周辺の状況を《振動感知》で追っている。


 青4人が白兵と接触。


 さらに別方向から青本隊。


 人数差が縮まる。


 その時、遠方からハルドの矢が青側の指揮官へ向かった。


 エイル自身が剣で落とせる位置ではないため、指揮官の前方へ《衝界》で小さな隆起を作る。


 足元の変化へ気づいた指揮官が即座に盾を上げ、その表面へ矢がぶつかった。


 同時にアルベルトの剣が来る。


 今度のエイルは遅れず、最短距離で刀身を合わせた。


     ◇


「……副長と戦いながら、まだ別のところへ手を出してるぞ」


 白兵の1人が呟く。


「見てない。感知だろ」


「どっちでも同じだろ!」


「第7席の矢まで止めてる!」


「さっきまで東にいたんだよな?」


「中央にもいたぞ」


「もう分かったから言うな!」


 白側ですら情報が繋がり始め、少し混乱したような声が上がっている。


 アルベルト本人も剣を交えながら苦笑した。


「君、随分有名になったぞ」


「嫌なんですけど」


「今日だけでこれだけ走り回れば諦めろ」


「終わったら、すぐ別のところへ行こうかな」


「本気で言っている顔だな」


「行きたい場所があります」


「中央の連中が頭を抱えそうだ」


 エイルには、その言葉の意味がよく分からなかった。


 冒険者なのだから、演習が終わればまた地図を見て、知らない場所へ行けばいい。


 それだけのことだった。


     ◇


 北西旗周辺では青と白の人数がほぼ拮抗し、占領判定が止まっていた。


「残り17分!」


 監視役の声が響く。


 エイルの呼吸も、さすがに少し深くなっている。


 脚部限定とはいえ《高密度強化》を断続的に使い始めたことで、膝や腰へ負担が溜まり、長時間維持している《身体強化》の消耗も無視できなくなっている。


 それでもアルベルトの剣へは遅れない。


 右から来た斬撃を受け、そのまま次の軌道へ剣を滑らせると、左へ繋がる攻撃を外へ流す。アルベルトが途中で突きへ変えれば、中央へ残していた刀身で最短距離から外し、その防御動作を終わらせる前に旗周辺の振動へ意識を戻す。


 白兵が1人増えたことで青側が押され始めたため、エイルは旗手前の地面へ《震圧》を細く送り、白側の踏み込みだけを一瞬遅らせた。


 その隙へ青兵が入る。


 すぐにアルベルトの次の剣が来るため、エイルは地面への操作を切り上げ、そのまま剣で受けた。


 戦闘と援護が別々ではなくなっていく。


 アルベルトとの剣を処理し、その動作の隙間で戦況へ手を出し、味方が動いた結果を感知しながら再び目の前の剣へ戻る。


【《剣術 Lv.75 → Lv.76》】


【《高密度強化 Lv.39 → Lv.40》】


 2つの表示が浮かんだものの、エイルが意識していたのは数字ではなかった。


 旗の周囲。


 青側の人数が少しずつ増えている。


 白はまだ粘っている。


 それでも、流れは僅かに青へ傾き始めていた。


 そして今回は、目の前に《剣術 Lv.78》の強者がいても、エイルはその変化を最初から最後まで見失わなかった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。