51話 噂話
隣の宿屋の食堂に行きます。
いつものお兄さんが手を振っていますね。
薬師のお婆さんへの紹介の結果をさっそく報告し、下級ポーションを作ることになったことを話します。
「良かったな! 回復魔法も使えて、ポーションも作れる、無敵だな」
笑ってお兄さんが褒めてくれます。
日替わりを通りがかったウェイトレスに頼み、談笑します。
衣食以外は全て順調な気がします。
住むところもあるし、お金も稼げています。
服をもう少し買ってもいいかな。
だけど、今はまず食事だ。
今日は、鶏肉だな。
焼いただけの料理だけど、焦げ目がおいしそう。
半分に切って、お兄さんの皿の上に載せる。
今日のごはんは当たりかな? 普通だけと、焼き加減がちょうど良くて食べやすい。
お兄さんから噂話を聞く、領主の弟が失脚したかもしれないこと、どうやら領主の兵隊が命令で弟の屋敷に大挙して乗り込んだという話をしてくれた、人の口に戸は立てられない。
誰かが見ていたのでしょう。
自業自得とはいえ、呆気ないですね、多分、何年も周到に準備してきたでしょうに。
自分がその取っ掛かりになったことは置いておきながら、その領主の弟を責める。
良くないことを計画する者が、悪いんです。
お兄さんがさらに、ここだけの話だが、と、コソコソと話してきます。
「ものすごく、きれいな青年が街の外に現れるという話しだか、魔物も出るので危ないから近づくなと言っているところに興味を持った若い女性たちが行くらしい」
なるほど、街の外にきれいな青年が出ると。
「なんでも、甘い言葉をささやくという噂もあるんだ、気をつけてくれ」
多分、私にはささやかないんじゃないかな? そんなに大したことのない平凡な容姿だし、と思いながらも一応頷きます。
さて、食事も終わりましたし、午後からの治療室の仕事です。
頑張りましょう。




