8話 金銭の価値
夜営が寒い。
耐えられない寒さではないけど、この毛布は薄いし、直接地面に座るのも嫌なので体育座りをしてお尻の下に毛布を敷いているが、皆マントとか着てるんだよね。
うーん、結界でなんとかならないかな。
自分の周りだけ空気を閉じ込めて。
少しだけ暖かくなったかな。
よく眠れそう。
朝がきた。
保存食を食べて水を飲む。
皆それぞれだ。
そういえば、私のスキルには生活魔法があったはずでは?
生活魔法で何ができるのか探ってみる。
どうやら、清潔魔法が使えるみたい。
「クリーン」
うん、身体の汚れも服の汚れも落ちたかな。
ん、周りの方々が近づいてきた。
「クリーンができるなら、銀貨1枚でやって欲しいんだが」
皆さん一列に並びます。
といっても御者をふくめて三人しかいないんですけどね。
「クリーン」
「クリーン」
「クリーン」
終了です。
「さっぱりした」
「やっぱり気持ちがいいな」
「生き返る」
それぞれ喜んでいただけたようで、良かったです。
さて、荷馬車に乗ります。
会話が弾みますね。
いろいろこの世界について聞いてみます。
獣人、エルフ、魔族にドワーフ、精霊に妖精、魔物に神獣など。
ふんふん、思った以上にバラエティーに富んでますね。
治療をするなら、回復魔法やポーションが一般的?
聖女は神殿の奥深くに隠されているもの?
だから聖女が行う聖魔法などは一般的ではない。
今、向かっている国に聖女はいるのでしょうか?
いない。
数百年前ならいたのですか。
でも、神殿はあるので聖女が現れたらいつでも対応できる。
なるほど。
この世界の金銭はわかっていましたが、地球の金銭に換算したときの価値がよくわからなかったのですが、ようやくわかりました。
鉄貨 10円
銅貨 100円
銀貨 1000円
金貨 10000円
大金貨 100000円
白金貨 1000000円
単位は十増えるごとに上がるようです。
まあ、私は先日の宿屋のお礼でお金には困っていませんが、以前、街の中心にある宿屋だと高級宿屋で金貨2枚ぐらいは平気でとられることをしらず、冷や汗をかいたのでお金は大切にします。
始めに神殿でお金の価値を騙されていたときは金貨1枚100000円ぐらいのものだと教えられてましたからね。
意地悪なものです。
また、仕事を代わって得た小遣いも鉄貨でしたからね、馬鹿にされたものです。
まぁ、終わったことです。
忘れましょう。
ちなみに、この荷馬車の私以外の乗客は男性です。
聞けば女性の一人旅など危険すぎてほとんどなく、あっても冒険者や騎士といった武道をたしなむ女性しかしないとのこと、私のような者が一人旅をしていることは目立つそうです。
狙われないように、気をつけなければ。
そうこうしているうちに、3日経ちました。
そろそろですかね、塀が見えます。
入国です。
荷馬車から降りて歩きます。
銀貨2枚を用意。
入国しました。
荷馬車の御者に銀貨1枚を渡します。
チップです。
さすがに銀貨5枚の運賃ですし、荷馬車ですからね。
銀貨2枚は渡せません。
笑顔で皆さんと別れ神殿に向かいます。
回復魔法の講義があるんですよね。
まずは、そこに行ってみます。
私は聖魔法ですが、ごまかして回復魔法として使えないのか調べたいのです。
うまくいくといいのですが。