52話 毒殺未遂の理由
冒険者ギルドに戻ると行列が出来ていました。
なんだろう?
治療室を開けると、皆、治療でなく、ポーションを買って行きます。
「特級ポーションだけでもありがたいのに、これが、金貨2枚、あり得ない」
「マナポーション、金貨1枚、これで魔力がなくなっても戦闘が出来る」
ポーションを買っていった人たちが、興奮して、しゃべってます。
冒険者ギルドが騒がしくなってきましたね。
そろそろ全てのポーションが終わるという時にお婆さんが来ました。
ちょうど患者がいなかったので、治療室の中に招き入れます。
「そろそろポーションがなくなったんじゃないかと思ってね、買い取ってもらいにきたよ」
なんで、ポーションがなくなるとわかったのでしょうか、不思議だと言うと。
一般人にマナポーションは必要なくても、冒険者の魔法使いたちにとっては喉から手が出るほど欲しいもの、無くなるとしたら、冒険者を診る午後からだと踏んでいたようです。
当たりましたね。
それでも、こうして売れるのはしばらくの内だけだそうで、だいたい行き渡って落ち着いてきたらそれほどは売れないだろう、と笑って言った。
なんだかんだ言っても、ポーションは高級品、いざというときの為には使うが、普段は使わずに済ませるだろうとお婆さんは予測していた。
そうかもしれない、と思いながら、買い取ったポーションを棚に並べていると、昨日領主に会って相談したことを話してくれた。
お嬢様の治療の報酬に関しては、私の希望どおりになり、特級ポーションでの治療も、それに対応出来なかった重病人を治療室に運び込むことも許可された。明日の朝には告知があり、領主の管理する地域の住民が知ることになるだろうとのことだった。
前の執事の死体からも毒が検出され、私が執事から毒を盛られたのも、徐々にお嬢様を病弱にし毒殺しようとしていたのに、逆に回復をさせてしまい計画の邪魔になるので早々に殺害しなければならないと、執事の独断と偏見から、私への殺害未遂になったとのことだった。
私がいたら、せっかく毒殺する予定のお嬢様が元気になっちゃうものね、そりゃ、邪魔だわ。
私が殺されそうになったのも頷ける。
今週の終わりにもお婆さんの家で聖水を作ることを約束して、お婆さんは治療室から出ていった。
私は、棚にお婆さんから大量に買い取ったポーションを並べ、患者を待った。
すぐに、患者は来て、私はなんの問題もなく順調に診ていった。
夕方にあると、多少の慌ただしさはあったが、いつもと同じで、落ち着いて診ていき、そして患者はいなくなった。
よし、夕食の時間だ、今日は何を食べようか。




