贈り物
客室の机の上に、色とりどりの布が広げられている。ユールリアと共に部屋に入ったティルターシャは、その光景を見て声を上げた。
「これ、全部キラキラしてる! すごいねえ、これで服を作るの?!」
明るく笑うティルターシャ。ユールリアはそんな彼女を見て、幸せそうな表情になった。そんな少女たちに、公爵夫人は温かいまなざしを向けた。
「ユールリアちゃん。まずは服を脱いでちょうだい。体のサイズを測って、あなたに合うドレスを作りたいの」
ユールリアは周囲を見回した。仕立て屋は女性で、カズラとオスヴァルトは室内にいない。
(気を使ってくれたのかな)
彼女は大人しく服を脱いだ。仕立て屋が巻き尺を使ってサイズを測り、手元の紙に素早く記入していく。ティルターシャは興味深そうな表情で、その様子を見ていた。その作業はすぐに終わって、仕立て屋の視線がティルターシャに向けられる。ティルターシャは飛び上がって、ユールリアに抱きついた。
「大丈夫よ。何も怖いことなんてないから」
ユールリアは穏やかな声で言った。ティルターシャは彼女に背を押されて、仕立て屋の方に歩み寄る。仕立て屋は柔らかな笑みを浮かべて口を開いた。
「すぐに終わりますわ。少しだけ、我慢していてくださいね」
ティルターシャが無言で頷く。仕立て屋が彼女の採寸をしている間に、ユールリアは小声で公爵夫人に話しかけた。
「彼女と私のドレス、同じ生地で同じように仕立てていただけませんか?」
「ええ、構わないけれど……」
公爵夫人は嬉しさの中に少しだけ寂しさが混ざったような表情で、少女たちを見ていた。
「あなたたちは仲が良いのね。まるで本当の姉妹のようだわ」
「あら、私たちは姉妹ですわ。その手続きをしてくださったのは、お祖父様とお祖母様でしょう?」
「……そうね」
公爵夫人が笑みを深める。採寸を終えたティルターシャが、ユールリアに駆け寄ってきた。
「ねえ、あの人がね、好きな生地を選んでいいって言ってくれたの。ユーはどの色にする?」
「どれも綺麗な色だから、迷ってしまうわね。ティルはどの色がいいの?」
「ティルは、この黄緑色が好きだよ」
「それなら私もその色にするわ。2人でお揃いのドレスを着ましょう」
ティルターシャが表情を輝かせる。ユールリアは笑って、彼女の頭を撫でた。
「装飾は可愛らしく。露出は少なくしてちょうだい」
「かしこまりました」
夫人が仕立て屋に指示して、仕立て屋が完成予想図を紙に描く。ユールリアとティルターシャがその絵を覗きこんで、自分たちの要望を伝える。その日はそうして過ぎていった。




