53話 ポテトグラタン再び
今日は服屋にも雑貨屋にも寄りたいし、外で食べることにした。
オーダーメイドの服屋で急いで寸法を計ってもらい、服を注文する。
服は簡単なワンピースにした。良い生地を選んだので1着、高額な金貨12枚になったが後悔はしていない、二週間ほどしたら取りに来て欲しいとのことだった。
金を支払い、代わりに引換券を受け取る。
服屋から少し歩いて、まだ開いていた雑貨屋に飛び込みポーション瓶を大量に買う。
帰ったら、下級ポーションを作らなくては、
それから赤い庇の店に行って、行列に並んでから店内に案内されると、ポテトグラタンを頼んだ。
金貨2枚。
高いけど、今の私には余裕で支払うことの出来る値段だ。
熱々のグラタンに舌をやけどしそうになりながら、食事をする。
じゃがいもが熱い、だけどおいしい。
それにしてもこの店は人気だ。
いつ来ても行列がある。
今日はカップルが多いのかな。
席に座っている若い男女が目につく。
そんなことを考えながら食事をし、冒険者ギルドに帰る。
ギルドに帰ったら、さっそくポーションを作り始め明日の販売に備える。
手を機械的に動かしポーションを量産し、ある程度出来たので作ることをやめた。
それから、お風呂や、就寝前のルーティーンをこなし、さて寝るかと思ったところで、昼間のお兄さんの話が、頭をよぎる。
きれいな青年とのことだが、街の外になぜいるのかとか、その青年は黒い髪に赤い瞳ではなかったのだろうか、とか聞きたいことは、たくさんあった。
ドルイド王国には、いい思い出がない、だが、亜里沙が一番始めに絡んでいた青年は印象深い。
すっきりとした引き締まった筋肉、高い身長、肩まで届く艶のある髪、宝石のような赤い瞳。
肌は陶磁器のように白く、遠くから見ていてもきれいだとわかった。
あんな青年が、いるのなら、街の外でもどこにでも若い女性は行くだろう。
なんとなくもやもやとした想いを抱きながら、寝ることになった、ああいう男性とは一生関わることはないし、相手だって私みたいなつまらない女なんか嫌いだろう、なのに、なんで思い出すんだろう。
明日になったらまた、忙しくなるだろう、しっかり寝なくては、ざわめく気持ちに蓋をして、眠りについた。




