65話 孤児院について
「すみません、この街にある孤児院なのですが、場所とか、どんな風になっているのか教えてくれませんか?」
孤児院に何を差し入れするのがいいのかも聞いたほうがいいだろう。寄付金の額、必要とされるもの、子どもたちの人数、そこで働いている大人の人数、聞きたいことはいっぱいある。
ジェフリーさんが、細かく教えてくれる。場所に様子、子どもたちの人数、男女比をはじめとした様々なこと。
うーん、充分教えてもらったかな。
お金だけでなく、食料も必要とか、子どもたちは甘いものがめったに食べられないので、甘い物が非常に喜ばれるとか。
グレンさんも大人しく聞いている。
グレンさんは午後から魔物の間引きだから、魔物の肉とかを持っていくつもりかな? なんだかグレンさんが、ジェフリーさんの話を聞いて頷いているんだけど?
孤児院は、一応領主がきちんとしているので、最低限の生活は出来ているし、他の住民との兼ね合いもあるので、過度なてこ入れはしていないが、問題なく管理が出来ているらしい。
「まぁ、孤児院では本や娯楽といったものがないので、その辺りも考慮すれば完璧かな」
ジェフリーさんが、そう付け加えて話は終わった。
グレンさんがお礼を言い食堂を出ていく、私も午後の治療があるので、ジェフリーさんにお礼を言い食堂を出た。
冒険者ギルドで、ポーションを求める人々と、患者さんを相手にして忙しくしていると、夕方になった。
ポーションのお客さんも患者さんもいなくなったので、治療室を閉め仕事を終了し、冒険者ギルドの台所に足を運んだ。
台所でまだ残っていたじゃがいもを茹で、粉ふきいもを作る。
そういえば、グレンさんの帰りが遅いなぁと思う。
魔物の間引きに手こずるようには見えないけど、心配だ。
グレンさんは真面目で、このギルドに馴染んできたと思うけど、グレンさんは召喚された国の神殿で見た騎士に間違いはない。
なぜ、ここで冒険者ギルドの職員になっているのかは不明だし、今一つ信用は出来ない。グレンさんのことを考えると、冷静になればなるほど胡散臭く感じるし、グレンさんのやっている行動が支離滅裂だ。
私にやけにまとわりつき関わり合いを持とうとするのはスカルド帝国へ、私を奴隷とて渡したいが故かもしれない、そう考えると私自身色々考えなくてはならないこともあると思う。
私はスカルド帝国の奴隷になんてなりたくないし、自由を失ってまでグレンさんと仲良くするつもりはない。
出来上がった粉ふきいもを食べる。
粉ふきいもは適度に塩気がありおいしかった。
人生はままならないと聞いたことがあるが、本当だなぁと感じた。グレンさんになぜここにいるのかを直接聞ければいいのだが、聞いたら私が隣の国から逃げてきた異世界人だとバレてしまうだろう。そうなると、私の身が危険になるのかもしれない。
余計な考えを追い払い下級ポーションをいくつか作ると、お風呂に入って寝た。
明日はいい天気になるといいな、とぼんやり考えると意識は途絶えた。




