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70話 孤児院

 教会の入り口から入って礼拝堂に来ましたが、人は見かけないです。


 勝手に入ったとあとで怒られない為に声をかけます。


「すみませ~ん」


 がらんどうの教会に声がよく響きます。


 奥から音がしますね。


「なんでしょうか?」


 しばらくたつと、まだ若いおっとりとした感じの金髪巨乳な修道女姿のお姉さんが出てきました。


「あのー、こちらに併設されている孤児院に寄付をしたいのですが」


 はっきりとこちらに来た意図を説明します。


「まぁ、そうでしたか、でも寄付金は昨日沢山いただいて、もう十分ですのでお気持ちだけでいいのですよ」


 お姉さんから、寄付を断られます。


 グレンさんの行いの結果ですかね?


 グレンさんは一体どれほどの金銭を寄付したのでしょうか、断られるなんて思ってなかったから、果物しか持っていないですよ。


「では、こちらを納めていただけませんか?」


 いつもの食堂のお兄さんこと、ジェフリーさんから、孤児の人数と管理者のだいたいの人数を聞いてましたから、それより少し多めに購入していたんですよね。


 果物を一つ出します。


「まぁ、貴重な物を……ですが、当院では子供の人数が多くて一つだけでは争いになります。こちらもお気持ちだけで結構ですわ」

「これらが、あと19個あります。出すことの出来る場所へ案内していただけませんか?」


 お姉さんに謎のオレンジ色をしたすももの様なものを手渡しながらそう言います。


「まぁ、それなら、孤児院の食堂に(まい)りましょう、そこなら食材の保管庫もございますし、こちらですわ」


 ニッコリと笑顔で微笑むお姉さんについていきます。


 しかし、後ろ姿からみてもお姉さんのスタイルは抜群ですね、細い腰にキュッと上向いたヒップ、女性として憧れます。


 昨日、グレンさんが遅くなったのは、このお姉さんと会っていたからでしょうか? でも、孤児院の子供たちをいい子だと言っていたから子供たちとも会っているんですよね。


「子供たちとは会えるのですか?」

「もちろんお会いできますよ、子供たちも喜びます」

「でしたら、会ってみたいです」

 

 食堂に行き果物を出します。


「こんなに沢山!」


 謎の果物とリンゴの二種類しかありませんが、量としてはリンゴが大きいので沢山出したように見えますね。


「子供たちに会いに行ってもいいですか?」

「こちらになります。どうぞ」


 お姉さんについていく。


 広い部屋に子供たちがいた、男の子も女の子もいる。


「ここは13才までいることが可能ですが、それ以上となると冒険者になったり、商会の住み込みの従業員となったりするのですよ」

「意外に小さな子供たちばかりですね」


 まだ、3才や5才ぐらいの小さな子供たちばかりだ。


「ええ、物心(ものごころ)つけば子供でも自分たちの立場は分かります。将来の為に小さな(ころ)からコツコツとお金を貯める為に、街の外に出て薬草採取をしたり、商会での下働きをするのが孤児院では普通なのですよ」

「なるほど」


 小さくてもお手伝い程度なら出来ますしね、でも、街の外だったら危ないんじゃないでしょうか。そのへんも聞いてみたいですね。


「小さい子供たちだと、外は危険だと思うのですが大丈夫なのですか?」

「大丈夫です。街の外へは、孤児院を出ていった子供たちに引率されたり、子供たち同士で徒党を組んで行きますから、また、街中の商会へも決して一人では行かず何人かのチームを組んで働きに行くので安心なんですよ」

「ここに来る前に治安の悪い場所を通ってきました。そこで、私もそこの住人に冒険者ギルドの回復魔法士であることを確認されたのですが、ああいうことは子供たちには無いのでしょうか?」

「確認?」


 私はお姉さんにここに来る前にあったことを話します。もちろん回復魔法士として領主に対し寝たきりの病人に特級ポーションを使って治療を施すアイデアを出したことも含めてです。


「そうですか、多分ここの領主ですと、貴賤(きせん)を問わず良い事は実行すると思うので、スラムの方々にも特級ポーションで治療がなされたのだと思います。多分、お客様の顔は良い事をされた方と覚えられたのでスラムで襲われることはないと思いますよ。それと同じ理由でスラムの方々はこの孤児院の子供たちを襲いません。ここの孤児たちもスラムでのゴミ拾いや清掃を定期的にしておりますからね。まぁ、スラムの住人の中には元孤児院出身の孤児もいますし、ゴミ拾いも孤児たちが領主からお金をもらってのことですが、もし万が一、孤児たちを襲うなら外部から来た者たちでしょう、スカルド帝国では奴隷売買がありますから、ですが、遠く離れたこの国では誘拐などはめったにないのですよ」

「はぁ、ではスラムでの私の身は安全なのですね」

「大丈夫だと思われます」


 うーん、心配はしなくていいようですね。


 しかし、遊んでいる子供たちのオモチャや絵本がボロいですね。


 積み木も単なる木材の端材のようでヤスリなどかけていないただの木ですし、絵本もいつ購入したのか分からないほど、薄汚れています。


 ジェフリーさんの言う通り、新しい絵本などを買ってあげたほうが良さそうですね。

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