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無能力転生者が精霊の子供と一緒にチートな異世界人と旅する話〜主人公に執着するチート転生者を添えて〜(仮タイトル)  作者: 文字書きA


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酒場

カズラは大通りを横切って酒場に向かった。酒場にはトリフォとキルシュが先に来ていて、カズラのことを待っていた。トリフォはカズラが席についたのを見て口を開いた。


「オリバー・ウィアーの遺品は全て買い取った。川底に沈んだ遺体も見つかっている」


「そう。ありがとう。それにしても、思った以上に仕事が早いね」


「楽な仕事だったからな。数体の操り人形を動かすだけで済んだ。キルシュがウィアー家の令嬢に気に入られているから、その気になれば家ごと消すことも可能だ。……どうする?」


トリフォがカズラに真剣な眼差しを向ける。カズラは笑みを浮かべて口を開いた。


「あんな家、放っておいても勝手に自滅してくれるよ。2人に頼みたいことは他にあるし」


「そうなの?」


キルシュが顔を輝かせる。カズラは2人に大陸の地図を渡した。そして南端にある洞窟を示して言った。


「ユールリアたちは、いずれここに行くことになる。もしかしたら、もう着いているかもしれないけれど……。この場所は、オスヴァルトにとっては特別な所だ。しばらくここに居るだろうから、追いつくのは簡単だと思うよ」


「あれ、またお姫様を(さら)いに行くの? お姫様が拒絶したから諦めたんじゃなかった?」


「あのとき僕が退()いたのは、ユールリアが僕のことを覚えてなかったからじゃない。オスヴァルトという男がいたからだ。彼のことが分かった今は、少し事情が変わっている。それに荒事(あらごと)にはならないよ。あの3人の中に、そんなことを望んでいる人間は1人もいない。こちらが極端な手段を取らなければ、話し合いは可能になる。彼らの旅に同行することだって、できるかもしれないよ」


「……いや、流石にそれは無理だと思うけど」


キルシュが苦笑を浮かべる。トリフォは真顔になった。


「カズラが断言するということは、それだけの理由があるということだろう。試してみる価値はある」


それだけ言って、トリフォは酒場から出ていこうとした。キルシュが慌てて彼の後に付いていく。


「同行できることになったら連絡して。よろしくね、2人とも」


カズラは運ばれてきた酒を飲み干して呟いた。その言葉が、トリフォとキルシュの耳に届く。2人は酒場から飛び出して駆けていった。彼らは5日かけて移動する距離を半日で移動しながら会話を続けた。


「話し合いか。ボクらには縁がないと思ってきたんだけどな」


「そうだな」


「カズラさんの言ってたこと、本当にやるの? ボクら、警戒されてると思うけど」


「カズラの指示だ。俺は実行するさ。何があっても」


「……分かったよ。トリフォがやるならボクもやる。いつもと同じように」


2人の会話はそこで終わった。太陽が沈んで、月が天に昇る頃。2人は大陸の南にある洞窟に到着した。

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