表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
無能力転生者が精霊の子供と一緒にチートな異世界人と旅する話〜主人公に執着するチート転生者を添えて〜(仮タイトル)  作者: 文字書きA


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

18/77

逃亡

「ティル。こっちに来て」


ユールリアがティルターシャの耳元で(ささや)く。彼女はティルターシャと共に、壁に背をつけたままで移動した。室内に張られた糸が、意思を持ったかのように動きだす。ユールリアは窓の近くに立ち続けている男……トリシャに向かって叫んだ。


「ここに居なければならないのは私だけ。ティルは関係ないでしょ!」


彼女の言葉を聞いて、トリシャの動きが止まる。彼は無言で糸を引いて、ティルターシャの通り道を開けた。ティルターシャが戸惑ったような表情で、ユールリアに声をかける。


「で、でも。ユーは……」


「大丈夫。この人たちは、私を傷つけたりしないから。そうでしょ?」


ユールリアは微笑んで、ティルターシャの背を押した。ティルターシャはゆっくりとそこから離れて、入り口に向かう。キルシュがそれを見て、安心したようにナイフを下ろす。


「そうだね。お姫様がボクたちと大人しく待っていてくれるのなら、手荒なことをする気はないよ」


オスヴァルトが彼女の言葉を聞いて、目を見開く。


「どういうことだ? お前たちはローゼンフェルト家の依頼を受けて、私を連れ戻しにきたのでは……」


「ああ、君の家出のことか。ボクらには関係ないことだけど、依頼は受けたよ。君を連れ戻してくれってね。もっともあの人は、そんな依頼のことなんかどうでもいいって感じだったけど」


ティルターシャが入り口から出る。その瞬間に、ユールリアは壁の破片を拾ってトリシャに投げつけた。トリシャが即座に糸を使って、投げつけられた破片を受け止める。ユールリアはその(すき)に、ティルターシャのために開けられた道を抜けた。キルシュが目を細める。


「これはこれは。ずいぶんとお転婆(てんば)なお姫様だね。でも、もう遅いよ」


扉の外。砦の入り口から足音が聞こえてくる。ユールリアは部屋を飛び出して、階段に近づいた。彼女は階段の上から、下を(のぞ)き見た。夜会服を着た少年が、階段を1段ずつ上ってくる。


(……やっぱり、知らない人だ)


ユールリアはそのことを確認した直後に、少年から逃げようとして階段を駆け上がっていった。オスヴァルトとティルターシャが真剣な表情で彼女の後を追う。


「あれ? あの()、逃げていっちゃったよ。会えば分かるって言ってたよね、カズラさん」


「お前が彼の名前を出さなかったからだ」


「あ、そういうこと言っちゃう? だったらボクも言わせてもらうけど、そもそも君がお姫様を逃がさなければ、こんなことにはならなかったよね?」


キルシュとトリシャが口論しながら、開いたままの扉から出てくる。階段を上ってきた少年が、2人に向かって話しかけた。


「そこまでだ。2人がここで言い争う必要はない。キルシュが僕の名前を出さなかったのは、僕がそうしてくれと言ったから。彼女に名前を伝えたときの、驚く顔が見たくてね。それに彼女を逃がしたと言っても、この砦の出入り口は1階にある扉だけ。砦の上から落ちたとしたら、怪我じゃすまない。ユールリアは、必ずここに戻ってくるよ。だから、2人は扉を見ててくれる? 僕はこれから、彼女に会いに行くからさ」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ