表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
無能力転生者が精霊の子供と一緒にチートな異世界人と旅する話〜主人公に執着するチート転生者を添えて〜(仮タイトル)  作者: 文字書きA


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

57/77

4人暮らし

それは数日後の夜のことだった。本を読んでいるユールリアの横で、ティルターシャが大きなあくびをする。


「ねえユー、もう寝ようよ。いつもみたいに、2人でさ」


「今日は先に寝てて。私は、この本を読み終えるまで眠らないつもりだから」


「そう? でも無理しないでね。本の続きなら、明日読んでもいいんだから」


ティルターシャはそう言い残して、書斎から出ていった。ユールリアは彼女が部屋から出たことを確認して、手に持っていた本を閉じた。


(ティルは好奇心が旺盛(おうせい)な明るい子だから、もうここで暮らすことに慣れてるけど……私は……)


部屋の扉が開く音が聞こえて、ユールリアは慌てて顔を上げた。扉を開けた人物はカズラだ。彼の姿を見たユールリアは、ため息をついて立ち上がった。


「何のつもり? どうして、こんなことをしたのよ」


「どうしてって……君をこの家に(とど)めておくためだけど。ティルターシャがこの家を気に入ってくれたら、君は友達のためにここに居てくれるはずだから。そんなことは、君も分かっているだろう?」


「ええ、分かってるわ。問題は、オスヴァルトの存在よ。昔の(かずら)くんなら、自分以外の男が私と同じ家で暮らすことなんて、絶対に許さないはずなのに。どうして、オスヴァルトの部屋まで用意していたの?」


「それはもちろん、必要だったからだよ。彼は君から離れたがらないと知っていたから。彼にとって、君は大切な宝だからね」


「……なんで、葛くんがそんなことを知ってるのよ。オズに聞いたの?」


「そんなこと、聞かなくても見ているだけで分かるよ。彼は無意識に、君の側から離れないようにしているから」


ユールリアは立ち上がって、本を本棚にしまった。カズラは入り口の近くでその様子を見ながら話を続けた。


「それに彼はまだ気づいてないようだけど、心も体も強靭(きょうじん)な彼に弱点があるとするなら、それは君の存在だ。君から離れれば離れるほど、彼は弱っていく。だからこの家に彼の部屋を作ったんだよ。彼が君の近くにいられるように。まあ、彼の体には子供を作るための器官がないと知っていたのも理由の1つだけど」


「……それは、お医者さんから聞いたことかしら?」


ユールリアがカズラを(にら)む。カズラは真剣な表情で告げた。


「別に、彼を(おとし)めるために調べたわけじゃないよ。むしろ、その逆だ。僕は彼の真実を明らかにして、その地位を確かなものにしたかったんだ。他でもない、彼のために」


「だから、どうして葛くんがそんなことをしなきゃいけないのよ。葛くんはオズのこと、敵だと思っていたんでしょ?」


「戦うのなら、同じ条件じゃないとフェアにならないだろう? だからだよ」


カズラはそう言って微笑んだ。ユールリアは額を押さえた。


「相変わらず、面倒な性格をしてるわね」


「でも、君は今でも好きでいてくれてるだろ? そういうところ」


カズラが得意げに笑む。ユールリアは無言で彼の横をすり抜けて、部屋の外へ出ていった。彼女の頬が赤くなっていることに気づいたのは、そのとき側にいたカズラだけだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ