59話 女性たち
相変わらず行列です。
冒険者ギルドに入り、治療室に入ります。
患者さんを順番どおりに診ます。
ポーションをだけを求める方々もいますが、やはり怪我や病気の患者さんが多いです。
次々に診ていくと、お昼になりました。
患者さんはいません。
治療室を出ます。
冒険者ギルドの入り口付近にビキニアーマーを着た美女や、魔法使いと思われるローブを着た美少女たちの集まりがあります。
なんだろう? 何かを中心にして集まっているようです。
「由菜さん!」
女性たちの集まりの中から、私の名前が呼ばれました。
……この声は。
回れ右をして治療室に帰りたいけど、昼食は食べたいです。
仕方なく、冒険者ギルドの入り口に向かいます。
「由菜さん、一緒に食事をしませんか?」
女性たちの中からグレンさんが現れました。
一斉に女性たちから睨まれます。
グレンさんは空気を読まないみたいです。
「いや、私は忙しいから……急いで食べなくてはならないし、いいかな……」
その返答を聞いた周囲の女性たちから、怒りとも安堵ともとれる感情を向けられます。
「忙しい回復魔法士だから、一緒に食事をするのは私たちでいいんじゃないかな?」
「そうだね、私たちは暇だからいくらでも付き合えるよ?」
「そうよ、私たちならいくらでも付き合えるわ」
「ちょっと皆、本当に腕のいい、回復魔法士だから! そんな目で見ないの! いつかは皆もお世話になるんだからね」
女性たちが私からグレンさんを遠ざけようとしています。最後の発言をした人は、胸が大きすぎて肩こりになったお姉さんではないでしょうか、かばってくれるなんてありがたいです。
女性たちの目が最後の言葉で少し優しくなりました。この隙に逃げます。
隣の宿屋の食堂に来ました。
お兄さんがいますね、隣の席に座ります。
通りがかりのウェイトレスに日替わりを頼み、お兄さんを見ます。
ん? お兄さんが私の方を見て、目を見開いていますね。
なんでしょう?
「私も日替わりで」
んんっ? ゾクリとするほどのいい声、グレンさんですね。
ウェイトレスが赤くなった顔で、オーダーを受けています。
いつの間に来たのか、ちゃっかりグレンさんが私の隣に座っています。
私はお兄さんとグレンさんに挟まれましたよ、これからどうなるのでしょうか。




