アフタースクール恋愛論
テーマ:雑談
【場面】県立夢見高等学校~ダンス部の部室内
部活の練習のあと、みみとももは着替えを済まし、みみがメイク直しをしているのをももが待っている
みみ:はぁー
もも:ため息なんて珍しいじゃん
みみ:いやさー、もーすぐ夏じゃん?
恋したいなーって思ってさ
もも:あれ?村上くんはどうしたの?まだ付き合ってなかったの?
みみ:村上くん?いやー確かに村上くんはかっこいいとは思ってるけど、恋じゃないよねー
もも:村上くんかっこいいか?
みみ:かっこいいよ!あんなに勉強できるのに気取ってないし
誰に対しても平等だし
もも:私は顔のこと言ってるんだけどね
みみ:顔はイケメンではないよねー
どっちにしろ、あたしの中で村上くんは尊敬してるってだけだよ
恋ってドキ胸で呼吸が荒くなって燃えるほど体温上がるやつでしょ?
もも:それは多分病気だと思う
みみ:そんな恋したいんだよー
もも:みみ結構マゾっ気あるんだね
ちょっと引いたかも
みみ:おい他人の性癖を笑うのはだめだってばあばが言ってたぞ!
もも:その台詞どっかで聞いたことあるけどな
みみ:でもあたし恋したことないからしてみたいんだよねー
もも:あれ?でも1年の頃先輩と噂になってなかった?
みみ:え?ああ…小泉先輩!
あれは恋でもなければ恋人でもないよー
うちのワンコが先輩のとこのワンコが産んだ子で、
それでワンコの育て方色々教えてもらってただけ
もも:へーそーなんだ
普通に好意がない女子にワンコの育て方までは教えないと思うけどね
みみ:小泉先輩みたいなイケメンがあたしなんか好きになるわけないじゃん
もも:みみは意外に自己評価低いね。可愛いのに
みみ:え?そりゃ盛ってるもん!可愛くなるために盛ってるから!
そこは心配してないってば
ただあたしバカだから小泉先輩みたいなイケメンとは話が咬み合わないんだよー
もも:たしかに
みみ:ん?なんか言った?
もも:いや、そう言えばみみのとこのワンちゃんって確か名前プースケだっけ?
この前行った時私のとこに来た子だよね?すごい可愛かった
みみ:そそ、プースケ
もうすぐ1年になるけどさすがに愛着湧いちゃうよねー
元々はニャンコ派だったんだけどさ
もも:軽々しく戦争勃発の原因になりそうな発言やめろ
みみ:でもプースケ来るまではさー
あたしも好きの先が恋で、その先に愛があると思ってたんだけどねー
プースケは好きも恋もぶっ飛ばして、いきなり愛だったんだよねー
もも:いいことじゃん
みみ:いや、でもそれだとあたし結婚できないじゃん
もも:とーとつー。何故?
みみ:え?だって結婚は愛してる人とするものじゃん?
でもその愛が恋の延長じゃないってことは
恋しても意味ないってことでしょ?
さすがに付き合う期間ノータイムで結婚したくないもーん
もも:謎のこだわり
みみ:でもだからこそあたしわかっちゃったわけよ。プースケに大人にされちまったわけよ
もも:言い方
みみ:恋は愛よりも尊いって
【話頭転換】
テーマ:恋愛論~恋は愛より尊いか
もも:でも愛してないと結婚しないんなら愛の方が尊いんじゃないの?
みみ:えーうーん。あたしバカだから上手く伝わるかわかんないけどさ
要は愛ってママにもばあばにも従兄弟にも飼い犬にも育んじゃうものでしょ?
なんなら神様なんて人類みんな愛してるし
もも:神様そう考えるとチャラいな
みみ:人が一生で愛する人って結構いっぱいいるんだよね
もも:人類も結構チャラかった
みみ:でも恋する人はせいぜい多くて5人くらいでしょ?
もも:それも結構多くね?
みみ:でも絶対愛する人の方が多いじゃん?
夏休みにしか会わない親戚のおばちゃんとかも含まれちゃうわけだし
もも:みみ親戚に優しいな
みみ:そうなると恋する相手の方が少ないし、
そもそも恋は親戚とか家族じゃない人にしかしないじゃん?
見つめたり、話したり、遊んだりしたことで生まれる感情だから
だから恋は愛よりも数も少なければ、出会う確率も低い、
ウルトラスーパーレアだって思うんだよね
もも:確かに恋より先に一緒に暮らしてたらそれは家族だな
みみ:逆に愛ってなんていうかなし崩し的というか
一緒に暮らしてきた結果生まれた信頼感みたいな気がするんだよね
もも:うわっ親戚じゃないのに恋より先に一緒に暮らすパターンの映画でありそう
みみ:だから愛は妥協や依存に近くて、それに対して恋は欲望に近いから
やっぱり恋の方がこっちから言ってる気がして
自分の感情!って感じするんだよ
もも:愛に対しては大分厳しいな
みみ:いや、愛だってすごいものだとは思うよ?
だってママと喧嘩しても一晩寝たら許せちゃうんだからさ
すっごい大切だなって思うよ
でも恋と比較しちゃいけないと思うんだよね
恋は無条件じゃないからきっと喧嘩したら解決するまで許せないし
あたしがすっごい盛ってる日に褒めてくれなかったら冷めちゃう気がするし
もも:恋したことないって言うわりに具体的じゃん
みみ:…あれ?そっか!そもそも比較しちゃだめなんじゃね?
もも:お早い方向転換ですね
【話頭転換】
テーマ:恋愛論~恋と愛は比較すべきではないのか
みみ:そっか恋と愛って、まっさんが恋はやがて愛に変わるとか歌ってたから騙されてたけど
そもそも恋も愛もどっちも延長上にないし、別物なんじゃね?
もも:まっさんって誰よ
みみ:恋は身体が本能的に相手を求めるもので
愛は心のつながりを感じて信頼するものなんじゃね?
もも:深イイ話始まってる?
みみ:だからどっちがより尊いとかじゃなくて
どっちも尊いし、どっちも同時に起こりえるし、
愛が先でも恋が先でもいいんだよ!
もも:さっきの映画もあのあと恋するかもしれないと考えると報われるな
みみ:だからあたしはママもばあばもプースケも愛してるし
なんならその愛の形も全然違うんだ
だって信頼の形だもん
ママには宿題の質問できるし
ばあばには面白い話聞かせて貰えるし
プースケには疲れてる時慰めてもらえるし
それぞれ別々のことを信頼してるけど
その度合いとか比較できないし、あんまわかんないし
そもそも考えることすら面倒なくらい当たり前なのが愛だもん
もも:やっぱり愛に対しては物言いがちょっと厳しいんだよな
みみ:でも恋は色々な形してないじゃん?
一緒に話して楽しいか、デートして楽しいかみたいに大体同じ感情を抱くじゃん?
もも:5人に恋してからじゃないとそれはわからなくないか?
みみ:いやーすっごいこと気づいちゃったわ
世紀の発見じゃん
これノーベル発見賞貰えるわ
もも:ノーベル見つけちゃったか
みみ:でもちょっと待って
つまりあたしが恋したいって思ってるのって
もも:…のって?
みみ:ただの欲求不満じゃね?
もも:それな