表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
無能力転生者が精霊の子供と一緒にチートな異世界人と旅する話〜主人公に執着するチート転生者を添えて〜(仮タイトル)  作者: 文字書きA


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

33/77

事情説明

その2日後。月が昇る頃に、トリフォとキルシュは洞窟に到着した。


「見つけたよ。お姫様だ」


洞窟の真横に張られたテントを見つけて、キルシュはトリフォを呼んだ。トリフォはキルシュと共に木に(のぼ)って、テントの中を(のぞ)いた。


「まだ3人とも眠っているようだな。朝まで待つか」


トリフォはそう言ってキルシュの方を見た。彼女は彼の目を見て無言で頷く。2人は木の上で夜を明かした。翌日の朝。ユールリアとティルターシャは同時に目を覚まして、顔を洗うために泉に向かった。2人が泉から戻る途中で、木の(かげ)に隠れていたキルシュが姿を現した。


「こんにちは、お姫様」


ユールリアはキルシュの姿を見て目を見開いた。彼女はティルターシャの手を引いて、その場から逃げようとした。彼女の足に糸が(から)む。


「逃げなくていい。俺たちの主人(あるじ)は、今日ここに来ていないからな」


ユールリアの足を縛った糸が引っ張られる。その糸を引いているのはトリフォだ。ユールリアは立ち止まって、トリフォを見上げた。


「……その人の名前は?」


「彼には親がいない。だから彼は、前世の名前を使っている。カズラという名だ」


不審げなユールリアの眼差しを受けて、トリフォは真顔で答えた。ユールリアはその名前を聞いて考え込んだ。その様子を見て、キルシュが首を傾げる。


「お姫様は覚えてないの? 前世でよく見た植物の名前なんだって聞いたよ。なんでも昔……」


「聞きたくない!」


ティルターシャが大声を出す。そこにいた全員の視線が、彼女に向けられた。


「……ごめんなさい」


ティルターシャが(うつむ)く。テントの中にいたオスヴァルトが、彼女の叫び声を聞いて駆けつけてきた。キルシュが彼女を抱き上げて微笑む。


「この子が聞きたくないっていうのなら仕方ないね。カズラさんのことは、お姫様が思い出すまで黙ってる。お姫様も、それでいいよね?」


「……え?」


ユールリアが目を丸くする。オスヴァルトは持っていた剣を使って、ユールリアの足に巻かれていた糸を切った。断ち切られた糸が地面に落ちる。トリフォはため息をついて糸を回収した。オスヴァルトがユールリアを庇うように、彼女とトリフォの間に入る。キルシュはそれを見て目を細めた。


「オスヴァルト・ローゼンフェルト。連戦連勝で、いつしかノアルミナの英雄と呼ばれるようになった男。だけど、君は子供ができない体だった。そして君が所属した隊の人間たちは、激しい戦闘に巻き込まれても傷を負わなかった。それもそのはず、君は必要とあれば自分の身を差し出して、隊員たちを守ったんだから。おかげで自分の隊では人気者だったそうだけど、他の隊の人間からは気味が悪いと思われていたようだね」


オスヴァルトの動きが止まる。キルシュが笑みを深めた。


「カズラさんにも同じようなことができるんだ。あの人の場合は戦いにもならないし、人に恨まれることもない。オスヴァルトという英雄が人から忘れられることはないけれど、今は別の英雄がいる。ローゼンフェルト家の人間も、今からオスヴァルトを探して連れ戻そうとは思わないはずだ。君たちはこれから、好きなように生きることができるんだよ」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ