二日目
二日目、私の朝は朝風呂から始まる。
ぶっちゃけ今回の旅行で一番楽しかったのがこの朝風呂。
と、いうのも自分の好きな時間に入れるのだ!! スゴイ!! シャンプーで二度荒いも出来るし、いつもより長く入っても誰も咎めない。
そして風呂上りは、浴衣に着替える。着替えるのだが……これが中々難儀した。
帯の結び方知らねぇ……。
一時期作務衣を好んで着ていた時期があったので内側のヒモはどうにかなる。が、帯なんて結んだ事は無い。唯一結んだ帯なんて柔道の帯位だ。
なので、私の浴衣の帯は柔道スタイル。カッコ良かろう?
次いで朝食。特筆して記すことナシ。ごく普通のバイキング形式だった。
と、ここで問題発生。
腕時計どこ行った。
ニーナとアレキサンダーは見るも無残な姿となってエルリックの前に現れたものだが、私の時計はその痕跡すら見えない。
マジでどこ行った? 部屋を探すこと十五分、見つかった。
部屋の隅、もっと言えばベッドの足の辺りだ。意味が分からない。
まぁ、腕時計も一人旅がしたかったのだろう。そういう時もある(後方腕組み)。
そんなこんなありつつホテルをチェックアウト。本日向かう先は呉だ。
そう、呉。呉の雪風、佐世保の時雨のあの呉だ。
大和ミュージアムに向かって私は電車に揺られる。……揺られつつ、ギャルゲーに勤しむ。
因みに一日目に明日原の攻略は終了したため、この日の攻略対象は黒木さんだったりする。やはり『ノラ●と』。これしか勝たん。
暫くしてミュージアムに到着。うん、大和のクソデカ模型だ。
しかし見てもあんまりこう……楽しいモノでもない。なんだろ。スケールモデルを作ってる親父達からすれば垂涎、涎がデュルルンものなのだろうが、私の目には船以上には見えない。
……スケールモデル。それを思うと頭にバイト先のことが浮かんだ。この様を常連のスナイパーのおっちゃんが見たら何を思うだろうか。知識不足を叱責するだろうな。感性の幼稚さを嘲笑するだろうな。或いは憐れむだろうか。……あ、アカン。現実が、現実が襲ってくる!!
その様、正しく脳髄地獄。……こんなところでも夢野久作しなくともええやろがい!!
ってな訳で陰鬱な面持ちのままミュージアムを出る。それでもお土産の購入は忘れない。
間宮羊羹。艦これでもお世話になった覚えのあるアイテムだ。実食してみたいと思うのは当然だろう。オタク君さぁ……。
そして昼食。二度目にはなるが、私は観光地のリサーチはしないが食のリサーチは欠かさないタチであった。故に、昼食はハイカラ食道一択。
食すのは数量限定テッパンセット!!
さぁ出てきたのは海軍らしく牛乳の付いたカレーのセット。カツの様に見える物体は世にも珍しい(?)クジラカツ。そしてその横にあるのは肉じゃがだ。
先ずは見慣れないクジラカツから。食べた味は、アジフライから魚っぽさを抜いて食感を肉に近づけたような感じ……だろうか? 言語化は難しいが、美味い。
そしてメインのカレーは辛口、甘口から選択式だったので甘口をチョイス。チキンハートである。
が、カレーの内容はビーフ。うーんこの。野菜は見えるモノこそ多くないが、デカい。兎に角デカい。人参とか積み木かよってレベルでデカい。これも美味かった。
そして肉じゃが。こちらもビーフ。ジャガイモにもしっかりと味が染みており、外縁部が若干透けて見える。あと、箸で摘むと容易に崩れる。見た目には量ある様に見えるが、前述した感じでポロポロと崩れるため結構スルスル入る。美味い。
最後に牛乳。これはとても口に馴染みのある味だった。平時から加工乳を飲んでて口が慣れてるし、多分加工乳? グラス自体が冷やされているのか中々に冷たい。ゴクゴク行ける。生温い牛乳は微妙いからね。ありがてぇや。
結論、美味しいヤミー感謝感謝!!
この時点で食費がエグい事になっているが知った事か。私は観光に来たんじゃない。飯を食いに来たのだ。
ってな訳で、てつのくじら館に向かう……予定だったのだが、これが全然気乗りしない。
美味い飯で気分良くなったが……ここでも頭の中にスナイパーのおっちゃんが登場。
よし、止めよう。陰鬱な気分で旅なんてするもんじゃない。
幻想旅団シリーズを執筆してる時、「陰鬱な気分で旅してんなぁコイツら」って思った回数は数知れない。それが原因で打ち切りエンドになったり、バッドエンドになったりもした。陰鬱な空気を漂わせる旅なんて誰も幸せにならん。それが幻想旅団シリーズを書いてるうちに得た教訓だ。
一人旅なんだ、気ままに行こうよ。
ってな訳で逃げるようにTSUTAYAに直行。もう何も言うまい。
すると、どうだろう。そこにはレンタル終了に伴い、売り尽くしとなっているDVDの山が!!
ウッホホーイ!!
直前までの陰鬱なんのその。私はDVDの山に飛び込む。
こ、これは『"文学●女"メモワールⅡソラ舞う天使の鎮魂曲』!!? 私が唯一持っていないメモワールで、尚且つ性癖を歪めた原風景にして、高嶋唯というキャラが生まれた原因!!
Oh! スバさん DVDのお値段 watch……300円!? 安い安いね……。
購入確定な。
後は何か無いだろうかと探索を続行。すると。
スバルセンサーに感あり。パターン青、名作です。
見つけてしまったのは『●ーゲーム・ノーライフゼロ』。……エクセレント!!
私の一番好きなアニメは『ウ●娘シーズン2』だ。ここは絶対に譲れない。
だが、激情アニメの中で何が一番かを問われれば、私は絶対に『ノーゲーム・ノーライフ●ロ』と答える。因みに次点は『聲の●』。
なんてこった、買わない訳にはいかないじゃないか。購入確定な。
……広島来てまでする事か??? と言うか、鞄の中、中古CDに同人誌に中古DVDに漫画の新刊に、凡そ広島らしさ皆無なんだが???
しかし私はこうも思った。
もしかして広島とは私にとっての武蔵野なのではないかと。
……何言ってるんだコイツ???
そう思うだろうが、まぁ聞いて欲しい。
『武蔵野に散歩する人は、道に迷うことを苦にしてはならない。 どの路でも足の向くほうへゆけばかならずそこに見るべく、聞くべく、感ずべき獲物がある。』
これは国木田独歩の『武蔵野』の一説である。
思えば一日目のフリマの後は広島シティを散策するとだけ決めて、かなりテキトーなタイムスケジュールだった。なんなら、乗り間違いで重装備の中一時間以上歩いたし。
しかし、結果的に欲しかったCDやらを大量に入手する事が出来た。迷うことを特に気にせず、気の向くままに歩けば悪いようにはならなかった。今回も足の向くままに行った結果がこれである。控えめに言って最高。
目的を決めてキチッキチッとするのも良いけれど、一人旅なんだ。こういうのも悪くない。今度一人旅をするなら、そん時はまた飯だけ調査して、気の向くままに赴こうと思う。晴れた空の下、徒歩で。
そっから広島駅に帰還。ああ、これこれ。何か落ち着くこの感じ。最早ekieは私の庭。
しかしもうそこまで時間無いぞ。他の観光地に行くには時間が足りず、けれど名古屋に戻るまでには二時間位。食事の時間を考えれば駅周辺の散策が限界。
どうする……?
あ、泊まったホテルの近くに中古CDショップあるやんけ!!
……その時間あったら呉もっと観光出来た、とかはくれぐれも言わないように。良いね?
ってな訳でグルーヴィン本店。サブカル色薄目かと思いきや結構あるアニソンやボカロのCD。
『デート・●・ライブ』が400円位であった時は心が揺れたし、orang●starのアルバム見つけた時とか、テンション上がったよね。私は生粋の蜜柑星人なので。好きな曲は『空奏●車』。空奏を空想ってする人はエアプだと思ってる(オタク特有の早口)。嘘です。全人類に聴いて欲しい。間違いなんか気にするな。
しかし残金の問題もあり、泣く泣くそれらを諦めて広島駅へ。
そしていよいよ最後の飯。
何を食べよう。時間は短い。ここでの最適解は、なんだ。
ekieダイニングを駆け回る。そして見つける。
回転寿司。
瀬戸内五種盛りあれば、昼大量に食ったしどうにかなるのでは?
と言う訳で最後の晩餐は瀬戸内海の恵みに決定。これ、これぞ広島。
食でしか風土を感じられない男、睦月。
そしてアナゴや生シラス、クジラユッケを食す。うん、ウマい。
ただ昨今の事情を鑑みてか、皿は回っていなかった。悲しい事だ。
そんなことを思いつつ、完食。
もみじ饅頭を購入して、私は広島を発った。
パンパンに詰まった鞄の中には沢山の素敵な思い出が……思い出が?
素敵な思い出(フリマ&らしんばん&TSUTAYA etc……)。
素敵な思い出だね!!(ヤケクソ)
私は現実から逃避するように、ギャルゲーに勤しんだ。
名古屋に着くまで、ずっとギャルゲーした。
私の広島は、ギャルゲーに始まり、ギャルゲーにて完結した。