第3話 無理ゲー!俺とドラゴン
赤い鱗に覆われた、鋭い爪と牙を持つ存在。
それは、紛れもなく【竜】だった。
「いやいや、いきなりレベル上がりすぎだろ!?」
俺は一瞬で逃げることを決意した。
「こんなのしゃもじで、勝てるわけねぇだろ!撤退、撤退!!」
全力で踵を返し、森の奥へと駆け出す。
背後から竜の咆哮が轟き、肌をチリチリと焼く熱波が襲いかかる。
「やばいやばいやばい!!」
そんな俺の手に、新たな武器が召喚された。
【水鉄砲】
「……いや、こんなんで勝てるかぁぁ!!」
しかし、竜は容赦なく追ってくる。
「マジで逃げ切らないとヤバい!!」
俺は水鉄砲を放り投げ、ひたすら走った。
ついに森を抜け、目の前に広がるのは崖。
「……詰んだ?」
背後には竜、前方は断崖絶壁。
「こうなったら……!!」
俺は一か八かでもう一度スキルを発動。
ピカッ!
【ワープのスクロール】
「おおっ!? これなら……!」
だが、ここで俺は閃いた。
「待てよ……これ、俺じゃなくて竜に使ったらどうなるんだ?」
ニヤリと笑いながら、俺はスクロールを構えた。
「そぉい!!」
瞬間、スクロールが光り輝き、竜を包み込んだ。
「グォォォ!?」
次の瞬間、竜の姿がかき消える。
「よっしゃあ!!転送完了!!」
竜の行き先? 知らん!海底かもしれないし、溶岩の中の可能性もある。それくらいスキルガチャに悪意を感じる。
俺は息を整えながら、ひとまず崖の上で安堵の息をついたのだった。