第2話 探索2日目でボスとの遭遇!
海風が心地よく頬を撫でる。
俺は現在、異世界の無人島で絶賛サバイバル生活中だ。
「さて、今日は島の探索でもしてみるか」
昨日までは浜辺で適当に魚を獲って暮らしていたが、ずっと同じ場所にいるわけにもいかない。水源や食料を確保するためにも、島の内部に足を踏み入れる必要がある。
俺はスキル【抽選武装】を発動した。
「よし、何か使えそうな武器をくれ!」
ピカッと光が弾け、俺の手に何かが現れる。
【しゃもじ】
「……しゃもじ?このスキル、当たり排出確率何%よ……」
しばらく眺めてみるが、どう見ても普通のしゃもじだ。パチンと爪で弾くと、木製の軽い音が鳴る。
「まあ、素手よりはマシか……って、考えていいのか?」
不安を抱えつつも、しゃもじ片手に森へと踏み込んだ。
鳥のさえずりが響き、色鮮やかな花が咲き乱れる、美しいジャングル。しかし、しばらく進んだところで違和感に気付く。
「……なんか、視線を感じるな」
背筋がゾワリとする。振り向いた瞬間——。
「ギギッ!」
茂みから飛び出してきたのは、緑色の肌をした小さな人型生物——ゴブリンだった。しかも、頭には何故かココナッツを乗せている。
「お前、まさかの【ココナッツゴブリン】か?」
奴は鋭い石を手にし、こちらに突進してくる。
「くそっ、いきなり戦闘かよ!」
だが、俺には【しゃもじ】がある。仕方なく、握りしめたしゃもじを構え、突っ込んでくるゴブリンに思い切り叩きつけた。
ベチッ!
「ギャアッ!」
ゴブリンが派手に吹っ飛び、地面に転がった。
「お、おお? 意外と威力あるじゃん!」
どうやら、このしゃもじには普通の木製とは違う頑丈さがあるらしい。
「よし、もう一回!」
ゴブリンが立ち上がるより早く、俺はしゃもじを連続で叩き込んだ。
ベチッ! ベチッ!
「ギギギ……!」
ゴブリンはたまらず悲鳴を上げ、ココナッツを落として逃げ出した。
「ふぅ……意外となんとかなったな」
俺は落ちたココナッツを拾い、試しに割ってみる。すると、中からたっぷりの果汁が溢れ出した。
「おお、ナイス水分補給!」
思わぬ収穫に喜びつつ、さらに森を進む。
だが、その先で、俺は新たな脅威と出会うことになる。
巨大な影が木々の間から現れた。
「……え、でかくね?」
赤い鱗に覆われた、鋭い爪と牙を持つ存在。
それは、紛れもなく【竜】だった。
「いやいや、いきなりレベル上げすぎだろ!?」