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第十四話

愛花は深夜に飛び起きた。ふと、ある可能性が頭をよぎったからだ。それは館ならばよくあるからくり仕掛けであり、このホテルにも何らかのからくりがあり、深田はそれを利用して部屋に侵入または彼女を殺害しようとしているのではないかというものだった。

彼女は慌てて部屋の壁や天井を起きていることを悟られないよう月とスマートフォンの明かりを頼りに見て回る。

しかし、そのようなからくりは見当たらなかった。


「どう仕掛けてくるつもり? 」


問いかけるも答えるものは誰もいない。それから愛花は一睡もせず、深田の次の手を考えるも鍵のかけた部屋に忍び込みあわよくば自らは疑われずに生還する……そんな方法は思い浮かばなかった。


コンコンコン


思考が堂々巡りしたところでノックが鳴り響く。気が付くと陽が昇っていた。


「吉川さん、ちょっと良いかな」

 

良いわけないでしょ。

深田の声に対して内心拒否を示す。あくまで内心に留めたのは彼の出方を窺うためだったり


「どうかしたんですか? 」  

「それが……大変なことになった。一応伝えておこうと思って。実は、僕は残り一人になった吉川さんを疑っていた」


私を疑うときたか……しかし、疑ってい『た』?

愛花はドアに耳を当てる。


「でも、さっき他のメンバーじゃないかと……ほらいるだろうあえて死んだふうに見せて暗躍するというパターン、それもあるんじゃないかと思って一番犯人の可能性がある君は部屋に篭っているからと思い切って他の皆の死体を確認しに行ったんだ。そしたら……古川さんの死体がなかったんだ。僕らはちゃんと夫人と同じベッドに寝かせたのに」


言われて愛花は気が付く。確かに古川に対して脈がないから死んでいると判断をした。しかし、その時に例えばテニスボールを脇に挟むといった脈を止める仕掛けがあるかまではおびただしい血の量に圧倒され行っていなかった。


「それじゃあ、古川さんが」

「死んだふりをして暗躍している可能性はある。例えば上の階のベランダからこちらに吉川さんの部屋に侵入してきたり、いや、彼なら恐らくマスターキーを持っている。もっと用心をした方が良い」


深田の言葉が本当だとしたら籠城の意味は無くなってしまう。マスターキーがあれば鍵など関係なく部屋に入られてしまうのだ。家具で扉を塞ごうにも愛花の力で動かすことの出来る椅子程度では盾としての機能を果たすことはないであろうと愛花は俯いた。


どうせ意味が無いのならいっそこのまま……


こういう時、犯人が困る行動をするのが一番生存確率が高い。そしてこの場合での犯人が困る行動……それは恐らく二人で捜査をすること。


愛花は覚悟を決めると思い切りドアを開いた。


「私にも彼を探させてください」

「いや、部屋にいた方が安全だと思うけれど」

「大丈夫です」


愛花はキッパリと答える。これが彼女の考えた最善手であった。深田が犯人の場合、マスターキーを盗んでいる可能性が高く一人で自由に行動させるのは危険であり、一緒にいる状態で

愛花を殺された場合、島を出た後に当然疑われるのは彼であるため安易に行動に出ないであろうこと、古川が犯人である場合らバラバラで無い方が良いであろうと考えたからだ。


「それじゃあ、まずは古川さんの部屋を見せてください」


愛花は深田に言いながらも先陣を切って古川の部屋へと向かった。



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