パーティー(前編)
そのドレスが少女たちの元に届いたのは、数日後のことだった。使用人が家に来て、出迎えたティルターシャにドレスが入った箱を渡す。彼女はその箱を持って広間に向かった。広間ではユールリアとオスヴァルトが彼女を待っていた。彼女は広間の机に箱を置いて、待ちきれないといった様子で開け始めた。彼女が箱を開け終わるのと同時に、カズラが屋敷から出来たての料理を運んでくる。ユールリアはそれを見て首を傾げた。
「あれ、今日は何か特別なことがあるの?」
「いや、それはもう少し先のことだよ。公爵夫人は庭の花が1番綺麗に咲いているときに、庭でお茶会を開くのを習慣にしているようだから。そうですよね?」
カズラが料理を乗せた台を机の横に置いて、オスヴァルトに視線を向ける。オスヴァルトはその言葉を聞いて外を見た。
「ああ、確かにそうだが……そう言えば、いつもこのくらいの時期には見頃になっていたな。今はまだ花が開いていないが」
「庭に世界樹を移植した関係で、花が開く時期がズレたんです。だから最近の公爵家の食事は、いつお茶会を開くことになってもいいように、いつもより豪華になっているんですよ。公爵夫人が、せっかくだから彼女たちにも食事を分けてあげたいと言っていて……。それで、僕が料理を運んできたんです。後から使用人の方たちが、他の料理を持ってくると思いますよ。ちょうどドレスも届いたことですし、皆で着飾ってパーティーの真似ごとでもしませんか?」
カズラがティルターシャに微笑みかける。ティルターシャは箱から取り出したドレスを抱えて、ユールリアの手を引いた。
「行こうよユー! ドレスを着て、みんなでパーティーするの!」
「あ、ティル、ちょっと……!」
ユールリアが引っ張られていく。カズラはオスヴァルトに近づいて声をかけた。
「僕たちも着替えてきませんか? 彼女たちが戻ってくる前に。その方がパーティーらしいですし」
「……そうだな」
2人は連れ立って部屋から出ていく。部屋には料理と空の箱が残された。柱からツルが伸びてきて、机の上に置いてあった箱を下ろした。ツルの先が半分に割れて、料理を摘んで持っていく。そこに、ドレスを着た少女たちが戻ってきた。
「あれ、葛くんとオズは?」
【お前らと同じように着替えに行ったぜ。そのうち帰ってくるんじゃねえの?】
ユールリアの問いに家が答える。ティルターシャは人数分の食器を戸棚から取り出して机に並べた。
「お腹すいたし、ユーもこの料理食べようよ。美味しそうだよ」
彼女が料理を取り分ける。ユールリアはその言葉に頷いて、彼女を手伝った。




