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67話 帰還は出来ない?

 いよいよ患者さんも少なくなってきた。


 この街の病人や怪我人はあらかた診てしまったのではないだろうか。


 それに反するようにポーションの売れ行きがいい。


 どうやら薬師ギルドだけでなく、冒険者ギルドの治療室で販売されていると認知度が上がったようだ。


 多分これらはいい方向に向かっているのだろう。


 患者さんを診ながら、ポーションを販売する。


 時間はあっという間に過ぎ、お昼になった。


 昼食をとりに隣の宿屋の食堂に行くと、当然のようにグレンさんがついてきて、ジェフリーさんと、私と一緒に食事をとった。


 私はその場所でさらっと何気ない振りをしながら聖女の召喚についてジェフリーさんに話を聞き、期待したものが何も得られずがっかりしたが、そのあと、思いがけずグレンさんから詳しく説明され納得した。


 私の質問後は、グレンさんとジェフリーさんが会話をしていて、私は聞いているだけだったが、話の内容がとても面白く私も笑わせてもらった。


 平凡だが、穏やかに過ぎてゆく時間。


 午後になりさらに患者さんの数が減り、ポーションを販売するだけとなった。


 途中、薬師のお婆さんが現れ、新たなポーションを納入したりしたが、慌てることもなく時は過ぎてゆき、夕方となった。数人の冒険者が怪我人として現れた以外は特に変わったこともなく治療が終了した。


 治療を始めた当初に比べると圧倒的に落ち着いた日常の風景がやってきた。


 自分自身に治癒を施し、疲れをとると、治療室を閉めお金を冒険者ギルドに預け、赤い庇のあるレストランに足を向けた。


 行列に並び、レストラン内に案内されるのを待つ。


 今日はそれほど人は多くない、早く食事が出来るだろう。


 案の定、早めに案内され、席についた。


 メニューを見て、ポテトグラタンと食後に紅茶とプリンを頼む。


 今日は少しだけ贅沢をし、これまでの精神的な疲れを癒すつもりだ。

 

 召喚されてからは、右も左もわからず戸惑いと混乱の日々。


 ようやく、それらに別れを告げる日がきたのだ。


 ポテトグラタンを食べる。


 クリーミーなホワイトソースとやや厚切りなポテト、そしてチーズ。


 元の世界なら当たり前の食事、だがこの世界では高級品。


「……おいしいなぁ」


 熱々のグラタンをスプーンの上で冷ましながら食べる。


 もう元の世界には戻れないかもしれない、この国では魔法が発達していると聞いていたが、そもそも召喚方法自体が神殿で神からの神託で受け取ったものらしく、やり方などはどこの国でも同じらしい。帰還の方法などは知られていないらしい。


 一人静かに食事をし、デザートのプリンもおいしく平らげた。


 お金を支払い店を出て、足早に冒険者ギルドに帰り、下級ポーションを作り、お風呂に入って寝た。


 明日は週末です。


 約束通りにお婆さんの家にいかなくては。

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