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めちゃかわピンクネイルと社会寛容性

テーマ:雑談


【場面】県立夢見高等学校~ダンス部の部室内


みみが部室内の机に向かって宿題をやっているところに、扉を開けてももが部室に入ってくる


もも:おっすー

みみ:ちーっす

もも:あれ?もしかして、みみ勉強してんの?

みみ:バリーよ

もも:バリー?あんま聞いたことない受け応えだな

   バリバリOKみたいな意味か?

みみ:今明日までの数学の宿題やっててさ

   基本の因数分まではチョロチョロなんだけど、『改』までいくとマジわからん

もも:…かい?因数分と「かい」って

   …もしかしてみみ因数分を『改』めたってことか?

   因数分『改』ってことか?

みみ:え?当たり前じゃん?

もも:いや響きだけでどやんな?漢字間違ってるからな

   因数分『解』は『改』じゃない。漢字違うからな!

みみ:え?数学に漢字とかかんけーないっしょ!

もも:いや、関係あるし、言葉間違えていると説明が理解できなくなるだろ

   この前私が貸したノートも意味とかちゃんと分かったのか?

   …っていうか、そういえばノート返してもらってなくね?

   明日数学の授業あるし、早く返してほしいんだけど。

みみ:あー…実はあれで質問あってさ

もも:ん?どんな?

みみ:ほら、家でノート写さしてもらってたらさ…めちゃかわに塗れたこのネイルが目に入ったわけよ

   で、明日、ももにも自慢しよって思ったの

   でもあたしバカだからこの可愛さをきちんとももに伝えることができるか段々不安になったわけ

   そんで、よく考えるとさ

   そもそもこのピンクってももにとってはピンクじゃないんじゃないかって考えちゃってさ


【話頭転換】

テーマ:認識の相対性~みみのピンクはももにとって本当にピンクなのか


もも:いや、ピンクだが?

みみ:そうじゃなくてー!ももはこの色がピンクだって教えられてるっしょ?

もも:そうだな

みみ:あたしもそうやって教わってきてるからこれがピンクだって思ってるけどさ

   ももの見てるピンクはあたしにとっては実はおじさんグリーンだった、みたいな?

もも:どういうこと?ってかおじさんグリーンって何色?

みみ:つまりさ、あたしがももの中に入って、ももの目からものを見たら

   あたしがピンクだと思ってたものが、おじさんグリーンに見えるってこと

   でもももはそれをピンクだと思ってるわけよ

もも:つまりバグか


みみ:だからもし本当にももにとってのピンクがあたしにとってのおじさんグリーンだとしたら

   もものセンス結構疑うわけよ

もも:私はおじさんグリーンが未だにピンと来ていないが?

みみ:でもそもそも、おじさんグリーンはおじさんにとってはかっこいいグリーンなわけじゃん?

もも:そうなのか…?

みみ:だからまぁ年相応に考えれば何の問題もないのかもしれないけど

   でも、もものセンスはもものだから仕方ないじゃん?

   センスっていうか、ももはそういう世界が見えてるわけだからさ

もも:おじさんグリーンの世界ってことか?

みみ:要はそういうこと!それで、あたしはきらきらピンクの世界なわけよ!

もも:ああ、あんたの脳内はピンクだもんね

みみ:へへ。ありがと

もも:あまり褒め言葉ではないけど、なんか申し訳なくなったから謝る

みみ:んーん。謝らないでよ

   あたしが脳内ピンクなの間違ってないし

   むしろピンクめちゃかわで大好きだからそう思われるの嬉しいし

もも:ポジティブぅー


みみ:だから好きな色で脳内満たされている世界って素敵じゃん!

   あたしはピンクのものに囲まれてるのサイコー

   ちなみにももは何色が好き?

もも:水色だけど?

みみ:水色!ももだって水色に囲まれたいし、脳内水色って言われたいっしょ?

もも:いやそこまで…

みみ:あれ?でももしかしてそれじゃね?

もも:…どれ?

みみ:ももにとっての水色が実はあたしにとってのピンクだったってこと

もも:まぁ、好きな色って意味合いではそうなのかもね

みみ:そーじゃなくって!

   つまり、本当はみんな同じめちゃかわピンクが大好きなんだけど、

   あたしにはちゃんとピンクって名前がついている色で、ももには水色がその色に見えてるってこと

もも:?つまり?

みみ:つまり、あたしとももはセンス一緒ってこと!好きなものも一緒ってことだよ!これすごくね?

もも:わーお

みみ:でも、重要なのはあたしももも、違う色が見えているけど、生きてるこの空間は一緒ってことなんだよね


【話頭転換】

テーマ:言葉の共有~見てるピンクは違う色でも名前はピンクでいいのか


みみ:お互い別々のものを見ているけど、それを共通の言葉として『ピンク』って昔のそーりだいじんとかが決めたから

   あたしたちはこれを共通で『ピンク』って呼んでるわけよ!

もも:ピンク決めたの総理大臣なのか。かわいいな

みみ:そう!だからややこしいの!

   ももの『ピンク』は本当はあたしにとっておじさんグリーンなのに!

もも:そこおじさんグリーンで確定なのか

みみ:でも、そのピンクは可愛いものなんだよって決めたそーりだいじんはマジGJってことになるよね?

もも:そう…かな?

みみ:そのそーりだいじんがいなかったら

   あたしらこのめちゃかわピンクで分かり合えることなかったし、出会うことすらなかったかもしれないじゃん

もも:私らピンクで分かり合ったっけか?

みみ:でも、あたしが半年前にめちゃかわピンクきゃわわって騒いでなかったら、

   ももだってあたしに「うるさい」って話しかけてこなかったっしょ?

もも:それはそうかもね

みみ:そうしたらあの時の熱いバトルは勃発しなかったし、今みたいに仲良くなれなかったかもじゃん

もも:熱いバトルが勃発した記憶はないが、総理大臣GJだな

みみ:だしょ!?


みみ:でもさ…『めちゃかわ』って言葉を考えたお坊さんからしてみたらピンクはめちゃかわじゃなくて、

   やばかわなんだが!?ってなるかもしれないけどね

もも:?かわいけりゃどっちでもよくね?

みみ:え!?めちゃかわとやばかわ全然違うんだが!?

みみ:ピンクはめちゃかわだけど、ちいかわがやばかわなの!

もも:ちいかわはちいかわじゃないのか…?

みみ:ほらね?ももとあたしでも大分めちゃかわの基準が違うじゃん?

   だからニュアンスって結構人によって違うみがあるっぽくて

   もしかしたらそーりだいじんが決めたピンクとこのピンクも違うかもしれなくないって話

もも:総理大臣のピンク判定細かいな…サーモンピンクはだめとかか?

みみ:は?サーモンピンクはピンクじゃないから。サーモン付いちゃってんじゃん

もも:お、おう

みみ:だから共通の言葉でわかりみあってみても、結局あたしらはなんとなくでごまかしてきてるわけよ


【話頭転換】

テーマ:社会寛容性~ちょっとズレてても一緒にいられることについて


もも:ああ!この前私があげたクッキーに対してみみが返してくれたチョコ、微妙に値段が違うってこととか?

みみ:それもそれも!

   でも、その寛容さがこの世界を成り立たせているってことと同時に、

   このピンクがももが見えているあたしのおじさんグリーンの可能性を目立たなくさせてると思うんだよね

もも:なら寛容さを捨てれば良いって話?なら、みみ、差分の12円を…

みみ:だからあたしとももってすっごい仲いいけど、お互い知らないことって結構あるのかもってこと!

   あたしも昨日まではももがまさかおじさんグリーンをピンクだと思ってたなんて思ってなかったもん

もも:私は今日までピンクがおじさんグリーンだとは知らなかったよ

みみ:でしょ?

   でも、そういう知らないことや、実は食い違っていることってもっと世界にはいっぱいあって

   それにみんな気づかないままでいるおかげで、実はこの世界成り立ってるんじゃね?

もも:つまり私に差分の12円のことは諦めろってこと?

みみ:って言うか、本当は気にしてるかもだけど許してはくれてるでしょ?

   ももがお金にけっこう厳しめなのもかっこいいと思うけど

   あたしがもものこと好きなのはそこも含めてなわけだし

もも:突然の告白


みみ:だからみんな違うし、みんなところどころで我慢したり、許したりしてるってこと!

もも:それって、みみも何か私に我慢してるの?

みみ:メイク下手なのにきゃわわなとこな

もも:え?私メイク下手…?

みみ:うん。大分。でもめっちゃ可愛いから許されてる

もも:…ありがと

   あれ?だから私がおじさんグリーンをピンクだと思ってると思ってる?

みみ:それもあるのかも

   まぁとにかくあたしはももがほんとは気にしてるとこあんま気にできないからさ

   知らずにももを傷つけてたらごめんね!

   でも同時にそこを寛容に見逃してくれるももマジ感謝ってこと!

もも:ん?うーん、まぁ、どういたしまして…

   こちらこそみみの元気なとこマジ感謝してるよ

みみ:でへへー!

   なんか照れるね


もも:さて、お互いデレたところで来週テストもあるし、勉強しないとね

   で、みみ、私のノートは?

みみ:寛容に見逃してくれるももマジ感謝!

もも:おい!

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